機械器具等 17 血液検査用器具

血球計数装置

多項目自動血球分析装置 XE-5000

取扱説明書を必ず参照する

作成又は改訂年月

*2007年3月20日(第2版)

2006年10月18日(第1版)

承認・届出等

販売名

多項目自動血球分析装置 XE-5000

添付文書管理コード

28B3X00048000017_A_01

届出番号

28B3X00048000017

承認・認証年月等

平成19年1月

一般的名称

一般的名称
35476000
血球計数装置

警告

サンプラをご使用の場合、サンプラ測定動作中は、手で測定ラインまでラックを押し込まないでください。ごく稀に検体番号と測定結果がずれることがあります。

禁忌・禁止

(記載なし)

形状・構造及び原理等

1.
構成
本装置は測定部本体(CP,据置バーコードリーダ内蔵)、サンプラまたはコンベアシステム、データ処理部および空圧源で構成されています。

*

オプションとしては100検体サンプラ(またはコンベアシステム)、エアフィルタ、排液監視ユニット、消音ボックス、後面カバー、ハンディーバーコードリーダ、データプリンタ、カラーグラフィックプリンタ、レーザプリンタがあります。

各部の機能を十分理解してお使いください。

2.
質量・寸法
 寸法(mm)
(幅×奥行き×高さ) 
重量(kg) 
測定部本体(CP内蔵) 706×535×711 約81 
サンプラ 580×377×195 約12 
空圧源 195×395×333 約15.5 

・寸法許容幅は上表の値±3%とする。また、突起物は含まない。
・重量許容幅は上表の値±10%とする。


3.
消費電力
外部電源供給用主電源:

110V/117V/220V/240V 各±10%, 50/60 Hz

消費電力(測定部、サンプラ、空圧源部):

800 VA以下

※詳細は本装置の取扱説明書「第3 章 各部の名称と機能」、「第11 章 技術資料」を参照してください。

4.
原理
本装置は、RF/DC 検出法、シースフローDC 検出法、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法およびSLS-ヘモグロビン法により、測定を行います。

(1)
RF/DC 検出法
RF/DC 検出法は、直流抵抗の変化による血球の大きさと、高周波抵抗の変化による血球内部の密度を検出します。

血液試料は吸引定量され、規定倍率で希釈された後、各検出器チャンバに送り込まれます。検出器チャンバには、アパーチャと呼ばれる細孔があり、その両側にある電極間に直流電流と高周波電流が流れています。希釈試料中に浮遊する血球がアパーチャを通過することによって、電極間の直流抵抗および高周波抵抗が変化します。

直流抵抗の変化による血球の大きさに加え、高周波抵抗の変化が血球内部の密度(核の大きさなど)を、電気パルスとして検出します。

このパルスの大きさを求めることにより、血球の大きさと内部密度の2 次元分布(スキャッタグラム)を描きます。これらを解析することにより、種々の測定データを得ることができます。

(2)
シースフローDC 検出法
検出器内は試料ノズルがアパーチャの前に配置され、センターが合わされています。希釈試料が試料ノズルから円すい形のチャンバ内に押し出されると、試料はフロントシース液に包まれアパーチャ中央部を通過します。

アパーチャ通過後、希釈試料はバックシース液に包まれ回収管へと送り込まれます。これにより、この領域での血球の舞い戻りを防止し、疑似血小板パルスの発生を防ぎます。

このシースフロー方式により血球計数の正確度と再現性が向上します。また、血球が一列に並んでアパーチャを通ることから、異常な血球パルスの発生も防止されています。

(3)
半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法
サイトメトリーとは細胞やその他の生物学的な粒子の物理的な性質や科学的な性質を測定することであり、フローサイトメトリー(flow cytometry )は細い流れの中をこれらの細胞や粒子を通過させて測定を行うための方法です。

血液試料は吸引定量され、規定倍率で希釈、染色させた後、シースフロー機構により、フローセル内へ送り込まれます。

このシースフロー機構により、血球計数の正確度と再現性を向上させ、かつ血球粒子が一列に並んでフローセル中央部を通過することから、異常な血液パルスの発生を防止し、フローセルの汚れを減少させています。

フローセル内を通過する血球に半導体レーザ光を照射して発せられる前方散乱光をフォトダイオードで、側方散乱光と側方蛍光をフォトマルで受光し、電気パルスに変換し検出することにより血球の情報を得ることができます。

1)
前方散乱光、側方散乱光
光の進行途中に粒子などの障害物が存在すると、光がそれを中心にさまざまな方向に広がります。この現象は光散乱と呼ばれています。この散乱光を検出することにより、微粒子の大きさや材質に関する情報を得ることができます。

血球粒子にレーザ光が照射された場合も同様に、血球粒子による光の散乱が起こります。

散乱光の強度は、粒径および観測する角度などに依存しますが、本装置では、血球の大きさ情報を反映する前方散乱光と血球の内部情報(核の大きさなど)を反映する側方散乱光を検出します。

2)
側方蛍光
染色された血球のような蛍光物質に光を照射すると、照射した光の波長より長い波長の光を発します。この蛍光の強度はよく染色されれば強くなります。この蛍光を検出することにより血球の染色度合に関する情報を得ることができます。

蛍光は全ての方向に発せられるので、XE-5000ではこの蛍光のうち側方に発せられる側方蛍光を検出しています。


(4)
SLS-ヘモグロビン法
従来、自動化法におけるヘモグロビンの測定は、シアンメトヘモグロビン法またはオキシヘモグロビン法による測定が主流となっていました。しかし、XE-5000のような大型全自動器にとって一長一短があります。

SLS-ヘモグロビン法は、この両者の長所を活かした測定法です。

SLS-ヘモグロビン法は、オキシヘモグロビン法と同様、血液ヘモグロビンの転化反応が迅速で毒劇物を含有していないため、自動化法に適しています。

また、メトヘモグロビンの測定が可能なため、コントロール血液のようなメトヘモグロビンを含んだ血液も正確に測定することができます。


※詳細は本装置の取扱説明書「第11章 技術資料」を参照してください。

使用目的、効能又は効果

1.
使用目的
本品は、電気抵抗法により血球数を計測する装置です。

品目仕様等

1.
性能

(1)
同時再現性(併行精度):正常新鮮血または中濃度のコントロール血液を全血モード10回以上測定した場合の変動係数で表します。

1)
マニュアルモード、サンプラモード
WBC 3.0%以下(40×102/μL以上)

RBC 1.5%以下(400×104/μL以上)

HGB 1.0%以下

HCT 1.5%以下

MCV 1.0%以下

MCH 1.5%以下

MCHC 1.5%以下

PLT 4.0%以下(10×104/μL以上)

RDW-SD 2.0%以下

RDW-CV 2.0%以下

PDW 10.0%以下

MPV 3.0%以下

P-LCR 15.0%以下

PCT 5.0%以下

NEUT% 8.0%以下

(30.0 NEUT%以上、WBC 40×102/μL以上)

LYMPH% 8.0%以下

(15.0 LYNP%以上、WBC 40×102/μL以上)

MONO% 20.0%以下

(5.0 MONO%以上、WBC 40×102/μL以上)

EO% 25.0%以下、または±1.5 EO%以内

(WBC 40×102/μL以上)

BASO% 40.0%以下、または±1.0 BASO%以内

(WBC 40×102/μL以上)

NRBC% 25.0%以下、または±1.5 NRBC%以内

(WBC 40×102/μL以上)

NEUT# 8.0%以下(12.0×102/μL以上)

LYMP# 8.0%以下(6.0×102/μL以上)

MONO# 20.0%以下(2.0×102/μL以上)

EO# 25.0%以下、または±1.2×102/μL以内

BASO# 40.0%以下、または±0.6×102/μL以内

NRBC# 25.0%以下、または±1.2×102/μL以内

RET# 15%以下

(ただしRBC 300×104/μL以上、RET% 1-4%)

RET% 15%以下

(ただしRBC 300×104/μL以上、RET% 1-4%)

LFR 30%以下

(ただしRBC 300×104/μL以上、RET% 1-4%、LFR 20%以上)

MFR 50%以下

(ただしRBC 300×104/μL以上、RET% 1-4%、LFR 20%以上)

HFR 100%以下 または ±2HFR%

(ただしRBC 300×104/μL以上、RET% 1-4%)

IFR 30%以下

(ただしRBC 300×104/μL以上、RET% 1-4%、IFR 20%以上)

2)
キャピラリモード
WBC 9.0%以下(40×102/μL以上)

RBC 4.5%以下(400×104/μL以上)

HGB 3.0%以下

HCT 4.5%以下

MCV 4.5%以下

MCH 4.5%以下

MCHC 4.5%以下

PLT 12.0%以下(10×104/μL以上

RET# 35%以下(RBC 300 ×104/μL以上, RET% 1-4%)

RET% 35%以下(RBC 300 ×104/μL以上, RET% 1-4%)

操作方法又は使用方法等

1.
設置条件

(1)
水のかからない所に設置してください。
(2)
必ず接地してご使用ください。
(3)
高温、高湿、ホコリ、直射日光などの悪影響を受けないところに設置してください。
(4)
設置時及び運搬時に強い振動や衝撃をあたえないように注意してください。
(5)
化学薬品の保管場所や換気の悪い場所に設置しないでください。


2.
使用環境条件

(1)
周囲温度は15〜30℃(最適使用温度25℃)、相対湿度は30%〜85%の範囲内で使用してください。
(2)
環境温度、湿度に適応しない場合、空調管理してください。


3.
使用方法

(1)
測定準備

1)
試薬の点検と交換
試薬量を確認し、不足している場合には交換します。

2)
電源の投入
本体および周辺機器の電源を投入してください。

3)
装置の点検
電源スイッチを入れると装置は自己診断を行います。

4)
精度管理
コントロール血液やその他の精度管理手法により、データをチェックします。


(2)
測定
<マニュアルモードによる測定>

1)
測定検体の血液量を確認し、よく撹拌します。
2)
スタンバイ表示を確認後、採血管をピペットの下へ持っていき、全血吸引ピペットの先端が採血管の底に当たるまで挿入してください。
3)
スタートスイッチを押すとランプが点滅し、全血吸引ピペットから血液が一定量吸引されます。
4)
アラーム音がなってから採血管を全血吸引ピペットからはずします。血液は自動的に希釈・溶血・染色され計数、解析されます。


<サンプラモードによる測定>

1)
ラックに試験管を並べサンプラにセットします。1ラックには採血管を10本までセットできます。
2)
スタンバイ表示を確認後、サンプラ測定キーを押し、スタートさせます。
3)
装置は自動的に血液の有無を判断して撹拌、吸引、測定を行います。
4)
サンプラにセットされた試料の測定が全て終了すれば、自動的に停止します。また、サンプラ動作中に緊急検体の依頼があれば、サンプラ動作を中断し、マニュアルモードによる割り込み測定が可能です。


<クローズド測定>

1)
クローズド測定の詳細については、本装置の取扱説明書「第6章 操作」を参照してください。


<キャピラリモードによる測定>

1)
測定検体の血液量を確認し、希釈液で血液を5倍に希釈、撹拌します。
2)
スタンバイ表示を確認後、キャピラリ測定モードを選択し、全血吸引ピペットの先端が容器の底に当たるまで挿入してください。
3)
スタートスイッチを押すとランプが点滅し、全血ピペットから血液が一定量吸引されます。
4)
アラーム音がなってから容器を全血吸引ピペットからはずします。血液は自動的に希釈・溶血・染色され計数、解析されます。


(3)
測定結果

1)
測定が終了すると測定結果がデータ処理装置の画面に表示されます。接続された外部プリンタを使用することで検査伝票等にデータを印字することができます。コンピュータに測定結果を転送することも可能です。


(4)
測定終了後の処理

1)
洗浄
シャットダウン処理でセルクリーンを吸引させることにより、本体内部の洗浄が行われます。

2)
電源オフ
シャットダウン処理終了後、電源スイッチを切ります。


(5)
定期保守

1)
コントロール血液やその他の精度管理手法により、定期的に精度管理を実施し、測定値の信頼性を確保します。また定められた保守項目を定期的に行い、装置を安定した状態に保ってください。

※詳細は本装置の取扱説明書「第6章 操作」を参照してください。

使用上の注意

1.一般的注意事項

(1)
本機器の使用経験の全くない方は単独で使用しないでください。
(2)
本機器は、スクリーニング用の検体検査機器です。測定結果に基づく臨床判断は、臨床症状や他の検査結果等と合わせて医師が総合的に判断してください。
(3)
本機器は精密な測定機器であり、機器の近傍で携帯電話等の使用等、電磁環境下での使用をしないでください。測定結果に影響を与える恐れがあります。
(4)
故障したときは、取扱説明書に明示された範囲で責任者が処置をし、それ以外の故障修理は専門家にまかせてください。


2.当該装置固有の基本的注意

(1)
サンプラをご使用の場合、以下の項目について注意してください。ごく稀に検体番号と測定結果がずれることがあります。

1)
検体へのバーコードラベルの貼り方には注意してください。
※詳細は本装置の取扱説明書「第6章 操作」を参照してください。

2)
サンプラの右槽、左槽および測定ラインに汚れや異物がないことを確認してください。
3)
ラックの底に汚れや異物が付着していないか、また、損傷や変形していないことを確認してください。
4)
ハンドクリッパに汚れや異物が付着していないか、また、損傷や変形していないことを確認してください。
※詳細は本装置の取扱説明書「第9章 清掃/保守」を参照してください。

5)
サンプラ測定動作中は、CPカバーに触れたり、CPカバーを外したりしないでください。
6)
サンプラ測定動作中は、手で測定ラインまでラックを押し込まないでください。
7)
サンプラ測定動作中は、測定ライン上のラックには、触れないように注意してください。
8)
サンプラ測定動作中に、「ラック送り込み動作異常」「ラック横送り動作異常」「ラック送り出し動作異常」のエラーが発生したときには、検体番号と測定結果にずれが発生していないか、測定ライン上のラックおよび送り出された直後のラックに挿入している全ての検体の測定結果を確認してください。
※詳細は本装置の取扱説明書「第10章 トラブルシューティング」を参照してください。


3.その他の注意

(1)
コントロール血液等を用いて精度管理を実施してください。
(2)
精度管理は、少なくとも1日1回以上実施し、装置が正常に動作していることを確認してください。
(3)
使用試薬の開封後は、ホコリ・ゴミや菌等が入らないように注意してください。
(4)
使用期限を過ぎた試薬を使用しないでください。
(5)
機器の使用前後には機器の状態を確認してください。

1)
使用前
試薬残量、配管やコードの接続をチェックしてください。

2)
使用時
サンプルに直接接触しないよう、手袋等を着用してください。

装置全般にわたって、異常がないか、たえず監視してください。

3)
使用後
シャットダウン操作を行い、操作スイッチ、ダイヤルなどを使用前の状態にもどしたのち、電源を切ってください。


4.廃棄方法

(1)
本装置を廃棄されるときは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等の関係法令及び地方自治体の条例に従って処理してください。

貯蔵・保管方法及び使用期間等

1.貯蔵・保管方法

装置は常温・常湿で保管してください。
これよりも過酷な条件で貯蔵・保管される場合は、装置内流露の試薬を完全に水抜きする必要がありますので、当社支店・営業所へ相談してください。

2.使用期間等

使用開始(据付)後5年:自己認証(当社データによる)

3.保守部品の基本保有期間

販売中止後8年

ただし、保守部品の製造あるいは調達が不可能となり、上記保有期間を保てない場合は、別途ご連絡いたします。

保守・点検に係る事項

1.使用者による保守点検事項

(1)
約24時間に一度、シャットダウンの実行(検出器チャンバおよび希釈ラインの洗浄を自動で行います。)および空圧源の逆流防止チャンバの水量確認と水抜きを行ってください。
(2)
30000検体測定ごとにサンプリングバルブを洗浄してください。
(3)
必要に応じて、次の箇所の洗浄/清掃を行ってください。
マニュアル洗浄スピッツの洗浄/サンプリングバルブ受皿の洗浄/ピアサ部トレイの洗浄/ツマリ除去(ツマリ除去シーケンス)/IMI検出器ペレットの洗浄/RBC検出器ペレットの洗浄/光学式検出部フローセルの気泡除去/光学式検出部フローセルの洗浄/排液容器の交換(排液容器を設置している場合のみ)

(4)
必要に応じて、次のサプライ部品の交換を行ってください。
試薬の交換/ピアサの交換/ハンドクリッパの交換/
ゴム板No.39の交換/滅菌フィルタの交換/ヒューズの交換

(5)
必要に応じて次の保守を当社の技術員、または当社の認定する技術員にご用命ください。

1)
約1.5〜2年ごと、または300万回動作ごとにEPK補給用ダイアフラムポンプユニットの交換を行ってください。
2)
約2年ごと、または225万回動作ごとにWBCシースシリンジの交換を行ってください。

少なくとも1年ごとに当社の技術員、または当社の認定する技術員による定期保守点検を行い、交換の必要な部品は交換してください。保守契約にご加入されることをお薦めします。

※詳細は本装置の取扱説明書「第9章 清掃/保守」を参照してください。

2.業者による保守点検事項

作業内容には概略以下のものが含まれます。

・コンプレッサの交換

包装

包装単位 ×1

本装置は測定部本体、空圧源部、データ処理部、データ処理部付属品、サンプラ部、その他オプション品各梱包により構成されます。

製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称及び住所等

氏名又は名称(製造販売業の種別)

シスメックス株式会社

第二種医療機器製造販売業

住所等

兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号

電話番号

078-265-0500

緊急連絡先

氏名又は名称
カスタマーサポートセンター

住所等
兵庫県神戸市西区室谷1丁目3番地の2

電話番号
0120-413-034