事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 皮下用ポート及びカテーテル
販売名 CVポートカテーテル
製造販売業者名 メディコン
購入年
事例の具体的な内容 11年前に肝門部リンパ節転移を伴う進行胃癌の治療目的に、当院内科より当科紹介。術前化学療法の適応と考えられ、同月に放射線部透視室で局所麻酔下に右鎖骨下静脈を穿刺し、CVカテーテルを挿入、ポートは右前胸部皮下に留置した。この際、承諾書「中心静脈栄養カテーテル挿入・ポート造設」を用いて、処置前に気胸や動脈損傷、カテーテル・ポート感染、皮下出血について説明していた。10年前に手術(胃全摘・D2郭清術)を行い、術後化学療法として手術後2ヶ月目までCVポートカテーテルを使用した。その後は使用予定がなかったが、ポートを抜去していなかった。4年前に当科のfollowが終了となり、以後開業医で年1回の検診を受けていた。1年前の胸写は問題なかったが、今年の胸写でカテーテルの断裂が判明、当院を再受診するように指示された。冠動脈CTにてカテーテルの断裂と右心内への遺残を認め、1ヶ月後に局所麻酔下にポート抜去、翌日放射線科Dr.により局所麻酔下にカテーテル摘出の予定である。これまでのところ明らかな症状なく、全身状態に問題はない。
事例が発生した背景・要因 1.11年前に用いていた承諾書「中心静脈栄養カテーテル挿入・ポート造設」はカテーテル断裂については言及されておらず、CVカテーテルポート留置前のI.C.の際に説明していなかった。 2.CVカテーテルポートを用いた化学療法が終了し使用予定がなくなった後も、ポートを抜去せずに留置していた。
実施した、若しくは考えられる改善策 1.現在は同意文書「皮下埋没型中心静脈ポート造設術ver.1.1」にアップグレードされており、「4. 危険性・合併症・術後経過」の「B. CVポートの留置に伴う合併症」の「6) カテーテル切断」の項目があり、I.C.の際には必ず説明している。 2.CVカテーテルポートは、使用予定がなくなったら速やかに抜去するべきである。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテルの断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されている。 なお、当該事例におけるCVポートカテーテルの留置期間は約11年であった。