事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 長期的使用注入用植込みポート
販売名 PowerPort MRI
製造販売業者名 株式会社メディコン
購入年
事例の具体的な内容 中咽頭がん・肺転移に対する化学療法のため、3年前に右鎖骨下静脈へ皮下植込み型ポート(CVポート)を留置した患者。約3年後、予定化学療法前のヘパリン注入時に強い疼痛を生じ、外来化学療法室へ相談し主治医と協議してCVポートは使用せず、末梢ルートから薬剤投与を行った。その後、胸部造影CTを施行しカテーテル断裂と肺動脈へ断端部が迷入した所見を認め、循環器外科当直医へ相談。循環器内科へコンサルトするよう示唆があった。患者へ説明し、心電図モニタを装着。3日後、循環器内科医により経皮的血管内異物除去術が行われ、約10cm長の断端を回収。断端部は鈍であった。原因特定のため製造業者へ調査依頼の方針とし、翌日退院となった。
事例が発生した背景・要因 ポート留置後3年近く経過し、経年劣化やピンチオフ現象を生じ断裂した可能性があった。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・使用前の胸部レントゲン画像確認を徹底することや、ポート使用時のフラッシュや薬剤投与時の疼痛出現時には速やかな医師への報告やレントゲン評価の徹底があげられた。・評価機構の医療安全情報とPMDAの資料を基に安全ニュースを作成し、・留置後の注意すべき管理方法や観察点、・断裂原因、・発生時の対応等についての三点を中心に全リスクマネジャーへ説明し、院内に掲示して周知した。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテルの断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されている。また、これまで同様の事例が集積されており、PMDA医療安全情報No.57「皮下用ポート及びカテーテルの取扱い時の注意について」を作成・配信し、注意喚起も実施している。なお、当該事例におけるCVポートカテーテルの留置期間は約3年であった。