事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 検体前処理装置
販売名 密閉式固定包埋装置
製造販売業者名 サクラファインテック
購入年
事例の具体的な内容 前月の中旬以降に病理医より、一部の免疫染色において染色不具合の可能性があると指摘され、その原因について標本作製の各段階において調査・検討を行った。病理組織パラフィンブロックを作製する際に使用する密閉式固定包埋装置3台(VIP-6)に不具合があり、染色不良を引き起こしていることが推定された。その日より、不具合のあった3台の密閉式固定包埋装置(VIP-6)の使用を中止し、旧機種(VIP5)での運用を行っている。
事例が発生した背景・要因 染色性に不具合のあった3台の密閉式固定包埋装置(VIP-6)は、約2年前に導入した新型機であり、旧機種にはない新液タンクが装備されている。メーカーに調査を依頼したところ、新液タンク内のクロロホルムが強酸性を示していた(本来であれば中性を示す)。この酸の暴露により組織が障害されることが染色不良の要因ではないかと考えられる。
実施した、若しくは考えられる改善策 メーカー側の原因究明・対応策が確立されるまで新型機種(VIP6)の使用は中止した。毎週1回は染色性への影響がないかの確認を必ず行う。不具合期間の検体数、約6000検体のうち、治療への影響の可能性があると推定した検体数は約600検体で、患者数は約300人となる。該当患者については、個別説明と必要であれば再検査を実施している。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、薬機法に基づく不具合報告が提出されており、調査の結果、クロロホルムを長期間貯留したことで、添加されていた安定剤が消費され、クロロホルムが分解し、酸性化が進行したことで当該事象が発生したと推察されるとのこと。 なお、当該事例を受け、クロロホルムの使用上の注意事項を医療機関へ情報提供を実施している。