(1)
RF/DC 検出法
RF/DC 検出法は、直流抵抗の変化による血球の大きさと、高周波抵抗の変化による血球内部の密度を検出します。
血液試料は吸引定量され、規定倍率で希釈された後、各検出器チャンバに送り込まれます。検出器チャンバには、アパーチャと呼ばれる細孔があり、その両側にある電極間に直流電流と高周波電流が流れています。希釈試料中に浮遊する血球がアパーチャを通過することによって、電極間の直流抵抗および高周波抵抗が変化します。
直流抵抗の変化による血球の大きさに加え、高周波抵抗の変化が血球内部の密度(核の大きさなど)を、電気パルスとして検出します。
このパルスの大きさを求めることにより、血球の大きさと内部密度の2 次元分布(スキャッタグラム)を描きます。これらを解析することにより、種々の測定データを得ることができます。
(2)
シースフローDC 検出法
検出器内は試料ノズルがアパーチャの前に配置され、センターが合わされています。希釈試料が試料ノズルから円すい形のチャンバ内に押し出されると、試料はフロントシース液に包まれアパーチャ中央部を通過します。
アパーチャ通過後、希釈試料はバックシース液に包まれ回収管へと送り込まれます。これにより、この領域での血球の舞い戻りを防止し、疑似血小板パルスの発生を防ぎます。
このシースフロー方式により血球計数の正確度と再現性が向上します。また、血球が一列に並んでアパーチャを通ることから、異常な血球パルスの発生も防止されています。
(3)
半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法
サイトメトリーとは細胞やその他の生物学的な粒子の物理的な性質や科学的な性質を測定することであり、フローサイトメトリー(flow cytometry )は細い流れの中をこれらの細胞や粒子を通過させて測定を行うための方法です。
血液試料は吸引定量され、規定倍率で希釈、染色させた後、シースフロー機構により、フローセル内へ送り込まれます。
このシースフロー機構により、血球計数の正確度と再現性を向上させ、かつ血球粒子が一列に並んでフローセル中央部を通過することから、異常な血液パルスの発生を防止し、フローセルの汚れを減少させています。
フローセル内を通過する血球に半導体レーザ光を照射して発せられる前方散乱光をフォトダイオードで、側方散乱光と側方蛍光をフォトマルで受光し、電気パルスに変換し検出することにより血球の情報を得ることができます。
1)
前方散乱光、側方散乱光
光の進行途中に粒子などの障害物が存在すると、光がそれを中心にさまざまな方向に広がります。この現象は光散乱と呼ばれています。この散乱光を検出することにより、微粒子の大きさや材質に関する情報を得ることができます。
血球粒子にレーザ光が照射された場合も同様に、血球粒子による光の散乱が起こります。
散乱光の強度は、粒径および観測する角度などに依存しますが、本装置では、血球の大きさ情報を反映する前方散乱光と血球の内部情報(核の大きさなど)を反映する側方散乱光を検出します。
2)
側方蛍光
染色された血球のような蛍光物質に光を照射すると、照射した光の波長より長い波長の光を発します。この蛍光の強度はよく染色されれば強くなります。この蛍光を検出することにより血球の染色度合に関する情報を得ることができます。
蛍光は全ての方向に発せられるので、XE-5000ではこの蛍光のうち側方に発せられる側方蛍光を検出しています。
(4)
SLS-ヘモグロビン法
従来、自動化法におけるヘモグロビンの測定は、シアンメトヘモグロビン法またはオキシヘモグロビン法による測定が主流となっていました。しかし、XE-5000のような大型全自動器にとって一長一短があります。
SLS-ヘモグロビン法は、この両者の長所を活かした測定法です。
SLS-ヘモグロビン法は、オキシヘモグロビン法と同様、血液ヘモグロビンの転化反応が迅速で毒劇物を含有していないため、自動化法に適しています。
また、メトヘモグロビンの測定が可能なため、コントロール血液のようなメトヘモグロビンを含んだ血液も正確に測定することができます。