【記述項目】 |
一般的名称 |
体内固定用組織ステープル
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販売名 |
EndoWrist ステープラーリロード
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製造販売業者名 |
インテュイティブサージカル合同会社
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購入年 |
不明
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事例の具体的な内容 |
手術には、手術ロボットのダヴィンチXiを使用した。同機器で使用する、ステープラー 30mm インストゥルメント カーブドチップ Xiという道具に、ステープラー 30mm ホワイトリロード Xiをセットし、central vein(上肺静脈のV1+2+3の枝)を切離しようとした時に発生した。本システムでは、血管に自動縫合器のステープラーがかけられ、その間の血管は本来切離されるはずであるが、ステープラーがかけられるが、血管が切離されない事象が発生した。新しいステープラー 30mm ホワイトリロード Xiをセットし、切離を再度試みるも、同じ事象が再度発生した。他社製造の胸腔鏡用の自動縫合器を用いて、同血管は無事に切離し、手術は無事に終了した。使用したステープラー 30mm ホワイトリロード Xiを2個とも、さらに手術ビデオも含めてインテュイティブサージカル合同会社に提出し、事故の調査を依頼した。調査開始後、まもなく、同社からステープラー 30mm ホワイトリロード Xi使用時のビデオの解析によると、ステープラー 30mm ホワイトリロード Xi内に納められているカッターの刃の一部が破損し、胸腔内にこぼれ落ちた可能性が高いこと指摘された。直ちに患者に説明し、CTを撮像し、胸腔内にカッターの刃の一部と考えられる物体があることを確認した。患者に同意を得て、手術から3ヶ月後に同胸腔内の異物摘除の手術を行った。初回、2回目の手術ともに患者の術後経過は良好であった。インテュイティブサージカル合同会社の事故調査レポートによると、ビデオ解析により、血管切離を試みた際に、ジョー根元のアンビル内に、ステープルの塊が入り込む様子が確認された。そのために、ステープラー 30mm ホワイトリロード Xiの刃が破損した可能性が高いと結論付けられた。
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事例が発生した背景・要因 |
インテュイティブサージカル合同会社によると、彼らは今回の調査を米国本社により行ったが、今回の製品による、同様の事象は世界中で、行った前例がないとの報告であった。極めて珍しい事象が起こったといえる。インテュイティブサージカル合同会社は、今回の製品製造上の問題はないものの、同製品の使用上の注意喚起(アンビル内にステープルの塊が入り込む可能性があり注意が必要であること注意喚起)が十分でなかったと報告している。
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実施した、若しくは考えられる改善策 |
ステープラー 30mm ホワイトリロード Xiを使用する際には、その前の使用で発生したステープルの塊がアンビルに入り込む可能性があるので、これまでも行っているが、手術看護師による十分な洗浄と医師の目視による確認を徹底することとした。
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