【記述項目】 |
一般的名称 |
電気パッド加温装置コントロールユニット
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販売名 |
AGヒーター
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製造販売業者名 |
日本メルクス株式会社
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購入年 |
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事例の具体的な内容 |
腰部手術時に保温・加温ヒーターを使用した。アルミマットの上に患者を腹臥位にし、下半身に布をかけ保温・加温ヒーター→サンステートの順で掛けた。ヒーターの体温は38℃設定(常時38℃設定)としている。手術が終了(手術時間4時間38分)しドレープを剥がすと、両大腿後面全体の発赤と一部2cm大の水疱形成が認められた。熱傷と考えWOCに相談しワセリンを塗布した。翌日、下腿に5-6cmの水疱形成が見られた。使用したヒーターの調査をメーカーに依頼した。壊死組織が見られたため形成外科に受診し、デブリードマン施行した。痛みが増強し鎮痛剤を処方した。腰部の術後の経過は順調であり予定通り退院したが、患者は自宅で熱傷部位の軟膏処置を継続している。術後41日目、大腿の熱傷部は上皮化がみられた。下腿の熱傷部の治癒遅延があるが、植皮術は不要である。
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事例が発生した背景・要因 |
・メーカー調査の結果、加温不良及び局所高温が認められた。原因は過去事例を踏まえ、マットの縫い目からの液体浸潤によるヒーター部のダメージに起因した断線が考えられた(使用後に清掃シートの液体浸潤)。・本来ならマットに異常が認められた際には、コントローラーの安全装置が作動しエラー表示、電源が切れる構造になっているが、本事例では、生体の発熱、発汗及びサンステートの保温効果が相乗効果となり空気層等、マット上下全体が保温加温され、センサーが38℃の温度を感知しエラーが発生することがなかった。この状態が続いたことが要因となり低温熱傷を発生させたと考えられた。・他施設で類似事例が発生したため、メーカーはAGヒーターを順次回収し、縫い目から液体浸潤しないようカバーで補強することを実施している最中であった。当院にはAGヒーターは2台あり、そのうち1台は回収されていた。メーカーから病院に安全情報の提供はなく、AGヒーターを使用した。・腰部の手術のため、ヒーターを外し皮膚の観察を行うことは難しく実施していない。
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実施した、若しくは考えられる改善策 |
・メーカーにAGヒーターを使用している各病院に本件事例を周知するよう依頼した(安全情報の共有)。・AGヒーターを回収し縫い目の補強をメーカーに実施してもらった。
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