【記述項目】 |
一般的名称 |
再使用可能な手動式肺人工蘇生器
|
販売名 |
MMI 蘇生バッグ
|
製造販売業者名 |
村中医療器株式会社
|
購入年 |
|
事例の具体的な内容 |
午後10時頃、成人T細胞性白血病に対する末梢血幹細胞移植後で、合併症を併発し全身状態悪化の患者が急激に呼吸状態が低下。蘇生時に、組み立て方を間違ったバックバルブマスクを使用したことが原因と考えられる低酸素脳症となる。挿管を行った医師は、正しく挿管できたことを確信した後も胸郭が上がらないなど総合的な判断からバックバルブマスクの異常を疑い、新しいバッグバルブマスクに交換した。
事故後、直ちにICU病棟で呼吸管理、脳障害に対する予防治療(低体温療法など)などの集中治療を実施したが、その後、死亡した。
|
事例が発生した背景・要因 |
バックバルブマスクを洗浄して組み立てる際、取扱説明書を確認したが十分理解しないまま組み立てた。組み立て間違いは、(1)逆止弁をエアー吸入アセンブリー部に取り付けた、(2)患者呼気弁を逆止弁ユニットの本来逆止弁が入る部分に取り付けた、の2つあった。
バックバルブマスクを主に加圧していた医師や途中で一時交代した医師ともに加圧時の手ごたえは、特に異常は感じ無かった。また、新しいバックバルブマスクに交換した後も、当初の組み立て間違いのものと手ごたえの差は感じなかった。胸郭の動きに関しては、患者の浮腫が強く服も着ていたため、「分からなかった」という意見と「少しあった思う」とする意見に分かれている。
組み立て後の動作確認は、バッグバルブマスクの破損・汚染はないか、酸素を流して(1)リザーバーが、膨らむ(2)バッグを押すと吹出口より送気される(3)バッグ加圧を解除するとリザーバーがしぼむ(4)しばらくするとリザーバーが膨らむ。エアシールマスクの破損・汚染はないか(マスク内の空気入りは良好ですか)であった。しかし、院内手順を順守せず異なる方法で行った。
手順が順守されなかった要因としては、組み立て直後にバックバルブマスクの点検を行った看護師はバックバルブマスクを含む救急カートの点検を行ったことがなく、また正しい点検手順の知識もなかったため、バックバルブマスクを加圧して送気できることを確認しただけであった。その後、別の看護師が救急カートを点検していおり、本来ならこの時点で再度バックバルブマスクの点検が必要だがこの看護師は組み立て直後の点検にも立ち会っていたものですが、点検を実施したかどうかの記憶が曖昧であた。普段の点検においてもマニュアルに定められた「(3)バッグ加圧を解除するとリザーバーがしぼむ」ことは確認していなかった。
バックバルブマスクは救急カートに入れてあり、救急カートは原則1病棟(1部門)に1台配置している。当該病棟は血液内科、無菌室、放射線科の3部門があるため3台の救急カートがあり、そのため3個のバックバルブマスクを在庫していた。今回、組み立て間違いがあったバックバルブマスクは血液内科の救急カートに保管してあったものであり、交換したバックバルブマスクは、無菌室から持って来た救急カートに入っていたものであった。
|
実施した、若しくは考えられる改善策 |
最終的な改善策は外部委員を含む事故調査委員会で決定することになるが、事故後に全部署のバックバルブマスクの点検を行い、今後洗浄・組み立てが必要な場合は臨床工学部のMEセンターで行う運用とした。
|