事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 ビリルビン分析装置
販売名 ビルメーターE
製造販売業者名 京立電機株式会社
購入年
事例の具体的な内容 NICUに常備されているビリルビン測定装置(ビルメータ)において指定の毛細管(ドラモンド社製)ではなく、テルモ社製(ヘマトクリット毛細管35μlヘパリンナトリウム VC-H075H)を使用して測定した。その際の値が13.5mg/dlと正常範囲であったために経過観察とした。その後の測定にて21.5mg/dlと上昇し、光線療法を開始した。 その後、本児は退院後に重症な中枢神経症状を示し、家族が高ビリルビン血症による後遺症(核黄疸)を疑い問い合わせがあった。患児の症状は先天性疾患による中枢神経症状であり、ビリルビン血症との因果関係はないと判断している。しかし、中央検査室で行われたビリルビン値とのかい離があることから製造元に機器の特性を問い合わせた際に、テルモ社による毛細管を用いてビルメーターで測定を行うと、指定の毛細管を用いたときよりも約25%値が低くなることを業者から情報提供された。当院NICUでは10年前の開設以来、ドラモンド社製とテルモ社製の毛細管が区別なく使用されていたことが明らかになった。
事例が発生した背景・要因 毛細管の違いによる測定値の違いが起こりえることを担当医師は全く認識していなかった。ビルメータの説明書には指定品を使用するように記載されていたが、目立つ記載ではなく、また、単に指定の毛細管を使用するようにとの記載に留まり、25%もの誤差が生じるとは捉えられていなかった。また、ビリメータはどの会社の毛細管でも測定ができる構造となっていた。ビルメーターの取扱説明書では、ドラモンド社製毛細管を使用しなければ、測定値が不正確になると記載されている。 他のメーカー(株式会社フクダ産業製フォトBHメーターVI)の添付文書には禁忌事項に書かれているが、ビルメーターの添付文書には禁忌には記載がなく、目立たない記載となっており、測定値が25%も低いことは一切書かれていない。さらに、テルモ社を含めた他社の毛細管を使用しても、問題なく測定ができる構造となっている。製造元、販売元は4年前に他の病院から測定値異常の指摘を受けてテルモ毛細管を使用すると20-30%測定値が低下する実験結果を得たが、その情報を注意喚起しなかった。
実施した、若しくは考えられる改善策 .毛細管の違いによる値の違いを認識以後、正規の毛細管に変更(毛細管を指定のドラモント社製に変更)した。 .自科検査のリスクを考慮し、中央検査室にて測定ができるように交渉している。不適切な測定と健康被害の有無について新病院NICU入院患者1500人を対象として調査している。 ・厚生労働省医薬食品局安全対策課「医療機器安全性情報報告書」提出 ・日本周産期・新生児医学会、日本未熟児新生児学会、日本小児科学会、日本産科婦人科学会へ「ビルメーターEによるビリルビン測定における毛細管使用の問題について」の注意喚起文を送付。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例は薬事法に基づく医療機関報告および企業からの回答が提出されており、当該総ビリルビン分析装置においてビリルビン濃度の測定誤差が生じたとのこと。当該企業が確認したところ、指定外の毛細管を使用し測定を行ったため誤差が生じたと考えられるとのこと。 当該装置の添付文書においては、従来から使用可能な毛細管の種類が記載されていたが、当該事例を受け、改めて情報提供文書を配布し、注意喚起を行ったとのこと。