事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 長期的使用注入用植込みポート
販売名 パワーポートMRI isp
製造販売業者名 株式会社メディコン
購入年
事例の具体的な内容 40歳代女性。右乳癌術後、化学療法後、統合失調症、強迫性障害の患者。1年前に右乳癌に対し術後化学療法のため左内頸静脈経路にCVポートを造設。6ヶ月前にTC療法最終投与。投与時とそれ以降も特に問題なく経過していたが、術後1年後のCTで転移再発徴候はないが、CVポートカテーテルが左鎖骨下静脈近傍で断裂している所見あり。上大静脈から右心房にカテーテルの迷入を確認。断端部位の心筋癒着に関しては評価困難。明らかな血栓像なし。CV抜去目的で入院が必要となったが、精神科入院での治療が必要なため家族と日程調整を行い、今回精神科へ入院、翌日にカテーテル手術での断裂カテーテル回収術とポート抜去を行った。
事例が発生した背景・要因 ・造設後の胸部X線を確認すると、カテーテル頂点の屈曲が強く、また左前胸部から内頸静脈へ至る経路で通常よりもM字の屈曲が目立った。・他にも治療期間が長期間に及ぶ臓器やsubtypeもあり、造設後1年で再発なしを確認後に抜去予定としたことが特に遅かった訳ではない。しかし本例は半年以内の治療期間で終了しており、今後は術後1年よりも早い時期に抜去することの提示も念頭におくことが提案された。・肥満体型と右上肢リンパ節に対するセルフマッサージの実施が挙げられた。カンファレンスでは肥満症例ではカテーテルの屈曲により注意を払うべきとなったが、セルフマッサージの実施と本件との関連性については不明で結論は出なかった。
実施した、若しくは考えられる改善策 1.手技の見直し:内頸静脈刺入部の切開を広め(約1cm)において刺入部周囲のポケットを広めに剥離、その上で前胸部からトンネリングを行うことでカテーテル頂点の屈曲をなだらかにすることや、術中に透視下で上肢の外転などを行い屈曲の確認を追加すること、が挙げられた。2.抜去時期の検討:CVポートの使用期間が終わったら、可及的速やかに抜去する。3.その他:他社製品と比較、断裂の頻度が高いようなら、今後留置するCVポートの製品を変更することの検討も必要との意見があり、業者と検討することとした。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテルの断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されている。また、これまで同様の事例が集積されており、PMDA医療安全情報No.57「皮下用ポート及びカテーテルの取扱い時の注意について」を作成・配信し、注意喚起も実施している。なお、当該事例におけるCVポートカテーテルの留置期間は1年であった。