事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 長期的使用注入用植込みポート
販売名 パワーポートMRI
製造販売業者名 株式会社メディコン
購入年
事例の具体的な内容 右鎖骨下にCVポートを留置し右内頸静脈にカテーテルを穿刺した患者。化学療法を実施するにあたり、看護師が22Gヒューバー針を用いて、CVポートカテーテル(メディコン・パワーポートMRI)を生食(20mLシリンジ)でフラッシュした。その際、患者がカテーテル皮下走行部位の疼痛を訴え、同部位の皮下腫脹が見られた。そのため、当日はCVポートを使用せず、末梢静脈ルートを確保して化学療法を施行した。臨床腫瘍科医師から外科医師にコンサルトがあり、X線撮影を行ったところ、カテーテルの先端部が離断し、右心房内まで到達していた。離断した先端部は、放射線科医師がIVRにより摘出し、ポート部は外科医師が除去した。
事例が発生した背景・要因 離断したCVポートカテーテルは4年前に右鎖骨下に留置された。メーカーより、繰り返しのキンク(折れ曲がり)による断裂との調査報告があった。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・留置から離断までの期間については他施設よりの報告でも、相関性がはっきりしない。・CVポートを交換することにも感染等のリスクがある。そのため、離断そのものを予防するのは困難である。以下、4点などにより、ハイリスク薬の血管外漏出を防止する対応が考えられる。1)CVポート使用前に生食等でフラッシュし、異常が無いか確認する。2)カテーテル走行部位付近に異常が見られないか目視で確認する。3)問診にて、前回使用時以後にポート付近に異常な力がかからなかったか確認する。4)CVポートより点滴開始後、患者に異常がないか確認する。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテルの断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されている。また、これまで同様の事例が集積されており、PMDA医療安全情報No.57「皮下用ポート及びカテーテルの取扱い時の注意について」を作成・配信し、注意喚起も実施している。なお、当該事例におけるCVポートカテーテルの留置期間は約4年であった。