事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 皮下用ポート及びカテーテル
販売名 BARD X-ポートisp
製造販売業者名 メディコン
購入年
事例の具体的な内容 7ヶ月前、便潜血陽性にて近医でCS施行。上部直腸に2型腫瘍認め、生検にてGroup5と診断された。6ヶ月前に消化器外科を受診し、5ヶ月前に腹腔鏡下低位前方切除術を受けた。その後、4ヶ月前に外来化学療法センターを受診、CVポート造設は他病院に依頼された。2日後、他病院にてCVポートが造設され、1回/2週の外来化学療法を開始した。その後9回目の抗がん剤投与のために来院。CVポートを穿刺し、逆血・流通確認のために生理食塩液を注入すると、ポート周囲が腫脹した。CVポートは他病院で挿入されていたため、他病院へ受診し、X-PやCT検査が行われた結果、下大静脈から肝静脈にかけて遺残チューブが確認され、ピンチ-オフという合併症が起こっていることが判明した。患者は当院へ緊急入院することとなり、翌日、放射線科で異物除去術を受けることとなった。
事例が発生した背景・要因 ・当院では1名の医師がCVポート造設に対応しているため、造設待ちが発生することから、他施設での造設に同意している患者は、3つの施設に造設を依頼している。 ・他施設でCVポートを造設する患者が、合併症や管理方法について、どのような説明を受けているのか把握していなかった。 ・他施設でCVポートを挿入した患者が当院で治療を開始する際、改めてCVポートに関する説明はなされていなかった。 ・CVポート造設を依頼した他病院の同意書には、CVポート離断の合併症について記載はなかった。 ・主治医は、他施設で挿入されたCVポートについて、十分な情報を得ていなかった。 ・当該事例は、ランドマーク法で挿入されたことが問題であったと考えられる。ランドマーク法でエコーを使用せずに挿入した場合、カテーテルが鎖骨と第一肋骨の間に挟まれる位置になりやすく、ピンチ-オフが起こり得る。PMDAや厚生労働省からも、ランドマーク法の時にはエコーを使用し、鎖骨下の場合には、鎖骨中央線の外側に穿刺を行うこと、それ以外の場合にはモニタリングしながら、他の領域を穿刺することが推奨されている。 ・当該患者のカテーテルはシリコン製であったが、シリコンは亀裂が入ると完全断裂が起こりやすい。よってポリウレタンのカテーテルが開発されている。更に、よりリスクの高いものについては、鎖骨下ではなく、PICCを含め、四肢に挿入という勧告が出されている。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・CVポート留置を依頼する3施設のIC内容の統一を試みる。 ・他施設でCVポートが留置された患者に治療を行う場合、治療前に改めてCVポートに関する合併症の説明を行う。 ・当院が3施設に依頼したCVポートに関連する重篤な合併症は、当該事例発生よりも前から、全て当院がフォローすることになっていた。更に速やかに対応するために、患者掲示板にCVポートの位置、形状(先端がオープンエンドorスリット)、メーカーなどの情報を記載する。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテルの断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されている。 なお、当該事例におけるCVポートカテーテルの留置期間は約4か月であった。