事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 ヘパリン使用中心静脈用カテーテルイントロデューサキット
販売名 プリセップCVオキシメトリーカテーテル
製造販売業者名 エドワーズライフサイエンス株式会社
購入年
事例の具体的な内容 麻酔導入時に麻酔科医師がCVを留置した。カテーテルは、一般的に心臓の手術時に用いているプリセップトリプルルーメンカテーテル8Frを使用した。 当初、右内頚静脈を穿刺しようとエコーを当てたが、右内頚静脈が見つからず、右外頚静脈は太い印象があったため、穿刺せずに左内頚静脈に変更した。エコーガイド下で2回穿刺し、留置部位はCVP測定のため上大静脈(SVC)までの留置とし、経食道エコーにより麻酔科医師2名でCVP測定できる位置にCV先端を確認し、17cm固定とした。 術中は、CVP測定に問題はなかった。心膜閉鎖後に測定値が一時的に不安定になる状況があったが、すぐに回復。術後のX−PでCV先端の位置がずれていないことを確認し、ICUへ入室した。 術後2日目の胸写にて右胸腔内に多量の胸水を認め、胸腔ドレナージを施行した。その後も、胸腔ドレーンからの排液が多量に観察され、胸写上もCVカテーテル先端部の胸腔内への侵入が疑われた。術後3日目にCVルートを鼠径部より取り直し、左内頚静脈からの輸液を中止すると、胸腔ドレーンからの排液が改善した。また、CTでも位置確認しCVカテーテルのSVC穿孔と判断した。
事例が発生した背景・要因 当初はCVP測定に必要な位置に留置されたカテーテル先端部が、心膜閉鎖時のSVCの圧迫や、心拍や時間の経過に伴うカテーテル先端部位のSVC壁への動き、組織が脆弱な小柄(身長127.5cm、体重33.9kg)な高齢女性等の要素が重なり、術後2日目にCVCの先端部がSVCを穿孔したと考えられた。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・術後も胸写にてCV先端場所を確認し、近接していれば後に少し抜くなどの処置を行う。 ・組織が脆弱な高齢女性の手術においては、カテーテルが挿入された状態のSVCには、手術全般において、非常に愛護的な操作が必要である。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については企業から薬事法に基づく不具合報告が提出されており、患者の血管の状態やカテーテルの挿入位置に起因して血管穿孔が発生したと考えられるとのこと。 なお、当該製品の添付文書には、留置中の血管穿孔および胸部X線撮影による留置中の定期的なカテーテル先端位置の確認について記載されている。