事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 ヘパリン使用長期的使用注入用植込みポート
販売名 P-U セルサイトポート
製造販売業者名 東レ株式会社
購入年
事例の具体的な内容 19年前に小児の左悪性胸膜中皮腫の患者に対し、CVポートカテーテルを留置し化学療法施行後、左胸膜全摘出術を施行した。術後は、再発のリスクを考慮し、CVポートカテーテルは抜去せず経過観察していた。長期間無再発で経過し、経過中に担当医はCVポートカテーテルを留置していることを失念した。手術から19年後、経過フォローのための胸部単純XPで、担当医はCVポートカテーテルが鎖骨付近で破断した状態で体内に残存していることを発見した。当院には心臓血管外科医が勤務していないため、他の医療機関の心臓血管外科にコンサルトしたところ、破損したCVポートカテーテルは長期間留置されており、癒着が高度と推察され、抜去するのは手術リスクが高いと判断され、抜去はせずに経過観察することになった。
事例が発生した背景・要因 ・術後再発するリスクが高いと判断していた。・再発時にCVポートカテーテルを使用する可能性が高かったため、術後に抜去をせずに経過観察することにした。・幸い、長期にわたり再発を疑う所見は認めなかったため、術後CVポートカテーテルを使用することはなかった。・時間が経過するにつれ、担当医はCVポートカテーテルが留置されていることを失念した。・術後5年は3ヶ月に1回程度、術後5年以降は6ヶ月に1回程度診察し、その都度、胸部CT検査、あるいは胸部単純XP検査を施行していた。・術後11年目以降は年1回程度の診察とし、その都度胸部単純XPを撮影していた。・CT読影医や担当医は、胸部CTや胸部単純XPの画像を確認する際に、胸膜中皮腫の再発の有無に注視しており、CVポートカテーテルの破断については確認していなかった。・後方視的に視ると、術後9年目のCTにてCVポートカテーテルの走行が変化していることが確認された。・また、術後13年目までの胸部単純XPでは、CVポートカテーテルの破断は明らかではなかったが、術後14年目に撮影した胸部単純XPではCVポートカテーテルが明らかに破断している所見を認めた。・当該患者が小児であったことから、成長によりCVポートカテーテルに過度な負荷がかかり、破断したものと推察される。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・小児科において、以下の再発防止策を講じることを決定した。1.CVポートカテーテル挿入患者のリストを作成する。2.リストには、想定される抜去時期を記載し、月1回カンファレンスにて、カテーテルを抜去する必要がある患者を確認する。3.1年以上CVポートカテーテルが留置されている場合は、複数名の医師で医学的な必要性を確認し、患者および家族に長期留置の目的及びリスクについて説明する。長期にCVポートカテーテルが留置されている患者のCT画像や胸部単純XPを読影する際には、カテーテルの破断の有無の確認を徹底する。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテルの断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されている。また、これまで同様の事例が集積されており、PMDA医療安全情報No.57「皮下用ポート及びカテーテルの取扱い時の注意について」を作成・配信し、注意喚起も実施している。なお、当該事例におけるCVポートカテーテルの留置期間は約19年であった。