事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 冷却パック
販売名 エラストゲルTM7008
製造販売業者名 有限会社MASI
購入年
事例の具体的な内容 今回、weekly PTX療法開始約60分経過後、患者より手の指先が痛いとの訴えがあり、フローズングローブを外すと、両手の指先が白く、手掌は赤くやや腫脹していた。すぐにホットパックによる温罨法を開始して様子を見るが、右環指先端の一部が暗紫色に変色、両手指先の数ヶ所に水疱形成を認めた。主治医の診察により、当日は経過観察として帰宅された。翌朝に痛みが出てきたと電話連絡があり、診察すると水疱形成が顕著となっており、抗がん剤治療に伴う易感染症状態と両手の受傷による生活への支障を考慮し、2日後入院加療となった。
事例が発生した背景・要因 ・当該フローズングローブは、2年前の日付けでクラス2(回収理由:凍傷)の自主回収通知が発出されていたが、回収できていなかった。 ・フローズングローブの用途は消炎鎮痛処置(寒冷治療)であり、抗がん治療の副作用予防に使用することは、適応外使用に該当していた。 ・使用に関する適応基準や使用時の観察方法等について、院内で標準化されていなかった。 ・年間約3600回使用しているが、現在まで凍傷の発生事例はなく、安全に使用できるものと思い込んでいた。 ・従来は-30℃の冷凍庫で凍結し取り出し直後に使用していたが、事故の数日前より、運用効率を改善する目的で、-80℃で凍結し1時間常温で解凍した後に使用する運用に変更していた。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・自主回収については、製造メーカもしくは販売会社が責任を持って情報収集と回収を行うよう通達する。 ・副作用予防目的のフローズングローブの使用について、学会のガイドラインや各種文献を参考に今後の使用を検討する。 ・医療機器を適応外使用する場合は、医療倫理検討委員会で検討し、患者への十分な説明と同意書を取得する。 ・使用に関する適応基準や使用時の観察方法等について、院内でマニュアル化する。 ・医療機器の適応外使用であっても、添付文書の記載に従った使用方法(冷却時間)を遵守する。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については薬機法に基づく報告が提出されており、クラスII自主回収が実施されている。当該事例については製造販売業者により既に対策がとられていたものの、当該医療機関では販売業者からの自主回収の通知、回収対応については実施されていないとのことから製造販売業者へ確認したところ、原因としては販売業者内での情報伝達不足があったとのことであり、販売業者への再教育を行うことで再発防止を図ったとのことであった。