事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 一般的電気手術器
販売名 フォース電気手術器 ステリクロンR エタノール液0.5
製造販売業者名 コヴィディエン ジャパン株式会社 健栄製薬株式会社
購入年
事例の具体的な内容 12:55 手術室入室 「膀胱部分切除・結腸切除・瘻孔閉鎖術」施行 16:35 消化管外科医師Aは、閉創前に「ステリクロンRエタノール液0.5」(0.5%クロルヘキシジン入り、アルコール83%入り)にて皮膚を消毒、綿球で創を消毒後、周りの皮膚に薬液をふりかけた。その後助手の医師(消化管外科医師B )に閉創を依頼し、家族への説明のために手術室を出ようとした。助手の医師が閉創しようとしたが、一部出血があっため、電気メスを使用したところ、創の上においたガーゼに引火した。すぐに生理食塩水をかけて消火し、滅菌ドレープをはずしたところ、創正面に1度熱傷と思われる表皮剥離が見られ、リンデロン軟膏を塗布した。 16:41   手術終了 16:57  気管チューブ抜管 19:00  病棟へ帰室 皮膚科にコンサルトし「2度浅層、一部2度深層レベルの熱傷」の診断ステロイド外用使用の指示がでた。患者・家族へ、消化管外科医師より「電気メスと消毒の反応で熱傷をきたした」ことを説明し理解を得た。
事例が発生した背景・要因 1執刀医は通常は閉創前に消毒はしていないが、本事例は結腸膀胱瘻であったため、特にSSI予防が必要と判断し消毒薬を使用した。 2術者は、「ステリクロンRエタノール液0.5」の消毒薬成分、使用方法について理解していない。(エタノール83%、0.5%クロルヘキシジン入りであるが、0.5%エタノール液と思った) 3執刀医は、閉創を助手医師に依頼しその場を離れた。助手医師は「ステリクロンRエタノール液0.5」が使用されたことは見ており、アルコール消毒薬と電気メスによる発火の可能性があることも知っていたが、この時は考えが及ばず止血することが優先になり電気メスを使用してしまった。
実施した、若しくは考えられる改善策 1手術創の洗浄には創傷治癒に悪影響を与えるため消毒薬を用いない。 2「ステリクロンRエタノール液0.5」は、健常皮膚の消毒に使用する事を徹底する。 3アルコール含有消毒剤は、気化したアルコールが充満すると電気メス使用時に引火するため、やむを得ず使用する場合には、乾燥させ、アルコールの拡散を確認してから使用する。 4「ステリクロンRエタノール液0.5」のボトルに注意喚起のシール「傷・粘膜使用禁・火気厳禁(電気メス使用注意)」を貼付する。 上記内容に関して連絡速報での通知及び各セーフティ会議にて通知した。

事例検討結果
事例検討結果 当該電気手術器の添付文書には、アルコール性皮膚消毒材等の可燃性物質に引火する可能性があることが記載されている。 なお、これまで同様の事例が集積されており、PMDA医療安全情報No.15「電気メス取扱い時の注意について(その2)」を作成・配信し、注意喚起も実施しているところ。