事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 長期的使用注入用植込みポート
販売名 デュークス
製造販売業者名 テルモ
購入年
事例の具体的な内容 左上腕ルートでCVポート挿入,2日後より化学療法開始,10コース後に腫瘍が縮小,外科的治療が行われた。手術から40日後より術後補助化学療法が行われ,2コース目施行時より上腕に血管痛を認めた。3コース目の化学療法予定で外来を受診した際に,皮下ポケットと血管穿刺点の間に皮膚の色調変化と硬化,圧痛を認めた。カテーテル造影を行い,造影剤の漏洩を認めた。全システムを抜去し,反対側より入れ替えを行った。CVポートは別の種類のものを使用した。CVポートは血管穿刺部付近で損傷しており,以前にも同じCVポートで同様の事象が起こっていた。
事例が発生した背景・要因 CVポートのメーカー(テルモ)では,上腕からの損傷は1%以下というデータを持っているとのことであるが,当院での診療科の調べでは44例中6例で損傷または疑いが生じている(13.6%)。また,同様の事例が地域の病院でも発生しているとの報告もある。他メーカーの製品ではこのような事例は起こっていない。
実施した、若しくは考えられる改善策 病院内で本事例の情報共有を図り,当該CVポートを病院として使用中止とし,他メーカーのCVポートを使用することとする。メーカーに詳細な検討を行うように申し入れをしている。 また,本事例は抗がん剤の漏洩であったことから,CVポートを使用する際は,10ccの生食でフラッシュし,皮膚の圧痛あるいは膨隆がないかを確認してから抗がん剤を注入するように病院内に周知する。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテルの断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されている。