事例の具体的な内容 |
術前の処置として、ウエルパスを用い、胸部の脱脂のため清拭を実施した。(看護師は3プッシュ程度噴霧し、おしぼりでふき取った後、医師が5プッシュ程度しおしぼりでふき取る)手術が進み、術前処置から約5時間後に胸腔内洗浄のために温生食で洗浄を実施し閉胸した。続いて鎖骨部の閉創のため温生食にて洗浄を実施、洗浄時には首元の覆布がはがれかけており、洗浄水は頭側(麻酔科医側)に垂れ込んでいた。
洗浄終了後、機械出し看護師は温生食が空になったピッチャーを患者から一番遠い器械台の左隅に置き、外回り看護師に「ハイポエタノールをください」と依頼した。 外回り看護師が置かれたピッチャーが空になっているのを確認し、フリー看護師にハイポエタノールを入れるように指示した。フリー看護師はハイポエタノールを保温庫から取り出し、呼称確認の後に300mL程度ピッチャーに注いだ。この、ハイポエタノールを準備している作業と並行しながら、洗浄中に血管からの出血を確認したため術野では執刀医が電気メスで止血作業をしたところ、その最中に執刀医の左前腕部に熱を感じ、プラスチックが燃えたような臭いがした。手をどけて確認したところ青白い炎が出ていたのを確認し、手でたたいて消火した。
消火後手袋を交換している中、まだ焦げ臭いとの発言があり、患者の頭部を見ると患者の頭側の覆布がオレンジ色の炎で燃えていた。覆布を剥がし、総員で消火作業を実施し麻酔科医に酸素を止めるように執刀医より指示された。
消火後、挿管チューブが溶けているのを確認し、再挿管施行、CVの入れ変えを実施した。発火により、患者は顔面から頸部にかけて2−3度の熱傷を負い、冷却と軟膏処置を実施、手術室を変えて再度処置が継続された。
|