【記述項目】 |
一般的名称 |
人工心肺用回路システム
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販売名 |
キャピオックスカスタムパック
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製造販売業者名 |
テルモ株式会社
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購入年 |
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事例の具体的な内容 |
夜半より担当看護師が経皮的心肺補助装置ポンプからの軽微な異音に気づき、朝に臨床工学技士に報告した。臨床工学技士も異音を確認し、カンファレンスで異音について情報共有を行い、フローの不安定さはなく、週明けに離脱を含めた体外循環回路の再評価の方針で各職種一致した。以後、異音は発生したり消失したりを繰り返していた。
翌早朝に、経皮的心肺補助装置ポンプの異音が発生したが自然に改善。17:00頃、一時的に血流低下するが輸液負荷により改善、以後異音は継続していた。回路内血栓の可能性は考慮していたが、実際に血流が確保できており、回路は全回路交換となるため慎重にタイミングを考慮すべきものと考え、注意観察していた。
18:33経皮的心肺補助装置のポンプが突然停止した。緊急用手回し装置でトルクをかけても回転できない状態となり、装置に依存状態であった患者が心肺停止に陥った。ただちに胸骨圧迫を開始し、アドレナリン投与を含めた心肺蘇生を開始し、同時に新たな心肺補助装置回路を準備した。
18:38自己心拍再開、この間に新回路のプライミングを完了し、回路接続するも18:44致死性不整脈が出現し、胸骨圧迫再開。
18:47経皮的心肺補助再開。その後心拍再開と致死性不整脈を繰り返し、心静止に至った。
その後、長男立会いの下、経皮ペーシングを停止。HR15のPEAとなる。長男退室後、IABP停止、徐々にECMOの血流を減量。1L/minで心静止となる。ECMOポンプ停止。家族全員入室し、面会。その後死亡確認となる。
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事例が発生した背景・要因 |
(原因)回路内血栓が当該遠心ポンプの軸部分に固着し、コントローラのみならず緊急用手回し装置でトルクをかけても回転できない状態となり回路交換が必要となった。
心肺補助装置の使用期間が長くなり、回路構成も通常と比べ複雑だったこともあり、血栓症のリスクが高い状態であった。凝固機能は監視しており、心肺補助装置を運用するための適切な抗凝固状態を維持していた。直前よりポンプから異音が聞かれるようになっていた。
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実施した、若しくは考えられる改善策 |
・異音がした際などにおけるポンプ(回路)交換基準及びプロトコルの作成をする。
・本事例では回路構成が通常よりも複雑化していたため、可能な限り回路構成を単純化する。
・本事例で使用していたPCPSポンプの試用期間は6時間以内であるが、現状は数日使用せざるを得ない症例が多数であることから、ポンプ単体で交換が可能な機種への変更等について検討していく。
・院内のECMOチーム等、管理体制を整備する。
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