事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 短期的使用胃瘻栄養用チューブ
販売名 バラードMIC栄養チューブ
製造販売業者名 センチュリーメディカル株式会社
購入年
事例の具体的な内容 夜より、当該児に機嫌不良、発熱が見られていた。 胃ろうからの注入栄養は問題なく入っていたが、次の日朝7時の注入後より呼吸悪化が見られ、気管内挿管下に人工呼吸管理となった。代謝性アシドーシスを認め、ラインの確保が困難であった。腹部緊満が強く、X線写真にて消化管穿孔が疑われたため、小児外科医より腹腔ドレナージを行ったところ、ミルクが大量に流れ出た。開腹手術を行い、胃穿孔が見られたため、穿孔部閉鎖術を行ったが、術中に心停止を起こし、状態は改善しなかった。
事例が発生した背景・要因 当該児は先天性の疾患により開腹術を過去に2回行っており、腸管などの癒着が強かったことより、胃穿孔が起こっても発見が困難であったと思われる。 病理解剖でも胃穿孔以外の所見が見られなかったため、それが直接死因につながったと推測される。胃穿孔を起こした原因は、組織所見を持たないと明らかではないが、胃ろうバルーンの当たっていた部位に大きく孔が開き、他の部位には潰瘍や炎症が見られないことより、バルーンの刺激により機械的損傷を受けた可能性も考えられた。
実施した、若しくは考えられる改善策 胃ろう管理中の児では、常に胃ろうチューブによる胃穿孔の可能性も考えて診察に当たる必要がある。したがって、胃ろう管理中の児が状態変化した場合は、速やかに小児外科医師とも連携を取って、病態の究明、治療に当たるよう関係スタッフに注意した。

事例検討結果
事例検討結果 当該事象について企業から薬事法に基づく不具合報告が行われており、剖検において胃穿孔が認められ、その原因は当該機器のバルーンから5mm程度突出しているチューブ部分による機械的損傷と推察されているとのことであった。 当該事象は、当該機器が留置されてから約2ヶ月後に発生しており、留置状況等に関係している可能性もあり、現在、調査が行われているところである。当該企業では、その調査結果を踏まえ、今後添付文書の改訂等の対策を講じる予定。