事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 植込み型心臓ペースメーカ
販売名 メドトロニック EnRhythm
製造販売業者名 日本メドトロニック株式会社
購入年
事例の具体的な内容 MEによる外来チェックにてERI表示を確認した。メーカーの作動保証を踏まえ、EOLということを念頭に置き、1ヶ月-1ヵ月半後に電池交換日程を決定。1ヵ月半後、ペースメーカーの電池交換目的で血管造影室に入室。プログラマーによるペースメーカチェックを行ったところ、予定より早くEOL表示があり、バッテリー電圧1.6V台に落ち込んでいた。最終の閾値測定を行った瞬間にペーシング不全が発生し、完全にペースメーカーの電池が消失し患者は心肺停止状態となった。すぐに、胸骨圧迫を開始、経皮的ペーシングを開始し、血行動態が安定し、意識レベルも清明となった。血行動態が安定しているのを確認後、ペースメーカー電池交換を開始し、新規ペースメーカーを接続し、経皮的ペーシングを終了した。術中に他の合併症を認めず、電池交換術を終了した。
事例が発生した背景・要因 今回、電池交換を行ったペースメーカーは、以前より急速な電池消耗が報告されていたことから、Medtronic社より推奨されたスケジュールにしたがって電池交換術の日程を決定した。しかし、予想されていたよりも電池消耗が早く、今回の電池交換術直前に行ったペースメーカーチェックにより電池残量が枯渇した。
実施した、若しくは考えられる改善策 現在、外来通院患者で同様のペースメーカーを使用しているものが5名いることから、これらの患者のペースメーカー外来の受診期間を短縮し、早めの電池交換術を行う。 Medtronic社より、不具合事象の報告書の提出および、患者フォローアップの提案について検討する。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については企業から薬機法に基づく不具合報告が提出されており、調査の結果、テレメトリにより消費電力が増加し、ERI(選択的交換指標)が表示されたことにより、出力値が制限され、ペーシング不全になったとのこと。当該製品は電池抵抗の上昇によりテレメトリ時の電池電圧が低く測定される事象が発生したことから、電池抵抗上昇時にもERIを表示させる等のソフトウェア改修を行っている。しかし、その後、その対策によってERI表示までの期間が従来よりも短くなることが新たにわかったことから、当該企業により医療機関に情報提供が行われている。