事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 不明
販売名 不明
製造販売業者名 不明
購入年
事例の具体的な内容 埋込型CVカテーテル抜去時にカテーテルの断裂が判明し、血管アプローチでのカテーテル回収を行った事例。子宮体癌に対し当院婦人科で開腹手術施行した。術後補助化学療法のために手術から約1ヶ月後にCVポート挿入し(右鎖骨下静脈)、その2日後に初回化学療法を行った。地方在住のため、残り5回の治療はA病院で行われた。その後、新型コロナウイルス流行のため、当院の受診が半年-1年毎となり、その間でA病院を受診していた。当科でもA病院でも担当医の変更が複数回あり、CVポート挿入中である認識がなく抜去の提案やポートフラッシュ、レントゲンでの走行の確認を行っていなかった。手術から約3年3ヶ月後より肺に結節が出現し当科と呼吸器内科で3ヶ月ごとの外来フォローとしていた。結節出現から9ヶ月後に肺病巣の増大が認められ、子宮体癌再発の疑いで、呼吸器外科に切除を依頼することとなった。カルテ確認した際、外来担当医が、CVポート挿入したままであることに気付き、最終使用は3年5ヶ月前であることを確認した。肺病巣増大確認後のPET-CT、胸部レントゲンでは、カテーテルが強く屈曲してみえたが、CT画像でカテーテルの走行が追えたため、連続性があると判断した。翌月の受診時に、生食注入を試みたが逆血も注入もできず、カテーテル閉塞と判断した。この1週間後の呼吸器外科手術(胸腔鏡下左肺部分切除術)後、全身麻酔中に婦人科医師でCVポート抜去を開始した。ポートを周囲組織から剥離し、カテーテルを牽引したところ、ポートから9cmの部分で断裂しており、遠位部が体内に残存した。カテーテルと思われる索状物を創部皮下組織内に触れたため、創を延長し、透視下に周囲をさらに展開した。呼吸器外科医師と操作を進めたが、カテーテルが視認できなかった。カテーテルが血管内に完全に入っている可能性があるため、画像診断科医師により鼠径部からの血管内アプローチで残存したカテーテルが抜去された。後方視的にみると肺病巣の増大が認められた月のCTを見比べると、月前半のCTではスカウト画像でも連続性がしっかりあるが、月後半のCTスカウト画像では鎖骨近傍でカテーテルの断裂も疑うべき所見であった。
事例が発生した背景・要因 ・担当施設や担当医師が複数回変更になったことや引き継ぎが不十分であったことから、担当医師にポート挿入中である認識がなく、約4年間管理しないままとなってしまった。・カテーテルの走行を事前に確認したにもかかわらず、またレントゲンでは走行の異常を認識したにもかかわらず、CTの横断像で連続性があると判断してしまった。 ・事前に断裂を強く疑っていれば、より早期に抜去を検討でき、不整脈等の重大な合併症が生じるリスクが最小限で済んだと思われる。また右前胸部の創の延長も行わずに済んだと思われる。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・カテーテルを長期使用しない場合は、抜去する。・長期留置カテーテルは断裂の可能性があることを認識し、定期的に胸部レントゲンで走行を確認する。・担当医の引き継ぎ時にポート挿入中であることが伝達されないことがあるため、カルテにポート挿入中であることや最終胸部XP、最終フラッシュ日等を明記する。・画像所見の判断に迷うときには、複数の医師で協議する。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテルの断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されている。また、これまで同様の事例が集積されており、PMDA医療安全情報No.57「皮下用ポート及びカテーテルの取扱い時の注意について」を作成・配信し、注意喚起も実施している。なお、当該事例におけるCVポートカテーテルの留置期間は不明であった。