機械器具等 07 内臓機能代用器

ヘパリン使用経皮的心肺補助システム

(遺伝子組換え材料使用)

補助循環システム HLS SET Advanced-LT

再使用禁止

作成又は改訂年月

2023年5月(第1版)

承認・届出等

販売名

補助循環システム HLS SET Advanced-LT

添付文書管理コード

30200BZX00270000_A_01

承認番号

30200BZX00270000

承認・認証年月等

令和2年8月

一般的名称

一般的名称
70524304
ヘパリン使用経皮的心肺補助システム

警告

〈使用方法〉
1.
装置の故障等の緊急時に対応できる準備をしておくこと。[体外循環が維持できなくなるため。](使用方法等の欄参照)

2.
水温、水圧、及び血液側の流量、圧力の最大許容値に注意すること。[適正な体外循環を実施しないと患者に重大な健康被害が生じるおそれがあるため。]

3.
本品は酵母由来遺伝子組換えヒト血清アルブミンを使用している。アレルギー又はアナフィラキシー反応に備え適切な処置を実施できる体制下で使用すること。[酵母由来遺伝子組換え人血清アルブミンによりアレルギーが起こる可能性が否定できないため。]

禁忌・禁止

〈適用対象(患者)〉
1.
静脈−動脈循環における、重篤な大動脈弁不全の患者には使用しないこと。〔適正な体外循環を実施することが困難なため、または患者に重大な健康被害が生じるおそれがあるため〕

2.
本品にはヘパリンコーティングが施されているため、以下の患者へは使用しないこと。

・ヘパリンに過敏性のある患者(ヘパリンアレルギー)

・現在又は過去の病歴でII型抗体媒介型、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)のある患者


〈使用方法〉
1.
本品は一回限りの使用とし、再滅菌、再使用しないこと。

形状・構造及び原理等

1.
構成ユニット
本品は以下の構成品より成る:

(1)
HLSモジュール
(静脈血流入ポートは血液学的パラメータ測定セル付き)

(2)
血液回路

(3)
ガスラインフィルタ

(4)
付属品

(5)
カニューレ(販売名:HLSカニューレ、承認番号:22600BZX00042000)

(6)
プライミングセット(販売名:HLSプライミングバッグ、届出番号:13B1X00176CV0010)

・全体図(カニューレ、プライミングセット及び付属品を含まない)


(4)付属品

ガスラインチューブ タイバンド ハサミ 
   
チューブクランプ コネクタ 
ルアポート付 
   
シリンジ 三方活栓 キャップ 
   
サンプリングライン 緊急用プライミングライン 
  


(5)カニューレ


(6)プライミングセット


2.
機能
本品のHLSモジュール部は血液の酸素化機能を有する体外循環用ポンプであり、遠心ポンプ、人工肺及び熱交換器で構成される。圧力センサと温度センサを内蔵し、静脈血ガス測定用セルにより、静脈血酸素飽和度、ヘモグロビン、ヘマトクリット及び静脈血温度の測定が可能である。本品は、院内及び病院間の患者移送に使用できる。

3.
仕様
項目 5Lタイプ 7Lタイプ 
酸素加膜面積 1.3m2 1.8m2 
熱交換膜面積 0.3m2 0.4m2 
血液充填量(モジュール部) 240mL 273mL 
血液充填量(セット全体) 570mL 600mL 
熱交換水温度 最高41℃ 
熱交換水路圧力 最大1bar(750mmHg) 
血液流量圧力 最大0.533bar(400mmHg) 
遠心ポンプ回転速度 最大5000 rpm 
血液流量 0.5〜5L/min 0.5〜7L/min 


・センサ

圧力センサ 測定範囲 -500〜+900 mmHg 
精度 +250〜+900 mmHg:±7%以内
-150〜+249 mmHg:±10mmHg以内
-500〜-151 mmHg:±7%以内 
温度センサ 測定範囲 15 〜 45℃ 
精度 外気温 20〜24℃、回路内温度 32〜40℃:±0.7℃以内
外気温 15〜20, 24〜40℃、回路内温度 32〜37℃:±1.0℃以内 


・コネクタ

血液流入/流出ポート 3/8インチ 
ガスインレットポート 1/4インチ 
ガスアウトレットポート 3/8インチ 
血液学的パラメータ測定セル 専用駆動装置付属の静脈プローブ用 


4.
原材料

血液・体液・体液等に接触する原材料:
ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリウレタン、ポリエチレン、酸化アルミニウム、シリコーン、ポリスルフォン、ポリ塩化ビニル(プライミングセットの一部に可塑剤としてDEHPを含有)、NBR、ABS樹脂、へパリンナトリウム(生物(ブタ腸粘膜)由来高分子量ヘパリン)、人血清アルブミン(遺伝子組換え)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ステンレス、ポリエチレンテレフタレート、シリコーンゴム、シリコンオイル、ポリプロピレン、シリコーンエラストマ


5.
性能
・二酸化炭素除去能(37℃ ガス/血液流量比 1:1)

5Lタイプ


7Lタイプ


・酸素加能(37℃ ガス/血液流量比 1:1)

5Lタイプ


7Lタイプ


・遠心ポンプ流量特性

5Lタイプ


7Lタイプ


・圧力損失(人工肺部)

5Lタイプ


7Lタイプ


・熱交換能(37℃ ISO7199による)

5Lタイプ


7Lタイプ

使用目的又は効果

本品は、心肺機能を補助するために使用するヘパリン使用体外循環システムである。人工肺を備えた遠心式血液ポンプ、血液学的パラメータ測定セル、血液回路(チューブ)、ガスラインフィルタ、プライミングセット、カニューレ等から構成される。専用の駆動装置と共に使用する。本品は単回使用である。

使用方法等

1.
使用方法

(1)
使用準備

1)
CARDIOHELPコンソールの電源を切り、安全バーを開く。

2)
滅菌包装を開封し、HLSモジュールを取り出す。

3)
HLSモジュールをCARDIOHELPコンソールに取り付けて、正しい位置で固定されていることを確認する。

4)
全てのルアーロックの接続がゆるみや外れが生じないように確実に行われていることを確認する。

5)
脱気ポートを開放する。

6)
内蔵センサ用ケーブルをHLSモジュールのコネクタに接続する。
接続は一カ所でしか行えないので注意すること。

7)
CARDIOHELPコンソールの安全バーを閉める。

8)
CARDIOHELPコンソール上にテーブルセットを水平に置く。

9)
ソフトウェアバージョン3.4.0.0以上でCARDIOHELPコンソールを使用している場合:
CARDIOHELPコンソール付属品の流量/気泡センサを、動脈血流出ポート付近の動脈側ラインに装着する。

a.
流量/気泡センサは常にHLSモジュールの動脈側に取り付ける。[循環中に、流量/気泡センサが気泡を検出すると、ポンプ停止の原因となるため。]

b.
センサの矢印が血流方向と同じになるよう、流量/気泡センサを固定すること。
赤ライン上の白の印の間に3/8 "流量/気泡センサを取り付ける。


10)
ガスラインチューブをHLSモジュールのガスラインフィルタに接続する。ガスラインチューブの長さを適切な長さに調整し、ガスブレンダ又はガス供給ユニットに接続する。

11)
プライミングラインがホルダに固定できるように、滅菌バッグをホルダに取り付ける。

12)
プライミングセットの上部の両方の二方活栓及び青ライン上のクランプを閉じる。

13)
プライミングラインのスパイクを通じて、プライミングセットを1.5〜2Lの生理食塩液で満たす。

14)
プライミングセットのプライミングラインのクランプを閉じる。

15)
CARDIOHELPコンソールのフレームと滅菌バッグ下端との高さに十分な距離(約60 cm)があることを確認する。

16)
テーブルセットとプライミングセットラインの滅菌保護を外す。プライミングセットの静脈側(青ライン)をテーブルセットの青ラインに接続する。動脈側(赤ライン)も同様の作業をする。

17)
赤ラインの全てのクランプが開いていることを確認する。

18)
CARDIOHELPコンソールの電源を入れる。

19)
両電池の充電状態を確認する。

20)
必要なthApp(v-v ECLSまたはv-a ECLS)を選択する。

21)
"Global Override"モードにする。

22)
いずれかの血液パラメータのメニューで、静脈プローブが初期化され、セットが認識されたことを確認する。

23)
内蔵圧力センサの較正は、液の無い状態で行わなければならないため、プライミング前に較正を実施すること。

24)
ヒータークーラーユニットの水循環をHLSモジュールのコネクタに接続する。


(2)
プライミング

1)
人工肺のプライミング前に熱交換器に水を流し、漏れを確認すること。

2)
プライミング中は装置に漏れや損傷がないか確認すること。[患者が、感染、失血、塞栓症を引き起こす可能性があるため。]

3)
装置に漏れ・損傷がある場合、使用を中止すること。

4)
青ライン上のクランプを完全に開く。

5)
2分間3000 rpmに回転速度を設定する。

6)
少なくとも5秒間速度を0 rpmに下げ、流量/気泡センサをリセットする。その後1分間4000 rpmに回転速度を上げる。

7)
速度を0 rpmに下げる。人工肺の全てのルアーロックの脱気を行う。気泡が検出された場合、流量/気泡センサをリセットし、その後、5)と6)を繰りかえす。

8)
黄色の保護キャップで脱気膜を閉じる。

9)
血液流出側のクランプ記号の赤ラインを金属製の鉗子でクランプする。同様に血液入口側のクランプ記号の青ラインをクランプする。

10)
流量/気泡センサの下流で赤ラインをクランプする。

11)
流量センサーメニューで流量/気泡センサを校正する。

12)
流量/気泡センサの下流にあるクランプを外し、"Global Override"モードを解除する。

13)
赤と青ラインの金属製の鉗子を全て開く。不整脈やその他の健康上のリスクを回避するため、プライミング液は体外患者サポートを開始する前に温めておくこと。

14)
赤ライン、青ライン上の全てのクランプを閉じる。

15)
カップリングコネクタを取り外して、プライミングセットをテーブルセットから分離し、赤と青ラインを接続する。

16)
テーブルセットのトレイを開く。清潔操作で、クランプ記号上での赤と青ラインをクランプした後、赤と青のラインを接続する。この後、滅菌済みのテーブルセットを取り出す。

17)
カップリングコネクタを停止し、エアフリーでセットをカニューレに接続する。カニューレが正しく接続されていることを確認する。

18)
ケーブルタイを使用し、セットとカニューレの間のチューブ接続部を固定する。


(3)
体外循環

1)
セットを患者に接続した後、気泡センサは、必要に応じて青ラインの患者近傍に取り付けることができる。その後、センサをCARDIOHELPコンソールに接続する。

2)
酸素濃度80 %でガスを流し、ガス/血液流量比を1:2にする。

3)
v-a-ECLS適用の場合、クランプを外し適切な血流を設定する。
赤ラインのクランプを開き、動脈圧(PArt)に注意しながら、再度、赤ラインのクランプを閉じる。青ラインのクランプを開き、動脈圧(PArt)を10-20mmHgに達するまでスピードを上げた後、赤ラインのクランプを開き、適切な血流を設定する。

4)
循環開始時において、CARDIOHELPコンソールの適切なスピードにより患者抵抗は制御され、逆流を防ぐのに十分であることを確かめる。

5)
安全バーで初期化された静脈プローブを血液学的パラメータ測定セルに接続する。静脈プローブが正常に校正されていること及び使用するセットが正しく認識されている事を確認する。

6)
人工肺によるガス供給確認のために血液ガス分析を実施し、適量の酸素が患者に供給されていることを確認する。

7)
体外循環開始後、直ちにガス流量設定を確認する。測定値に従って酸素含有量とガス/血液流量比を調整する。また、赤・青ラインに基づき、直ちにガス交換を確認する。


(4)
ダイアロックの使用
体外循環中にチューブがバルブでダイアロックに接続されている場合、空気が人工肺に入ることがある。患者の血栓症を引き起こす可能性がある。

1)
すばやく回しチューブをダイアロックにねじ入れる。

2)
チューブがクランプされておらず、チューブ内の空気が流出する血液によって移動して、人工肺への空気のバックフローが防止されていることを確認する。

3)
人工肺内の圧力が周囲圧力より高いことを確認すること。


(5)
体外循環の終了

1)
血流量を200〜250mL/minに減らすか、速度を1000rpm未満に下げる。赤ラインの次に青ラインをクランプする。血流量または速度は、後負荷により変化する。

2)
ガス流量と温度を状況に合わせて調整し、血流を減らす。

3)
遠心ポンプを停止する。

4)
ヒータークーラーユニットの電源を切る。

5)
ガス流量を止める。


(6)
本品を空にする

・空の血液バッグを動脈出口側に接続すると重力により血液がHLSモジュール及びチューブから排出される。


(7)
機器の推奨交換手順

1)
交換用の機器を用意する。

2)
HLSモジュールへの熱交換水の供給を停止し、熱交換水用チューブを取り外す。

3)
"Global Override"モードを有効にする。

4)
現在使用しているセットから静脈プローブと内蔵センサを取り外す。

v-a ECLSは以下の手順とする。
a.
必要に応じてRPMモードに切り替え、0.6 L/ minの流量を設定する。

b.
セットの赤ライン、次に青ラインをクランプする。

c.
CARDIOHELPコンソールを0 rpmに設定し、HLSモジュールをCARDIOHELPコンソールの非常用ドライブに設置する。 これにより、上部ラッチの保護フィルムが押し込まれる。

d.
HLSモジュールがCARDIOHELPコンソールの非常用ドライブにしっかりと固定されていることを確認する。

e.
静脈クランプを取り外す。CARDIOHELPコンソールの非常用ドライブを1500 rpmに設定し、動脈クランプを開く。 最後に使用した速度で循環を再開する。 速度は、CARDIOHELPコンソールの非常用ドライブのLEDディスプレイに表示される。

v-v ECLSは以下の手順とする。
a.
CARDIOHELPコンソールを0 rpmに設定し、HLSモジュールをCARDIOHELPコンソールの非常用ドライブに設置する。これにより、上部ラッチの保護フィルムが押し込まれる。

b.
HLSモジュールがCARDIOHELPコンソールの非常用ドライブにしっかりと固定されていることを確認する。

c.
最後に使用した速度にて手動で循環を再開する。速度は、CARDIOHELPコンソールの非常用ドライブのLEDディスプレイに表示される。

d.
患者の圧力と血流に合わせて速度を調整する。


5)
「(2)プライミング」の手順に従い、交換用機器のプライミングを行う。

6)
交換用機器の準備が整ったら使用中の機器を停止し、患者近傍の動脈ライン及び静脈ライン上に各2箇所ずつ、約10 cm離してクランプする。ガス供給ユニットを新しいセットに接続する。

7)
使用中のカニューレを続けて使用する場合は、吸収性のある滅菌布をチューブの下に置く。チューブに消毒剤をスプレーし、滅菌された医療用鋏又は医療用刀でチューブを切断する。血液漏れに注意し、チューブ開口部での汚染を避ける。

8)
開いているチューブにコネクタを取り付ける。 コネクタを使用して赤・青ラインを正しいカニューレに接続する。 流れの方向を確認する。

9)
"Global Override"モードを無効にする。

10)
「(3)体外循環」の手順に従いシステムをスタートする。


(8)
緊急プライミングラインの使用方法
HLSモジュールに到達していない静脈ライン中の空気は緊急用プライミングラインで逆行させて取り除くことができる。血流を0.8 L/ minに減らすか、またはポンプ速度を1500 rpm未満にする。

1)
赤ラインをクランプする。ワイヤ補強の近くの指定されたクランプ部分で青ラインと静脈カニューレをクランプする。

2)
輸液バッグ又は輸液ボトルを使用して緊急用プライミングラインにプライミング液を満たす。静脈カニューレと青ライン間の接続を外す。

3)
HLSモジュールの緊急用脱気ポートに緊急用プライミングラインを接続する。接続部に空気がないことを確認する。

4)
緊急用プライミングライン用バッグを圧迫して青ラインから空気を取り除く。これを行うには、青ラインからクランプを外す。

・空気を患者に入れないこと。

・空気の侵入を防ぐため、脱気後、緊急用プライミングラインをクランプする。


5)
次に脱気された青ラインを静脈カニューレに再接続する。[気泡がなくなるようにするため。]

6)
システムの脱気が完了し、空気混入の原因が取り除かれたなら、直ちに青ライン、カニューレおよび赤ラインのクランプを開き、体外循環を再開する。必要に応じて、気泡センサをリセットする。

7)
空気が取り除かれた後、緊急用プライミングラインを取り外す。脱気が完了した直後は、金属と血液の接触を最小限に抑えるため緊急プライミングラインを取り外すこと。体外循環を再開する前に、空気・血栓塞栓症を防ぐため全身に血栓がないことを確認する。


(9)
カニューレ
カニューレの使用方法等については「HLSカニューレ」(承認番号:22600BZX00042000、自社)の添付文書を参照すること。

(10)
駆動装置
駆動装置の使用方法等については「CARDIOHELPコンソール(承認番号:22500BZX00277000)」の添付文書を参照すること。


2.
使用方法等に関連する使用上の注意

(1)
使用前、使用中の注意

1)
プライミングは使用直前に行うこと。[プライミングの実施が早すぎると、システム内の細菌増殖や患者への感染を引き起こす可能性があるため。また、事前にプライミングを行うとチューブが広がり、システム内に気泡が発生して患者に空気塞栓を起こす可能性があるため。]

2)
CARDIOHELPコンソールを患者の近傍に設置すること。

3)
電源と酸素の供給が十分可能であることを確認すること。[患者サポートが不十分になる可能性があるため。]

4)
HLSモジュールを吸引用に使用しないこと。

5)
チューブやケーブルは垂れ下がらないように配慮し、また引っ張ったりしないこと。

6)
機械的な衝撃や打撃を避けること。

7)
チューブやケーブルのキンクを避けること。

8)
HLSモジュールの血液学的パラメータ測定セルを清潔に保つこと。[検出面の汚れは、測定が不正確になり、結果として患者を危険にさらす可能性があるため。]

9)
患者の体位の変更や搬送する場合は、チューブへの張力や機械的損傷による抜管のリスクがあるため、細心の注意を払うこと。[不十分な患者サポートにつながる可能性があるため。]

10)
CARDIOHELPコンソールは、患者より低い位置に設置すること。[HLSモジュールに空気が入り、患者に空気塞栓症を引き起こす可能性があるため。]

11)
人工肺のガス流入口を上にして使用すること。

12)
体外循環の開始前に、HLSモジュール及び接続した機器が完全に脱気されていることを確認すること。

13)
タイバンドを使用し、カニューレと機器との接続部を二重に固定すること。静脈血流入ポートのコネクタまたは動脈血流出ポートのコネクタで漏れがあった場合は、更に3つ目のタイバンドを使用して固定すること。[空気が入らないようにするため。] 静脈カテーテルに空気を含まないように接続し、 青ラインに接続されている全ての補助コンポーネントは、外気に近づけ完全にエアフリーにすること。また、正しい流れの方向に注意すること。

14)
併用するカニューレの挿入部位や還流部位には十分注意し使用すること。[血管解離は禁忌となる場合があるため。]

15)
CARDIOHELPコンソールの機能とバッテリーチェックを行う。詳細はCARDIOHELP コンソールの取扱説明書等を参照すること。

16)
圧力ケーブルと流量/気泡センサのコネクタをCARDIOHELPコンソールのそれぞれのスロットに接続する。静脈プローブをCARDIOHELPコンソールの安全バーのスタンバイ位置に固定し、短い接続ケーブルをCARDIOHELPコンソールに接続すること。

17)
血漿増量剤が必要な場合は、回路内で泡立たないようにすること。

18)
セットが受動的にプライミングされ、フローが停止するまで待つこと。 ラインが挟まれたりねじれがないことを確認すること。

19)
部品が損傷する可能性があるため、硬いものは使用しないこと。患者の塞栓症および感染を引き起こさないよう、システムに残っている気泡を取り除く場合は、手でチューブシステムと人工肺を軽く叩くようにすること。

20)
熱交換器用水は清潔な水のみを使用し、水に汚れや粒子が含まれていないことを定期的に確認すること。また、洗浄した後、冷却回路から使用した洗浄剤と消毒剤を取り除くこと。[汚れた水や添加剤を含む水は、熱交換器の繊維を詰まらせ、人工肺の性能を低下させる可能性があるため。また、患者が過熱や低体温を患う危険性があるため。]

21)
滅菌包装を開けてすぐに全てのコネクタが保護キャップで閉じられていることを確認し、全てのコネクタが保護キャップで閉じられていない場合は使用しないこと。使用直前に保護キャップを取り外すこと。[保護キャップの紛失は製品の汚れに繋がる。結果、患者が感染する場合があるため。]

22)
使用中に、構成品に機械的な力がかかりチューブの接続が緩むことがあるため、すべての接続を確認し、過度の張力がかかるのを避けて構成品の完全性と漏れ防止機構をすぐに確認すること。また、チューブが曲がっていないことを確認すること。[失血、塞栓症、不適切な患者サポートにつながる可能性があるため。]

23)
漏れがあった場合、および空気塞栓症の場合には、患者の感染症、失血および塞栓症を予防するために、体外循環システムをクランプすること。常時、金属製クランプを4本用意し、鋭角がないことを確認すること。

24)
灌流前または灌流中に細胞増殖抑制剤を投与しないこと。

25)
矢印に注意し、流量/気泡センサの接続が、正しい流れの方向に接続されていることを確認すること。また、流量/気泡センサは動脈側に置き、ロック装置が所定の位置でカチッと収まっていることを確認すること。[不十分な接続は、ポンプが始動せず、また患者の空気塞栓症や患者への供給不足につながる可能性があるため。]

26)
ポンプの速度を極端に下げないこと。遠心ポンプが停止した場合、動脈側をクランプすること。[逆流を防止するため。また遠心ポンプは非閉塞血液ポンプであり、ポンプが停止すると、動脈の逆流が起こり、患者サポートが不十分になる可能性があるため。]

27)
構成品が全て揃っていることを確認すること。

28)
静脈血流入ポートのねじれ、締め付け、および閉塞を避けること。また、クランプが必要な場合、血流を0.6 L/min以下に減らし、 可能であれば、CARDIOHELPコンソールのLPMモードを停止すること。[ねじれ、締め付け、または閉塞は、特にポンプの高速度でキャビテーションを引き起こす可能性があり、患者に空気塞栓症を引き起こす可能性があるため。]

29)
血流およびガスフロー、ならびに血液側およびガス側の圧力許容最大値に注意すること。[許容最大値を超過すると、人工肺が損傷し、塞栓症を招く、あるいは患者サポートが不十分になる可能性があるため。]

30)
HLSモジュールに結露の兆候がないか監視し、環境と水回路との間の温度差が小さいことを確認すること。 結露の兆候がある場合、HLSモジュールを使用しないこと。また医療ガス/酸素供給でガスフローを開始する前に、水漏れテストをすること。[HLSモジュールに結露が発生し、それが水蒸気透過につながる可能性があるため。]

31)
本品はCARDIOHELPコンソールと併用し使用すること。本品の取り付けまたは取り外しはCARDIOHELPコンソールのポンプが停止している状態でのみ行うこと。ドライブと遠心ポンプの磁気的な干渉を防ぐため、本品がドライブに正しく取り付けられ、しっかり固定されていることを確認する。[本品の誤った設置は、装置の誤動作の原因となり、患者を危険にさらす可能性があるため。]

32)
緊急時にのみ、ルアポートの「クイックベント」を使用すること。 プライミング中および灌流中は、「クイックベント」が閉じていることを確認すること。

33)
冷温水槽の清掃に過酸化水素を使用しないこと。[HLSモジュールの完全性に影響を与える可能性があるため。]

34)
熱交換水路圧力は、1bar(750 mmHg)を超えないこと。[水圧が高すぎると、人工肺を損傷し、血液に水が入る可能性があり、 感染の危険があるため。]

35)
使用前に温度センサの機能を検査し、合格した温度センサのみを使用すること。[検査に合格していない温度センサは、不正確な測定につながる可能性があり、患者の不整脈、凝固の問題または血液の損傷を引き起こすため。]

36)
動脈出口の温度センサの測定値について、外気温によって精度が変化することを留意すること。

37)
遠心ポンプは、静脈側に高い陰圧を生じさせることがあるため、最小流量での高速回転は避け、静脈側の陰圧をモニターすること。[患者の気泡の形成および溶血の増加につながり得るため。]

38)
CARDIOHELPコンソールにポンプ障害が発生した場合は、非常用ドライブユニットを使用すること。そのため、非常用ドライブユニットをCARDIOHELPコンソールの近くに配置し、いつでも手動操作に切り替えられるように準備しておくこと。また、常に非常用ドライブユニットをきれいに保っておくこと。[CARDIOHELPコンソールがポンプ故障を起こすと、患者への血流を減少させる又は中断することがあり、患者サポートが不十分になる、溶血または血栓の形成が起こる可能性があるため。]

39)
サンプリング用ルアーロックコネクターのリンスが不十分な場合、凝固や空気の混入を引き起こす可能性があるので注意すること。


(2)
体外循環中の注意

1)
体外循環中は、常に静脈血の戻りが十分にあり、患者の水分バランスが生理学的に正しいことを確認すること。患者の中心静脈圧、あるいは遠心ポンプ上流の静脈チューブ内で測定される圧力(pVen)を指標とすることができる。

2)
静脈系内が陰圧の場合、ガス気泡の発生を引き起こす可能性がある。可能であれば、-75mmHg以下にしないこと。また、静脈ライン内への急激な陰圧(低〜高)の移行は回避すること。[キャビテーションと溶血を防ぐため。]

3)
定期的に(例えば、ACT又はPTTを測定することにより)、抗凝固薬の効果を確認すること。

4)
血流量が0.5〜2.5L/分の場合、凝固及び外観の検査をより短い間隔で実施し、必要であればACT / PTTの値を上げること。

5)
チューブクランプを使用する前には、血流量を0.8 L/min未満に設定すること。必ず青ラインを固定する前に、赤ラインを固定すること。

6)
クランプ使用前にはLPMモードを解除すること。

7)
体外循環が一時的に中断された場合、再循環は最低流量を200-250mL/minに維持すること。

8)
灌流中は、定期的に血液ガス分析を行うこと。チェックした静脈血ガス値に基づいて、CARDIOHELPコンソールの静脈プローブを再校正すること。重大な不適合がある場合、血液ガス分析のテスト間隔を長くすること。

9)
気泡センサが正しい順序で接続されていない場合、アラームが発生し、自動逆流防止がトリガーされる場合がある。気泡センサの詳細は、気泡センサの添付文書等を参照すること。

10)
適切なガス流量、ガス/血液流量比を確保すること。

・静脈-動脈体外循環(v-a ECLS)を使用し、1:2のガス/血液流量比で灌流を開始し、酸素濃度は少なくとも80%とする。

・静脈-静脈体外循環(v-v ECLS)を使用し、1:2のガス/血液流量比で灌流を開始し、酸素濃度は少なくとも100%とする。


(3)
機器の交換

1)
以下の場合は、機器の交換を考慮する必要がある:

a.
血液回路又はHLSモジュールでの漏れ。漏れを確認した場合、速やかに患者からチューブを取り外すこと。

b.
HLSモジュール内への空気の混入。ただし、HLSモジュールに未到達の静脈ライン内の空気は、緊急用プライミングラインで逆行させて除去できる。

c.
血液回路又はHLSモジュール内の凝固の視覚的兆候(例、血栓形成)。

d.
最大ガス流量又は100% FiO2供給において、不十分な酸素加能あるいは二酸化炭素除去能。

e.
HLSモジュールの圧力損失とガス交換能レベルをモニターし、必要であれば機器を交換すること。
人工肺の圧降下は、性能低下の兆候となり得るため、人工肺の上流および下流の圧力の測定によって圧降下を監視すること。圧降下が大きい場合は、人工肺の交換を検討すること。また、血液ガス分析によりガス交換速度をチェックする。[患者サポートが不十分になる可能性があるため。]

f.
遠心ポンプで異常なノイズがする場合は、機器を交換すること。遠心ポンプの漏れや引っかかるような音は、故障の兆候である。システムのプライミング時に引っかかるような音がしないか確認し、音が聞こえる場合は、交換すること。また、交換用の予備を常に準備しておくこと。[誤動作により患者サポートが不十分になる可能性があるため。]


2)
ガス交換能及び圧力損失の増加が観察される場合、機器の交換は他の状況と併せて判断する:

a.
ガス交換能及び動脈血ガス分析値が良好な場合、圧損失の増加は仕様に示された限度値以内で容認できる。

b.
圧力損失の増加と共にガス交換能の低下する状態が継続する兆候にある場合は、早急に機器を交換する必要がある。圧力差(ΔP)が大きくなり、ガス交換能が著しく損なわれている場合は交換が必要となる。

使用上の注意

1.使用注意(次の患者には慎重に適用すること)

重度の出血又は重篤な凝固障害のある患者は体外循環及び/又は肺機能補助は、全身性抗凝固療法におけるリスクを考慮したうえで行うこと。また、システム内のプライミング液による血液希釈を考慮すること。プライミング液や使用薬剤の選択についても、患者のアレルギー反応を考慮すること。[体外補助循環が禁忌となる場合があるため。血液希釈及びプライミング液、使用薬剤が適正な体外循環を行ううえで重要なため。]

2.重要な基本的注意

(1)
HLSモジュールの拡散膜を揮発性麻酔薬(麻酔ガス)と併用しないこと。[麻酔ガスに対する透過性が制限されているため。]

(2)
乾燥状態で供給された空気と酸素を医療ガスとして使用すること。

(3)
チューブの接続が正しく確実に固定されていることを確認し、システム内のすべてのチューブ接続をケーブルタイで固定すること。[不十分な接続は、患者の失血および空気塞栓症につながる可能性があるため。]

(4)
人工肺の動作位置が正しくない場合、またはガス流が遮断された場合、人工肺の性能は制限されるため、人工肺の上部にガス流入口がある状態でのみを使用すること。また、ガス流出口を塞いだり、閉じたりしないこと。[人工肺の動作位置が正しくない場合、またはガス流が遮断された場合、人工肺の性能は制限されるため。]

(5)
人工肺を定期的にフラッシングして、ガス交換容量を維持・増加させること。

-6時間以上使用する場合:少なくとも1日に1回、人工肺をフラッシュすること。

-フラッシングは、患者の血液ガスレベルが許容される場合にのみ実行すること。

-フラッシングプロセス中は、患者の血液ガスパラメータを注意深くモニターすること。

-低炭酸ガス血症の兆候が生じた場合、ガスファイバーのフラッシングを中止すること。


(6)
水と熱交換器の静脈血流入ポート間の温度差は8℃を越えないこと。また、熱交換水温度は37.9℃を越えないこと。[血液損傷を予防するため。]

(7)
プライミング液は体温と同一温度にし、接続した加温器を適切な温度に設定すること。[体温の低下や心不整脈を予防するため。]

(8)
動脈血ガス分析には”動脈血流出ポート”の”サンプリング”コネクタのみを使用すること。採血用に、”緊急用脱気ポート”又は”ルアポート”コネクタは使用しない。[正しくない位置からのサンプリング及び間違った血液レベルによる血液ガス分析は、患者に障害を与えることがあるため。]

全血液ガス分析基づく可能な対策 
pO2 high FiO2を減らす 
pO2 low FiO2を増やす 
pCO2 high ガス流量を増やす 
pCO2 low ガス流量を減らす 


(9)
ヘパリンまたはアルガトロバンなどの抗凝固剤を使用し、一定の間隔で活性凝固時間(ACT)を測定し、抗凝固剤の効果をチェックすること。目標ACT値はELSOのガイドライン1)等の国内で推奨されるガイドラインや施設のECMOマニュアルに従って、臨床的必要性に応じて患者ごとに適切な値を設定すること。全身性抗凝固療法におけるリスクを考慮した上で行うこと。[適切な抗凝固療法を実施しないと、システム内で凝固が起こり、結果的に体外回路および患者回路が閉塞し、患者のサポート、血栓形成、溶血等となる可能性があるため。]

(10)
部分トロンボプラスチン時間(PTT)は60〜90秒の範囲とする。正常範囲内のアンチトロンビンIII(AT III)値は、信頼性のあるヘパリンの抗凝固療法に必要である。

(11)
患者の凝固状態を定期的に確認すること。[鬱血を防ぐため。]

(12)
患者のヘマトクリット値と血液量が十分に高く、適切であることを常に確認すること。濃縮赤血球や、必要であれば生理学的代替液を適宜投与して損失を補うこと。

(13)
血液温度を監視すること。温熱治療器とHLSモジュールの熱伝達を定期的にチェックすること。[血液温度の低下は、患者の血行動態の不安定性、不整脈および凝固障害を引き起こす可能性があるため。]

(14)
灌流中は脱気膜を開いておくこと。[人工肺の安全な脱気を確実にするため。]

(15)
灌流および再循環中、常に血液側に陽圧を維持すること。[ガス圧力または外気圧が体外循環よりも高い場合、ガスが血液に入る可能性があり、患者の空気塞栓症につながるため。]

(16)
ポンプが高速で作動している場合、HLSモジュールの血液流入ポート側の閉塞は避けること。[血流が急に加速されると、血液側に負圧が生じる可能性があるため。]

(17)
アルコール、エーテル、アセトンなどの溶剤や液体吸入麻酔薬(例:イソフルラン、エトレン(エンフルレン)等)を本品の内部及び外装に接触させないこと。[これらの溶剤は本品やその機能を損傷する可能性があるため。]

(18)
プロポフォール等の注入麻酔薬を使用する場合、人工肺の上流から直接投与しないこと。患者へ直接投与し、少量のボーラス量又は低量を時間単位ごとに投与すること。過剰な薬剤ボーラス投与は、人工肺の機能を損なう可能性がある。 [膜上の付着物は不十分な患者サポートを招く可能性があるため。]

(19)
作動中は人工肺の脱気膜が黄色い保護キャップで閉じられていることを確認すること。

(20)
灌流直前又は灌流中はメチレンブルーを使用しないこと。

(21)
機器のいかなる部分にも滞留を発生させないこと。[血栓形成を予防するため。]

(22)
本医療機器を用いた体外循環回路の接続・使用に当たっては、学会のガイドライン等、最新の情報を参考とすること。

<参考>日本心臓血管外科学会、日本胸部外科学会、
日本人工臓器学会、日本体外循環技術医学会、
日本医療器材工業会:人工心肺装置の標準的接続方法及びそれに応じた安全教育等に関するガイドライン


(23)
遠心ポンプを液体なしで作動させると、ロータベアリングが損傷することがあるため、遠心ポンプはプライミングをしてから始動させること。[装置が完全に機能せず、ポンプ性能が低下し、患者を危険にさらす可能性があるため。]

(24)
プロタミンは患者へ直接投与し、人工肺を介した投与はしないこと。また、プロタミンは灌流が終了するまで投与しないこと。[プロタミンの投与は、体外循環および患者回路の閉塞を引き起こし、不十分な患者サポート、溶血、または血栓形成を引き起こす可能性があるため。]

(25)
本品をMRI機器の近くで使用しないこと。

(26)
体外循環により、副作用を発症する可能性があるため、定期的に患者を監視すること。

(27)
交換時期:患者及び機器の状態により【使用方法等】2.使用方法等に関する使用上の注意「体外循環中の注意」「機器の交換」及び【使用上の注意】2.重要な基本的注意の項に従って、適切な時期に機器を交換すること。機器の異常等が疑われる場合は、最大使用期間を待たずに機器の交換を検討すること。

(28)
本品の付属品であるプライミングセットの一部に可塑剤としてDEHPを含有するポリ塩化ビニルが使用されている。血液又は組織に接触する部分にDEHPを含有している材料を使用している製品の包装には、DEHPを含有することを示す記号が記載されている。当該付属品の使用は短期間を意図しており、同一患者への使用は原則一回限りであるため、最近の知見に基づけば、DEHPによる患者へのリスクは無視できる程度である。

(29)
HLSカニューレ以外のカニューレを使用する場合には、当該カニューレの添付文書を参照し、適切に使用すること。

(30)
動脈ラインと静脈ラインは必ず同時にクランプすること。[ラインへの空気混入やラインからの液漏れを防止するため。]

3.相互作用

(1)
併用注意(併用に注意すること)
医薬品の名称等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 
プロタミン コーティングした医療機器に直接投与しないこと。 ヘパリン表面のコーティングに影響を与えるおそれがあるため。 

4.不具合・有害事象

(1)
重大な不具合
機器の交換、空気混入、リーク、キャビテーション、ポンプ作動不良

(2)
その他の不具合
血栓形成、デルタP上昇/高値、ガス交換能低下、フロー低下

(3)
重大な有害事象
溶血、塞栓症

(4)
その他の有害事象
感染症、灌流後症候群、臓器損傷
敗血症、呼吸器等障害、心タンポナーデ、心室細動、多臓器障害、皮下気腫、播種性血管内凝固、壊死性膵炎、血圧低下、悪性新生物、急性腎障害、四肢壊死

5.その他の注意

(1)
患者移送の注意

1)
病院間の患者移送中は、患者の近くに固定し使用すること。

2)
酸素ボンベ内に酸素が十分あり、CARDIOHELPコンソールのバッテリがチャージされていることを確認すること。

3)
作動中はシステムをベッドに固定し、決して手で持ち運ばないこと。

4)
入口やエレベータ等の狭い空間での移送に注意すること。

5)
移送中の患者の体温低下を予防すること。

6)
与圧せずに高度が上昇している状態でシステムを使用する場合は、大気圧が低くなるためガス供給率が低下することに注意すること。
CARDIOHELPコンソールの設定を行うときは細心の注意を払い、変更された周囲圧力を考慮すること。[患者移送中は、患者とシステムにかかる大気圧が変化し、ガス移動速度が低下しCARDIOHELPコンソールの表示値が変更される可能性があるため。]

7)
患者の移送中、ポンプの使用が不能となった場合は、CARDIOHELP非常用ドライブユニットを使用すること。CARDIOHELP非常用ドライブユニット、電源ケーブル、ガスボンベ、減圧器、電池の充電等を準備し清潔に保っておくこと。[患者の輸送中、システムの環境への影響と供給元が変わり、感染症や不十分な患者サポートにつながる可能性があるため。]


6.カニューレ
カニューレの使用上の注意については「HLSカニューレ」(承認番号:22600BZX00042000、自社)の添付文書を参照すること。

臨床成績

体外式膜型人工肺(Extracorporeal Membrane Oxygenation:ECMO)による治療を必要とする重症呼吸不全患者を対象として、本品の中長期間(6時間以降)使用における有効性及び安全性を検討した試験成績は以下の通りである。

1.
治験機器構成
・補助循環システムHLS SET Advanced(以下、HLSセット)

・HLS カニューレ(以下、カニューレ)

2.
試験の方法
治験デザイン:多施設共同、オープンラベル試験

対象患者:体外式膜型人工肺(ECMO)による治療を中長期間必要とする重症呼吸不全の患者

被験者数:20症例

抗凝固療法:治験機器使用中の抗凝固療法は、ELSO のガイドラインを推奨する。また、離脱目的等における低流量での抗凝固療法は、施設の方法に準じて行う。

3.
結果

1)
有効性評価項目
1台目の治験機器が3日(72時間)以上使用できた被験者の割合は90.0%(有効性解析対象集団の20例中18例、95%信頼区間68.3〜98.8%)であり、本治験の成功基準として設定した「1台目の治験機器が3日以上使用できた被験者の割合の点推定値が50%以上」を上回った。また、主な有効性評価項目の成績は以下の通りである。

評価項目 結果(n=20) 
主要 3日以上使用できた被験者の割合 HLSセット/カニューレ 90% (18例) 
HLSセット 95% (19例) 
カニューレ 95% (19例) 
平均使用日数
(最小-最大/中央)
(1台目) 
HLSセット 15.13日
(0.8-49.8/13.45日) 
カニューレ 19.54日
(0.7-63.0/14.00日) 
副次 ECMO開始後14日生存率 1.00 (N=19) 
ECMO開始後30日生存率 0.89 (N=19) 
不具合に伴う交換(14日目まで) HLSセット 9.1 % (N=22) 
カニューレ 0.0 % (N=41) 
不具合に伴う交換(30日目まで) HLSセット 8.0 % (N=25) 
カニューレ 0.0 % (N=41) 


2)
安全性評価項目
治験における重篤な有害事象は、8例において(21件)発現し、その発現率は40.0%であったが、重篤な有害事象のいずれも治験機器との因果関係は否定されており、発現した副作用においてもECMOシステム使用時に通常起こり得る範囲での事象であった。重篤な有害事象と不具合は以下の通りである。

評価項目 結果(n=20) 
有害事象 死亡 3(15.0%) 
重篤な有害事象(重複例あり): 8 (40.0%) 
 感染症および寄生虫症(敗血症、敗血症性ショック)  4 (20.0%) 
 呼吸器、胸郭および縦隔障害  3 (15.0%) 
 心臓障害(心タンポナーデ、心室細動)  2 (10.0%) 
 一般・全身障害及び投与部位の状態(多臓器障害)  2 (10.0%) 
 皮膚および皮下組織障害(皮下気腫)  2 (10.0%) 
 血液及びリンパ系障害(播種性血管内凝固)  1 ( 5.0%) 
 胃腸障害(壊死性膵炎)  1 ( 5.0%) 
 臨床検査(血圧低下)  1 ( 5.0%) 
 良性、悪性および詳細不明の新生物(肺の悪性新生物)  1 ( 5.0%) 
 腎および尿路障害(急性腎障害)  1 ( 5.0%) 
 血管障害(四肢壊死)  1 ( 5.0%) 
重要な有害事象:溶血 5 (25.0%) 
重要な副作用(機器に起因する有害事象):溶血 4 (20.0%) 
不具合 人工肺 (N=28・重複例あり) :   
 血栓形成 4 (14.3%) 
 デルタP上昇 2 ( 7.1%) 
 ガス交換能の低下 1 ( 3.6%) 
 デルタP高値 1 ( 3.6%) 
 フローの低下 1 ( 3.6%) 
カニューレ(N=45): 不具合なし 

保管方法及び有効期間等

1.保管方法

(1)
本品は滅菌済み医療機器であり、発熱性物質を含まない。開封又は包装が損傷しない限り使用期限まで無菌性が保たれる。

(2)
一次包装の状態で本品を積み重ねないこと。[滅菌包装が損傷するおそれがあるため。]

(3)
水ぬれに注意し、直射日光および高温多湿、低温を避けて保管すること。

2.有効期間

滅菌日より1年または2年(製造元ラベルに使用期限を表示)

3.使用期間

最大14 日間(ただしHLS カニューレ以外のカニューレと併用した場合の有効性及び安全性は確認されていない。)

主要文献及び文献請求先

1.主要文献

1)Extracorporeal Life Support Organization / ELSO: General Guideline for all ECLS Cases

製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称等

氏名又は名称(製造販売業の種別)

ゲティンゲグループ・ジャパン株式会社

第一種医療機器製造販売業

住所等

〒140-0002 東京都品川区東品川2-2-8 スフィアタワー天王洲

電話番号

03-5463-8310(文献請求先も同じ)

緊急連絡先

氏名又は名称
(記載なし)

住所等
(記載なし)

電話番号
(記載なし)

その他の安全性情報

備考

(ヘパリン使用単回使用遠心ポンプ:70521200、ヘパリン使用体外式膜型人工肺:17643200、ヘパリン使用体外循環用血液学的パラメータモニタ向け測定セル:70528000、ヘパリン使用中心循環系動静脈カニューレ:47733204、単回使用輸液容器:35127000)