機械器具等 07 内臓機能代用器

弁形成リング

SJMリジッドサドルリング

再使用禁止

作成又は改訂年月

**2019年10月改訂(第5版)

*2018年4月改訂(第4版)

承認・届出等

販売名

SJMリジッドサドルリング

添付文書管理コード

22100BZX00556000_A_05

承認番号

22100BZX00556000

承認年月

平成21年5月

一般的名称

一般的名称
35644000
弁形成リング

禁忌・禁止

適用対象(患者)

1.
チタン及びポリエステルに対する過敏症の患者。

2.
腱索の収縮を伴う重度の器質化により弁置換を必要とする患者。

3.
弁尖組織に欠損が見られる先天異常の患者。

4.
弁の機能性組織及びその支持組織に適切な血行動態や構造上の強度が備わっていないと術者が判断した患者。
[2-4に該当する患者は、弁形成術による治療が困難で、意図した血行動態の改善が得られないおそれがあるため。]

5.
活動性の細菌性心内膜炎の患者。[術後感染症が遷延化するおそれがあるため。]

使用方法

1.
再使用禁止。

2.
再滅菌禁止。

形状・構造及び原理等

1.
概要
本品は、弁形成術に用いられるリジッドタイプの弁形成リング(人工弁輪)である。ファブリックには植込み位置を確認できるよう、2箇所にグリーンマーカが、1箇所にブラックマーカが施されている。また、コアはチタンであるため、X線(放射線)検査により可視である。正常な僧帽弁を想定し立体的なサドル(鞍)形状に設計されている。本品における前後径/交連部間の比率は約0.68である。また、交連部間に対する弁輪高は約15%である。


2.
材質

(1)
弁形成リング部
名称 原材料 
トライアングルコア チタン 
ファブリック
グリーンマーカ
ガイドライン
ブラックマーカ
縫製糸 
ポリエステル 


(2)
ホルダ部
名称 原材料 
ホルダ ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ステンレス鋼 
保持糸 ポリエステル 


3.
形状及び寸法等

(1)
形状

断面図


(2)
寸法
モデル
番号 
リング
サイズ 
A:
内径
(mm) 
B:
外径
(mm) 
C:
コア
内径
(mm) 
D:
交連
部間
(mm) 
E:
前後径
(mm) 
F:
弁輪高
(mm) 
 
弁口
面積
(mm2
RSAR-24 24mm 22 30 23 24 21 3.6 227 
RSAR-26 26mm 24 32 25 26 23 3.9 276 
RSAR-28 28mm 26 34 27 28 24 4.2 331 
RSAR-30 30mm 28 36 29 30 25 4.5 387 
RSAR-32 32mm 30 38 31 32 27 4.9 450 
RSAR-34 34mm 32 40 33 34 28 5.1 511 

使用目的又は効果

本品は、退行変性病変、リウマチ性病変、虚血性及び血管障害等の疾患に起因する僧帽弁輪の再拡大の防止、弁尖接合の形成、弁輪拡張の修復及び補強を目的として使用される。

使用方法等

1.
準備:サイジング
本品を使用する前は、本品専用サイザを用いてサイジングを行い、適切なサイズの弁形成リングを選択する。サイザの使用方法については、サイザの添付文書を参照のこと。
販売名 モデル番号 
SJMリジッドサドルリングサイザーセット
(届出番号:13B1X10120200019) 
RSAR-507A 

(1)
僧帽弁の前尖を引っ張って弁尖を拡げ、交連部を露出させる。サイザの切り込みが交連間と直線上になるようにして、切り込み間が交連間に最も近いサイザを特定し、対応する弁形成リングを選択する(図1)。


(2)
または、腱索を引っ張りながら僧帽弁の前尖の面積とサイザの面積を比較し、前尖に最も近い面積のサイザを特定し、対応する弁形成リングを選択する(図2)。


2.
準備:本品の取り出し

不潔野

(1)
サイジングにより決定したリングのサイズの外箱を開けアウタートレイを取り出す。

(2)
アウタートレイのモデル番号とシリアル番号が、外箱のラベルに記載されている番号と同一であることを確認する。

(3)
アウタートレイを開封する。

清潔野

(4)
アウタートレイからインナートレイを取り出し、IDタグのモデル番号とシリアル番号が、アウタートレイと外箱に記載されているモデル番号、シリアル番号と同一であることを確認する。

(5)
IDタグと糸を取り外す。このとき、リングを傷つけないよう注意すること。タグは記録のために残しておく。

(6)
本品専用のホルダハンドルの先端を、ホルダの六角形の取り付け部分に差し込み(図3)、ハンドルがしっかり接続されていることを確認する。リングをインナートレイから取り出す。


3.
植込み
通常行われているいくつかの縫合方法で植込み可能である。

(1)
ファブリックに縫合糸をすべてかけ、リングをそのまま弁輪に落とし込む(図4)。形状を維持するため、縫合糸を結紮するまでホルダを外さないことを推奨する。


(2)
縫合しやすくするため、鉗子でホルダのリリースボタンを押し、ハンドルを外す(図5)。


(3)
全て縫合糸をかけたら、ホルダを取り出しやすくするため再びホルダハンドルを取り付ける。

(4)
ホルダを取り外すため、保持糸を切断する(図6)。リング植込み後、ハンドルからホルダを外し(図5)、ホルダは廃棄する。

使用方法等に関連する使用上の注意

1.
ホルダとハンドルの着脱操作は、慎重にゆっくりとまっすぐ行うこと。

2.
リングをインナートレイから取り出す際は、慎重にゆっくりとまっすぐ持ち上げること。

3.
石灰化をきたした病的な弁輪を完全に取り除いてから本品を植え込むこと。

4.
ファブリックを傷つけるおそれがあるため、ファブリック縫合の際はカッティングエッジ針(角針)を使用しないこと。また、リングを把持する際に鉗子を使用しないこと。

5.
誤って本品のホルダ保持糸を一緒に縫合した場合、リングをホルダから外すために、ホルダ保持糸を縫合糸のすぐ近くで切断する。その後、必ず切断された糸を全て取り除くこと。

6.
縫合方法は、様々な方法があり、患者の状態を考慮し選択される。(主要文献1、2、3参照。)

7.
刺激伝導系に異常をきたすおそれがあるため、心房組織に縫合糸を掛けないこと。

8.
左回旋枝、右冠動脈に縫合糸をかけないこと。

9.
患者の弁輪を歪めないように、弁輪組織内で均等な縫合糸の間隔を維持すること。

10.
弁輪に対してリングを正しい位置に縫合すること。交連部のグリーンマーカ及び後方のブラックマーカを参考にすること。

11.
ファブリックに縫合糸をしっかりと固定するには、緑色のガイドラインのやや外側に縫合を行うこと。リングを固定する縫合は、弁輪組織に行うこと。


12.
心筋症の患者において縫合糸応力が適切に分散するように、多数の縫合糸を用いてリングをしっかりと固定すること。(主要文献1参照。)

13.
血栓症及び血栓塞栓症の原因となるため、切り離した糸や繊維はすべて取り除くこと。

使用上の注意

重要な基本的注意

1.
必要に応じて、抗凝固療法の実施を検討すること。

2.
心臓弁の能力や僧帽弁修復術の評価を行うため、術中心エコーの実施を推奨する。

3.
歯科治療やその他菌血症にかかる可能性のある治療を受ける患者に対しては、予防的な抗生物質の投与を検討すること。

相互作用(他の医薬品・医療機器等との併用に関すること)

1.
併用注意
本品を磁気共鳴環境下におくとき、以下の条件で相互作用がなく、また、0.5℃以上の温度上昇がないことを確認している。

・3T以下の静磁場

・空間最大傾斜5250mT/m

・スキャン時間15分における全身平均SARの最大値2.0W/kg

不具合・有害事象

重大な不具合

1.
リングの破損

2.
リングの逸脱

3.
ファブリックのほつれ及び破れ

4.
自己組織の増殖

5.
ホルダの破損及び脱落

重大な有害事象

1.
収縮期前方運動(SAM)

2.
左室流出路閉塞(LVOTO)

3.
冠動脈の損傷

4.
弁輪の裂開

5.
不整脈

6.
低心拍出量

7.
心内膜炎

8.
心不全

9.
狭窄

10.
A-Vブロック

11.
溶血

12.
溶血性貧血

13.
出血、抗血小板薬/抗凝固薬に関連する事象

14.
弁輪内又は弁周囲逆流

15.
逆流の遺残又は再発

16.
心筋梗塞

17.
血栓症

18.
血栓塞栓症

19.
心室破裂

20.
感染症

21.
肺水腫

22.
心タンポナーデ

23.
アレルギー反応

24.
不十分な血行動態

上記疾病の合併症により以下の結果に至る可能性がある。

1.
再手術

2.
恒久的な機能障害

3.
死亡

その他の有害事象

1.
胸痛

2.
発熱

3.
血圧の低下

4.
軽度の免疫反応による諸症状

保管方法及び有効期間等

保管の条件

1.
本品は、品質保持のため高温、多湿、直射日光の当たる場所を避け、乾燥した涼しい場所(室温)に保管すること。

2.
衝撃を与えないこと。

有効期間

植込み前に、ラベルに表示された使用期限内であることを確認すること。使用期限を過ぎた製品は使用しないこと。[自己認証(当社データ)による。]

主要文献及び文献請求先

主要文献

1.
Romano, Mathew A. and Bolling, Steven F., Mitral Valve Repair as an Alternative Treatment for Heart Failure Patients. Heart Failure Monitor, 4(1): 7-12, 2003.

2.
Carpentier, A., Mitral Valve Reconstructive Surgery. Operative Surgery, 3rd Edition. Butterworths Publishers, 169-177, 1977.

3.
Carpentier, A. Cardiac Valve Surgery- The French Correction. J. Thorac. Cardiovasc. Surg., 86:323-377, 1983.

*製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称等

製造販売業者

氏名又は名称

**アボットメディカルジャパン合同会社

第一種医療機器製造販売業

電話番号

03-6255-6370(文献請求先も同じ)