事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 皮下用ポート及びカテーテル
販売名 不明(皮下用ポート及びカテーテル関連)
製造販売業者名
購入年
事例の具体的な内容 ・病巣の残存あるため、半年前までVP-16を内服(3週服薬、1週休薬)。定期胸部エックス線、骨盤CTでは播種病巣はあるものの新病変なしとの報告であったが、その後のCA125が827U/ml(前回の数値は162)と上昇し、加えて腹部のはり、腹痛が出現したことから入院し、翌日に静脈内化学療法(パクリタキセル、カルボプラチン)を施行する指示を出した。CVポートは3ヶ月前まで3ヶ月毎に洗浄を行っていた。 ・入院。入院後の胸部エックス線検査でカテーテル断裂が疑われた。17時30分CVポートから逆血を試みるも血液は引けず、ポートから生食を注入すると抵抗があった。放射線科IVRチームにコンサルトし、1ヶ月前のCTを再読映したところ右心房内にカテーテルの存在が認められた。19時15分から経静脈的にカテーテル除去術が施行され、19時39分断裂したカテーテルが除去された。同時にCVポートとポートに接続されていたカテーテルも除去された。 ・4日後、右鎖骨下静脈にCVポートを造設。 ・予定されていた抗がん化学療法をCVポートから施行した。 ・その後、退院。外来経過観察中。
事例が発生した背景・要因 カテーテルが鎖骨と第一肋骨に挟まれることで生じた断裂である(ピンチオフ)。抗がん化学療法中や洗浄時には滴下不良や抵抗がなく、ピンチオフの予知は困難であった。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・鎖骨下静脈ではなく内頸静脈あるいは上腕静脈アプローチを選択することも考慮する。 ・ピンチオフ早期発見のためには、胸部エックス線を6ヶ月毎、使用しない場合のCVポートの洗浄は1ヶ月毎とし、毎回前胸部の症状の有無をインタビューすることが望ましい。 ・CVポート挿入患者の定期CT検査オーダー時には、読映医にピンチオフも念頭においた読映を要請する。 ・以上3つの改善策は、CVポート挿入にあたりCVポート造設患者に対する責務と認識したい。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテル断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されているところ。