機械器具等 07 内臓機能代用器

体外循環装置用遠心ポンプ駆動装置

キャピオックス遠心ポンプコントローラーSP−200

取扱説明書を必ず参照する

作成又は改訂年月日

**2019年7月改訂(第4版)

*2016年6月改訂(第3版)

承認・届出等

販売名

キャピオックス遠心ポンプコントローラーSP−200

添付文書管理コード

22600BZX00483000_A_01

承認番号

22600BZX00483000

承認年月

平成26年11月

一般的名称

一般的名称
70523000
体外循環装置用遠心ポンプ駆動装置

警告

使用方法
(装置全般)

1.
緊急時を想定して、必ず循環を維持するためのバックアップ体制(バックアップコントローラー、セパレート型ハンドクランク等)を整えておくこと。[緊急時に循環が維持できない。]

2.
体外循環中は、循環状態(本システムの作動状態、リザーバーの貯血状態等)を必ず確認すること。[本システムは1.患者の状態を監視する機能を有していないため、本システムが適正に作動していた状態で患者の状況が変化しても検知できない。2.体外循環回路の破損等による液漏れ(血液を含む)を検出することはできない。3.流量/気泡センサーを使用しても、流量異常を検出できない可能性がある。4.他のシステムと並行して使用する場合、仕様どおり作動しないことがある。]

3.
ドライブモーターは磁石を使用しているため、金属や磁石等を近づけないこと。[誤作動が生じることがある。]

4.
動脈側圧力をモニタするとともに、人工肺の血液側圧力が常にガス流路側より高くなるよう、遠心ポンプの回転数を調節すること。[ガス側の圧力が血液流路の圧力より高くなると、血液中にエアーが混入する可能性がある。]

5.
本システムの周辺で電磁波を発生する機器(電気メス、除細動器等)を使用する場合は、できるだけ離れた位置で使用すること。また、これらの機器とは別系統の電源を使用し、確実に接地を行って使用すること。[電磁干渉により本システムに誤作動が生じ、患者に重篤な健康被害を与える可能性がある。](相互作用の項参照)

6.
本システムは、他の機器に密着させたり、重ねた状態で使用しないこと。[電磁干渉による誤作動を起こす可能性がある。]

7.
本システムは電磁両立性(以下、EMCという。)に関して特別な注意が必要であり、取扱説明書の「医療スタッフの皆さまへ」に記載されたEMC情報に基づいて使用すること。

8.
循環中は、遠心ポンプの血液流入側ラインをクランプしないこと。[遠心ポンプ内が陰圧となり、血液中に気泡が発生する可能性がある。]

(コントローラー・バックアップコントローラー)

1.
AC電源ケーブルは、コントローラー又はバックアップコントローラーのACインレットに、「カチッ」と音がするまでさし込むこと。また、コントローラーについては操作パネルのAC電源ランプが点灯していることを確認すること。[接続が不十分な場合には、バッテリで駆動するためバッテリが消耗し、機器が停止し、循環が維持できなくなる。(バッテリ搭載は、コントローラーのみ)]

2.
コントローラーが緊急システムエラー(機器異常警報(高優先度))を発報、また、バックアップコントローラーが緊急システムエラー(モーター回転異常警報)を発報した場合は、遠心ポンプをバックアップコントローラーに接続したドライブモーターかセパレート型ハンドクランクにつなぎ代えて、循環を維持すること。[ポンプが止まり、患者に健康被害が発生する可能性がある。]

3.
緊急時にやむを得ず、救急車に本システムを搭載して患者を移送する場合は、必ず救急車の供給電力が、搭載するすべての電気機器の総消費電力を上回っていることを確認すること。[救急車の供給電力が不足すると機器が停止し、循環が維持できなくなる。]

(コントローラー)

1.
通常はAC電源を使用すること。[バッテリは移動時、停電時等、AC電源が適正に使用できないときの補助用電源である。バッテリが消耗し、充電が不十分な場合は、停電発生時等の際にバッテリでの作動ができなくなることがある。]

2.
セーフティコネクションは記録、確認を行いながら設定すること。また、設定後は必ず動作確認を行うこと。[設定を誤ると意図したとおりの動作をしない可能性がある。]

3.
ファストクランプは、遠心ポンプの血液流入側ラインに取り付けないこと。[血液流入側ラインをクランプすると遠心ポンプ内が陰圧となり、気泡が発生する可能性がある。]

(流量/気泡センサー)
流量/気泡センサーを装着するときは、流量/気泡センサーホルダーの検知窓部分にまんべんなくワセリンが行き渡るよう、十分な量のワセリンを塗布すること。[ワセリンの塗布量が不十分な場合、流量信号不安定警報が発報し、気泡検出ができなくなる可能性がある。]

禁忌・禁止

併用医療機器

1.
流量/気泡センサー及びファストクランプは、指定のチューブ(内径9.5mm(3/8インチ))以外に取り付けないこと。[指定のチューブ以外に取り付けた場合、本システムが有する機能・性能が得られない可能性がある。]

2.
付属のAC電源ケーブル以外は使用しないこと。[本システムの故障や感電等を起こす可能性がある。]

使用方法

1.
本システムを使用する際は、患者とコントローラー背面のコネクタ、又はバックアップコントローラー前面のコネクタを同時に触れないこと。[感電等を起こす可能性がある。]

2.
本システムは、移植前のブリッジ及び心機能回復のために長期使用しないこと。[本システムは、長期使用を想定した設計をしていない。]

3.
本システムは精密機器のため、床への落下、転倒、強くぶつけるなどによる衝撃が加えられた場合はそのまま使用しないこと。[本システムの外観に異常が認められない場合でも、内部が破損し、流量精度や各種警報機能等の本システムが有する機能や性能が得られない可能性があるため、点検確認が必要である。]

4.
放射線機器、MRIの管理区域内及び高圧酸素療法室内へは持ち込まないこと。当該環境に本システムを誤って持ち込んだ場合は、以降、使用しないこと。[本システムはこれらの環境での使用を想定していない。これらの環境に持ち込むことにより、本システムの誤作動や破損及び経時的な劣化、又は爆発の誘因となる可能性がある。]

5.
本システムは気密構造ではないので、活性ガス(消毒用ガスも含む)使用、ネブライザー等の噴霧あるいは多湿等の環境で使用、保管はしないこと。[本システム内部の電子部品に影響を与え、損傷や経時劣化により、本システムが故障する原因となる。]

6.
引火性のある環境では使用しないこと。[引火又は爆発の誘因となる可能性がある。]

7.
以下の設定をすべて満たして循環している場合、体外循環回路又はコントローラーから流量/気泡センサーを外さないこと。[気泡検出警報が発報し、ファストクランプが意図せず作動する可能性がある。]

・気泡検出:有効

・ファストクランプ機能:有効

・気泡検出警報のセーフティコネクション:ポンプ停止+クランプ

**形状・構造及び原理等

<構造図(代表図)>
・コントローラー

(コード番号:ME-SP200C、識別コード:SP200C)



No. 各部の名称 機能及び動作 
ステータスランプ 発光色で正常状態、又は警報状態である旨を表示する。 
タッチパネル液晶画面 カラー表示でき、状態の変化を色やアイコンの変化で表現する。また、タッチパネルによりコントローラーの設定や動作指示を行う。なお、感圧式タッチパネルであるため、画面操作は手術用手袋を装着した状態で行える。 
オートプライミングボタン ドライブモーターの間欠駆動を開始/停止する。また、間欠駆動中である場合、点灯する。 
コーストリリースボタン モーター回転数が減速してコースト回転数(※1)に達した場合、点滅する。
また、コースト回転数に達した後、更に減速させる(コーストリリース)操作に用いる。 
キーロックボタン キーロック機能を有効/無効にする。また、キーロック機能が有効の場合、点灯する。 
電源ボタン システムを起動/停止する。 
モーター回転数調節ツマミ ツマミを時計回りに回転させるとモーター回転数が増加し、反時計回りに回転させると減少する。また、モーター回転数調節ツマミ操作に連動したモーター回転数指示値がコースト回転数(※1)又は0RPMになった時に確認音を発報する。 
モーター回転数指示値ランプ モーター回転数調節ツマミ操作に連動したモーター回転数指示値とコースト回転数(※1)を表示する。 
流量表示器 流量/気泡センサーで測定した流量を表示する。 
10 モーター回転数表示器 ドライブモーターの回転数を表示する。なお、高優先度警報(機器由来に限る)発報時には回転数と警報内容に対応した記号を交互に表示する。 
11 バッテリ残量ランプ バッテリ残量を表示する。 
12 AC電源ランプ AC電源から電力が供給されている場合、点灯する。 
13 充電中ランプ バッテリ充電中である場合、点灯する。 
14 USBポート Universal Serial Bus規格の外部機器接続端子。ヒストリ情報をUSBメモリに出力する。 
**15 CDIポート RS-232C接続端子。流量情報をCDI500システム又はCDI550システムに送信する。 
16 LANポート LANの有線接続端子。コントローラー動作情報、設定情報を外部機器に送信する際に使用する。 
17 温度センサーケーブルコネクタ 温度センサーケーブルを接続する。 
18 ファストクランプコネクタ ファストクランプを接続する。 
19 圧力センサーケーブルコネクタ 圧力センサーケーブルを接続する。 
20 ドライブモーターコネクタ ドライブモーターを接続する。 
21 流量/気泡センサーコネクタ 流量/気泡センサーを接続する。 
22 等電位化端子 等電位化を行う。 
23 ヒューズホルダー AC電源用のヒューズを入れる。 
24 ACインレット AC電源ケーブルを接続する。なお、意図しないAC電源ケーブルの外れを防止するため、接続時にAC電源ケーブルをロックする。 
25 排気口 ※2 
26 バッテリ バッテリ駆動のための電力を充電し、AC電源遮断時自動的にバッテリ駆動に切り替わる。また、電源OFFの状態でも、AC電源が接続されている場合は充電できる。 
27 ハンドル ※2 
28 ケース ※2 
29 吸気口(フィルタ付き) ※2 
30 ゴム足 ※2 
31 ラッチ用ブロック 専用カートのラッチによりコントローラーを専用カートに固定する。 

・コントローラーの付属品

(1)
AC電源ケーブル
No. 各部の名称 機能及び動作 
AC電源ケーブル AC電源とコントローラー、又はバックアップコントローラーを接続して、電源供給を行う。
なお、意図しないAC電源ケーブルの外れを防止するため、コントローラー、又はバックアップコントローラーのACインレットに接続した際に、ACインレットにロックされる。 


(2)
ドライブモーター ※3(識別コード:SP200BM)
No. 各部の名称 機能及び動作 
マグネットカバー ドライブモーター未使用時に装着し、遠心ポンプ装着面を保護する。 
固定フック 遠心ポンプのリブを保持し、固定する。 
遠心ポンプ装着面 遠心ポンプを固定する面。 
スライドフック フックがスライドすることによって遠心ポンプを着脱する。 
モーター 遠心ポンプを回転させる。 
ケーブル ※2 
プラグ コントローラー、又はバックアップコントローラーと接続する。 


(3)
バックアップコントローラー(識別コード:SP200BC)


No. 各部の名称 機能及び動作 
警報ランプ 警報が発報している場合、点滅する。 
電源ランプ 電源がONである場合、点灯する。 
モーター回転ランプ モーター回転数に比例して点滅速度が変わる。なお、モーター停止中は消灯する。 
モーター回転数調節ツマミ ツマミを時計回りに回転させるとモーター回転数が増加し、反時計回りに回転させると減少する。 
ヒューズホルダー AC電源用のヒューズを入れる。 
等電位化端子 等電位化を行う。 
電源スイッチ 電源のON/OFFを行う。 
ACインレット AC電源ケーブルを接続する。なお、意図しないAC電源ケーブルの外れを防止するため、接続時にAC電源ケーブルをロックする。 
ドライブモーターコネクタ ドライブモーターを接続する。 
10 ハンドル ※2 
11 ケース ※2 
12 排気口 ※2 
13 吸気口(フィルタ付き) ※2 
14 ゴム足 ※2 
15 ラッチ用ブロック 専用カートのラッチによりバックアップコントローラーを専用カートに固定する。 

※1 コースト回転数:モーター回転数を減速させる場合、不用意に逆流を起こす回転数に至ることを防ぐようにあらかじめ設定された回転数のこと。500〜2000RPMの範囲で設定可能である。
※2 周知であるため、機能及び動作の記載を省略する。
※3 販売名:キャピオックス遠心ポンプコントローラーSP-101(医療機器承認番号:20600BZZ00159000)と同仕様であり、互換性がある。

[機器の分類]

1.
コントローラー
電撃に対する保護の形式による分類:クラスI機器及び内部電源機器

電撃に対する保護の程度による装着部の分類:耐除細動形CF形装着部

水の有害な浸入又は微粒子状物質の有害な侵入に対する保護:IP42

2.
バックアップコントローラー
電撃に対する保護の形式による分類:クラスI機器

水の有害な浸入又は微粒子状物質の有害な侵入に対する保護:IP42

[電気的定格]

1.
コントローラー
交流電源

電圧:AC100V

周波数:50-60Hz

消費電力:250VA(定常状態)

400VA(瞬時:モーター急加速時、オートプライミング動作時)


バッテリ(リチウムイオン電池)

電圧:14.4V

容量:10.4Ah 以上


2.
バックアップコントローラー

電圧:AC100V

周波数:50-60Hz

消費電力:150VA(定常状態)

250VA(瞬時:モーター急加速時)

[仕様に係る事項]

1.
コントローラー
・使用条件

周囲温度:10〜40℃

相対湿度:30〜85%RH(ただし、結露なきこと)

気圧:80〜106kPa


・保管条件、又は輸送条件

周囲温度:-20〜45℃

相対湿度:10〜95%RH(ただし、結露なきこと)

気圧:70〜106kPa


2.
バックアップコントローラー
・使用条件

周囲温度:10〜40℃

相対湿度:30〜85%RH(ただし、結露なきこと)

気圧:80〜106kPa


・保管条件、又は輸送条件

周囲温度:-20〜45℃

相対湿度:10〜95%RH(ただし、結露なきこと)

気圧:70〜106kPa

<原理>
本品は遠心ポンプの回転体と磁気的に結合しているドライブモーターを駆動することで、遠心ポンプを駆動させ、血液回路内の血液と非接触で血液を灌流させるものであり、ドライブモーターはコントローラーが指定した回転数で回転するように制御される。
本品には、体外循環時の血流状態を監視し、異常事態の検出を目的としたモニタ機能(流量測定、温度測定、圧力測定、気泡検出)があり、コントローラーにセンサーを接続してモニタリングする。
血液回路内の流量は超音波トランジット法、気泡は超音波受信レベル、温度は感温部のサーミスタの抵抗変化、圧力は感圧部に加わる圧力による電位の変化を、流量、気泡、温度、圧力情報にそれぞれ変換し表示する。なお、これらモニタ機能で異常事態を検出した場合、警報を発報する。また、循環を停止すべき状況を知らせる警報に連動して、ばね力を利用して血液回路のチューブを物理的に閉塞するファストクランプが動作し、循環を停止する。
AC電源の停電時に備えてバッテリによる内部電源を設けているが、更に内部電源によっても遠心ポンプの駆動が不可能になった場合であっても、手動で遠心ポンプを駆動できるセパレート型ハンドクランクがある。
バックアップコントローラーは、万が一コントローラーが作動不能になった場合の一時的な血液循環維持のために使用されるもので、コントローラーと同様な原理で動作するが、ドライブモーターの回転数制御及びドライブモーター駆動に係る警報に限られる。

使用目的又は効果

使用目的

本品は主として人工心肺用血液回路内の血液を灌流させるディスポーザブル遠心ポンプを作動させるための駆動システムである。

** *使用方法等

<組み合わせて使用する医療機器>
本システムは、以下の医療機器と併用して使用する。

販売名 医療機器承認番号 
キャピオックス遠心ポンプ 21500BZZ00085000 
*キャピオックス遠心ポンプSL 22700BZX00210000 
キャピオックスカスタムパック 21800BZX10056000 
キャピオックスコネクター※1 15900BZZ01206000 
**CDI550システム 23100BZX00061000 
CDI500システム 21400BZY00432000 
圧力センサー※2 ― 

※1 ルアーサーミスタはキャピオックスコネクターの構成品。

※2 ANSI/AAMI BP22:1994適合品で、コネクタ接続できるものに限る。

1.
装置の準備

(1)
コントローラーとAC電源をAC電源ケーブルで接続する。このとき、AC電源ランプ、充電中ランプが点灯することを確認する。

(2)
コントローラーにドライブモーター及び流量/気泡センサー(販売名:キャピオックス遠心ポンプコントローラーSP-200(流量/気泡センサー)医療機器認証番号:226ADBZX00192000)を接続する。

(3)
**温度センサー、圧力センサー、ファストクランプ、CDI500システム又はCDI550システム、外部機器のうち使用するものをコントローラーに接続する。ただし、温度センサー及び圧力センサーは、ケーブルのみ接続する。


2.
体外循環の準備

(1)
ドライブモーターに遠心ポンプを装着する。

(2)
流量/気泡センサーホルダーの内側にワセリンを塗布し、流量/気泡センサーをチューブに取り付ける。

(3)
温度センサー、圧力センサーを使用する場合は温度センサー及び圧力センサーを各ケーブルに接続する。

(4)
血液回路にプライミング液を充填する。

(5)
コントローラーの電源ボタンを押し、起動させ、各種ランプの点滅と起動音が鳴ることを確認する。

(6)
コントローラーの設定を確認する。

(7)
オートプライミングボタンを押し、オートプライミングを開始する。血液回路内の気泡が十分に除去されていることを確認したら、再度オートプライミングボタンを押し、オートプライミングを停止する。

(8)
圧力センサーを使用する場合は、圧力センサーのゼロ補正をチャンネルごとに行う。

(9)
ファストクランプを使用する場合は、人工肺の血液流出ポートより患者側に設置する。


3.
操作又は使用方法

(1)
血液回路の送血用ラインをクランプした状態で、モーター回転数調節ツマミを時計回りに回し逆流が起こらない回転数まで上げた後、血液回路の送血用ラインのクランプを徐々に開放し体外循環を開始する。

(2)
モーター回転数調節ツマミでモーター回転数を調節しながら体外循環を維持する。

(3)
循環終了時は逆流に注意して血液回路の送血用ラインのクランプ操作を行い、モーター回転数調節ツマミを反時計回りに回し、コーストリリースをした後モーター回転数を0RPMにし、循環を終了する。コントローラーの電源ボタンを押し、コントローラーの電源をOFFする。


4.
その他
コントローラーはAC電源の供給が断たれた際はバッテリによりドライブモーターを駆動させるが、更にバッテリが使用不能になった場合は、セパレート型ハンドクランクにより、次の手順で遠心ポンプを回転させる。

(1)
セパレート型ハンドクランクをポール等に固定する。

(2)
遠心ポンプをドライブモーターから外し、セパレート型ハンドクランクに取り付ける。

(3)
回転数表示を見ながらクランクを手動で回し、遠心ポンプを回転させる。


また、コントローラーが万が一動作不能になった場合は、バックアップコントローラーにより次の手順でポンプを回転させる。

(1)
バックアップコントローラーのACインレットとAC電源をAC電源ケーブルで接続する。

(2)
バックアップコントローラーのドライブモーターコネクタにドライブモーターを接続する。

(3)
遠心ポンプをコントローラー側から外し、バックアップコントローラー側に装着する。

(4)
バックアップコントローラーの電源スイッチをONにし、モーター回転数調節ツマミを時計回りに回し、遠心ポンプを回転させる。

使用方法等に関連する使用上の注意

(装置全般)

(1)
遠心ポンプに液を充填しない状態で作動させないこと。[回転摺動部等を破損する可能性がある。]

(2)
血液回路内にエアーが入らないように監視して使用すること。[患者に健康被害が発生する可能性がある。]

(3)
ドライブモーターに遠心ポンプを着脱する際は、必ずドライブモーターは停止状態で行うこと。[意図しないタイミングで遠心ポンプが回転開始、又は回転停止する可能性がある。]

(4)
固定フックと遠心ポンプの体外循環回路接続部分が干渉しないように、ドライブモーターの位置を調整し、遠心ポンプを装着すること。[固定フックや遠心ポンプが破損する可能性がある。]

(5)
遠心ポンプをドライブモーターに装着する際は、遠心ポンプの底面が遠心ポンプ装着面と密着し、スライドフックが戻っていることを確認すること。[液体(血液や薬液等)の固着等によりスライドフックが戻らないまま回転すると、遠心ポンプが外れる可能性がある。]

(6)
流量は遠心ポンプの回転数で調節すること。[遠心ポンプの血液流出側ラインを部分的にクランプして流量を調節すると血液の損傷が増大する可能性がある。]

(7)
循環中は、低流量警報を発報する回転数(落差及び患者血圧で逆流を起こさないモーター回転数)以上を維持すること。[血液が逆流する可能性がある。]

(8)
循環中及びプライミングの際に、大量のエアーが遠心ポンプに入り空回りして循環が停止する場合は、遠心ポンプの血液流出側ラインをクランプ後、いったんポンプの回転を停止し、エアーを抜いてからクランプを解除して、循環を開始すること。[遠心ポンプが空回りし、循環を開始できない可能性がある。]

(9)
遠心ポンプの回転数を下げる場合は、回転数の調節に注意すること。[血液が逆流する可能性がある。]

(10)
遠心ポンプの血液流出側ラインをクランプしたままで長時間遠心ポンプを回転させないこと。[プライミング液の加温による変性、血液損傷の可能性がある。]

(11)
循環を停止するときは必ず送血ラインをクランプしてから、遠心ポンプの回転を停止すること。[送血ラインをクランプせずに遠心ポンプの回転を停止すると、血液が逆流する可能性がある。]

(12)
本システムを陰圧脱血補助で使用する場合は、リザーバーにかかる陰圧の強さによって、流量と遠心ポンプの回転数の関係が変化するので注意すること。

(13)
ドライブモーターを外した際は、プラグにキャップをかぶせること。[機器が損傷する可能性がある。]

(14)
圧力センサーケーブル及び温度センサーケーブルは、チャンネルを確認して接続すること。[読み取った圧力値又は温度値が、画面上で正しい位置に表示されない可能性がある。]

(15)
圧力センサーを使用する際は、圧力センサーの計測誤差が本システムの表示する圧力値及び圧力警報の発報に影響することを理解すること。[チューブの閉塞やカニューレの挿入部の不具合を見逃す可能性がある。]


(コントローラー、バックアップコントローラー)

(1)
循環終了時は必ずモーター回転数調節ツマミを回してドライブモーターを停止した後、電源をOFFすること。[ドライブモーターが故障する可能性がある。]

(2)
ACインレットの周辺には物や壁が無いように配置すること。[AC100Vコンセント(アース付)からの切り離しが必要になったときに、AC電源ケーブルが抜けない可能性がある。]


(コントローラー)

(1)
タッチパネル液晶画面に血液回路等が触れないように注意すること。[誤って画面に触れると誤作動する可能性がある。]

(2)
気泡検出機能は脱血ラインに混入した気泡を検出することを意図しているため、気泡検出機能を有効にしている場合は遠心ポンプの血液流入ポート側に流量/気泡センサーを装着すること。[脱血ラインに混入した気泡が遠心ポンプで破砕拡散されるため、送血用ラインに流量/気泡センサーを装着した場合は検出できない可能性がある。]

(3)
警報閾値や気泡検出感度は記録、確認を行いながら設定すること。また、警報閾値を極端に大きく、又は小さくすると、警報が機能しなくなるので注意すること。[設定を誤ると意図したとおりの動作をしない可能性がある。]


(ドライブモーター)

遠心ポンプをドライブモーターに取り付ける際は、指を挟まないように注意すること。[指を怪我する可能性がある。]

(流量/気泡センサー)

(1)
流量/気泡センサーを使用する際は、検知窓を清掃してから使用すること。[流量、気泡を正しく検知できない可能性がある。]

(2)
気泡検出機能を有効にしている場合は、血液回路や流量/気泡センサーの取り扱いに注意すること。[血液回路や流量/気泡センサーに衝撃を与えたり、不用意にラッチに触れると、チューブから流量/気泡センサーが外れ、気泡検出警報が発報する。]

(3)
気泡検出感度が高感度の場合は、流量/気泡センサーの検知窓面と重力方向が直行するように取り付けること。[気泡を検出できない可能性がある。]

使用上の注意

重要な基本的注意

(装置全般)

(1)
本医療機器を用いた体外循環回路の接続・使用に当たっては、学会のガイドライン等、最新の情報を参考とすること。

<参考>日本心臓血管外科学会、日本胸部外科学会、日本人工臓器学会、日本体外循環技術医学会、日本医療器材工業会:人工心肺装置の標準的接続方法およびそれに応じた安全教育等に関するガイドライン

(2)
本システムは、開心術における体外循環が適用される術式、経皮的補助循環の術式に習熟した医師又は医師の監督、指示を受けた有資格者が常に監視しながら使用すること。[誤って使用した場合、患者に健康被害が発生する可能性がある。]

(3)
心臓カテーテル検査室、ICU、CCU、胸部手術室で使用する場合は、本システムを接地センタに接続すること。[接続しないと感電する可能性がある。]

(4)
本システムへの供給電力が十分であることを確認してから使用すること。[本システムを接続して供給電力を超えた場合は、他の機器にも影響を与える可能性がある。また、コントローラーは供給電力が不十分な場合、バッテリで作動するため、緊急時に使用できなくなる可能性がある。]

(5)
使用条件下であっても、急激な温度変化を避けて使用すること。[装置内部での結露発生により、損傷や経時劣化が生じ、本システムが有する機能や性能が得られない可能性がある。]

(6)
ドライブモーターの遠心ポンプ装着面には衝撃を加えないこと。[内部磁石が破損する可能性がある。]

(7)
コントローラーにドライブモーターや流量/気泡センサーを取り付ける(又は取り外す)際は、電源をOFFすること。[コントローラーが故障する原因となる。]

(8)
バックアップコントローラーにドライブモーターを取り付ける(又は取り外す)際は、電源をOFFすること。[バックアップコントローラーが故障する原因となる。]

(9)
薬液等の滴下によってコネクタやプラグ(ドライブモーター、流量/気泡センサー、圧力センサーケーブル、温度センサーケーブル、ファストクランプ、LANケーブル、CDI通信ケーブル)に薬液等がかかってショートすることがあるので、プラグをコネクタに接続する際は接続部分がぬれていないことを確認すること。また薬液等のぬれを確認した場合は、AC電源ケーブルを本システム及びAC100Vコンセント(アース付)から抜いた状態、かつ電源をOFFした状態で速やかに乾いた柔らかい布等で拭き取ること。[本システムは防水構造ではなく、内部の電子部品に影響を与え、装置故障の原因となる可能性がある。]

(10)
コントローラー背面のドライブモーターコネクタや流量/気泡センサーコネクタ、及びバックアップコントローラー前面のドライブモーターコネクタの内側を指で触れないこと。また、乾燥した環境では湿度を調整(加湿等)し、使用すること。(コネクタの着脱を含む。)[静電気が発生し、故障や誤作動の可能性がある。]


(コントローラー、バックアップコントローラー)

ベッド等の柔らかいところに置かないこと。[落下や転倒の可能性がある。コントローラー、及びバックアップコントローラー底面の吸気口(フィルタ付き)がふさがれる可能性がある。]

(コントローラー)

(1)
直射日光等の強い光があたる場所で使用しないこと。[タッチパネル液晶画面が見えないことがある。]

(2)
コントローラーを使用中に移動する場合は、キーロックをするか、ボタン等に不用意に触れないようにすること。[意図しない動作(停止、開始、電源のON/OFF)が生じる可能性がある。]

(3)
コントローラーを購入後初めて使用する場合や、しばらく使用しなかった場合は、AC電源に接続し、十分に充電(約6時間以上)すること。[充電が不十分な場合、停電発生時等にバッテリでの作動ができなくなることがある。]

(4)
バッテリ残量低下警報又はバッテリ枯渇警報が発報された場合は、直ちにAC電源を接続すること。[本システムが停止する可能性があるため、患者に健康被害が発生する可能性がある。]

(5)
コントローラーを保管時に充電する際は、操作パネルの充電中ランプが点灯していることを確認すること。[充電が正しく行われず、緊急時に使用できなくなる可能性がある。]

(6)
コントローラーを保管時に充電する際は、電源をOFFにした状態で充電すること。[電源がONのままだとヒストリ情報を保存し続けるため、最も古い症例のデータから削除され、確認できなくなる。]


(バックアップコントローラー)

(1)
バックアップコントローラーを使用中に移動する場合は、スイッチ等に不用意に触れないようにすること。[意図しない動作(停止、開始、電源のON/OFF)が生じる可能性がある。]

(2)
バックアップコントローラーの電源スイッチを押すときは、モーター回転数調節ツマミが「0」に設定されていることを確認すること。[モーター回転数調節ツマミが「0」でないと、直ちにその設定値でドライブモーターが駆動する。]


(ドライブモーター)

(1)
固定フックにケーブル(ドライブモーター、流量/気泡センサー)やAC電源ケーブル等を掛けないこと。[固定フックが破損する可能性がある。]

(2)
遠心ポンプを使用しないときはドライブモーターの遠心ポンプ装着面にマグネットカバーを着けておくこと。

相互作用(他の医薬品・医療機器等との併用に関すること)

併用注意(併用に注意すること)

(コントローラー、バックアップコントローラー)

(1)
電気メスの周辺で使用する場合:医用電気メスは高いエネルギーの高周波電流により、生体の切開や凝固を行う手術用機器である。電気メスの周辺で本システムを使用すると、高周波雑音により誤作動する可能性がある。電気メスを併用する場合は、以下の事項について使用前に確認すること。

1)
電気メスは、その種類により高周波雑音の発生度合いが異なり、特に古いもの(真空管ギャップ式)から発生する雑音は大きくなるので併用は避けること。

2)
電気メスのコード(メスホルダ、メスコード及び対極板コード)及び電気メス本体と、本システムの距離をできるだけ離すこと(25cm以上)。

3)
電気メスと本システムの電源は、別系統のコンセントからとり、確実に接地を行うこと。


(2)
電気メスを使用する場合は、対極板を適切に装着すること。[装着が不完全のまま使用すると、電極装着部の熱傷、本システムの故障や誤作動が生じることがある。]


(コントローラー)

(1)
外部通信機能を使用中は電気メス、除細動器等に十分注意すること。また、本システムが正常に作動していることを定期的に確認すること。[影響を受けやすくなる可能性がある。]

(2)
外部通信機能を使用中は、バッテリでの作動時間に注意すること。[作動時間が短くなる。]

保管方法及び有効期間等

保管方法

水ぬれに注意し、日光及び高温多湿を避けて保管すること。

保管条件:周囲温度:-20〜45℃
相対湿度:10〜95%RH(ただし、結露なきこと)
気圧:70〜106kPa

[保管上の注意]

ドライブモーターは磁石を使用しているため、ハードディスク等の磁気媒体を近づけないこと。[磁気媒体が破損する可能性がある。]

耐用期間

指定の保守・点検並びに消耗品の交換を実施した場合の耐用期間:6年(自己認証による)

保守・点検に係る事項

[保守・点検上の注意]

1.
使用前、使用後に本システムを清掃すること。消毒する際は、滅菌器等は使用せず、消毒液を浸した柔らかい布等をよくしぼってから本体を軽く拭き、その後、水又はぬるま湯に浸してよくしぼった柔らかい布等で、消毒液を拭き取り、更に乾いた柔らかい布等で水気をよく拭き取ること。なお、希釈率はその製品の電子添文の記載に従うこと。使用可能な消毒液(成分名)例は以下のとおりである。
クロルヘキシジングルコン酸塩/ベンザルコニウム塩化物

2.
ドライブモーターの遠心ポンプ装着面に液体(血液や薬液等)が付着した場合は、速やかに汚れをよく拭き取るなど清掃すること。[ドライブモーターの遠心ポンプ装着面に液体(血液や薬液等)が固着していると、スライドフックが動かなくなることがある。]

3.
本システムを、流水や水没させて洗浄しないこと。[本システムは防水構造ではないため、破損、故障する可能性がある。]

4.
アルコールやシンナー等の有機溶剤やポビドンヨードでは拭かないこと。[有機溶剤や使用可能な消毒液以外を使用した場合、本システムの破損や故障の原因となる。]

5.
本システムはEOG滅菌や高圧蒸気滅菌等にかけたり、消毒薬液に浸さないこと。[本システムが故障する可能性がある。]

6.
本システムやアクセサリに麻酔剤等の薬剤を付着させないこと。[本システムやアクセサリが破損する可能性がある。]

使用者による保守点検事項

1.
コントローラー
点検項目 点検時期 点検内容(概要) 
使用前点検 使用前(毎回) ・外観の点検
・電源投入機能の点検
・バッテリ駆動機能の点検
・ドライブモーター未接続警報、流量/気泡センサー未接続警報機能の点検 
循環開始前点検 循環開始前(毎回) ・モーター駆動の点検
・流量/気泡センサーの点検
・ファストクランプの点検 
6カ月点検 6カ月に1回 ・バッテリの点検 

※詳細については、取扱説明書の保守点検の項を参照すること。


2.
バックアップコントローラー
点検項目 点検時期 点検内容(概要) 
使用前点検 使用前(毎回) ・外観の点検
・モーター回転数調節ツマミの点検
・AC電源ケーブル、ドライブモーターのプラグの点検 
電源投入機能の点検 1カ月に1回 ・電源投入動作 
モーター駆動の点検 1カ月に1回 ・モーター回転数、モーター回転ランプの表示、停止 

業者による保守点検事項

点検項目 点検時期 
定期点検 1年に1回 

製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称及び住所等

製造販売業者

氏名又は名称

テルモ株式会社

第一種医療機器製造販売業

住所等

電話番号

0120-12-8195 テルモ・コールセンター

付属機器の取扱い及び説明

その他の安全性情報

企業リンク先

備考