事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 ドパミン塩酸塩
販売名 イノバン注0.3%シリンジ
製造販売業者名 協和キリン株式会社
購入年
事例の具体的な内容 患者は前日にデンバーシャント施行しており放射線科の指示でイノバンを頸部CVより3cc/Hで静注していた。血圧は130-150台で経過していたが、シリンジポンプの閉塞ランプが頻繁に点灯しており圧抜き、シリンジをセットし直す、CVの固定の張り替え、CVからの逆血確認を行い閉塞アラーム対する対応を行っていた。投与は予定時間通り投与されていた。13時にナースコールがあり、急激な頸部の痛み、頭痛、目眩を訴えた。血圧191/103mmhg、脈拍112/minであった。
事例が発生した背景・要因 患者は前日にデンバーシャント施行しており放射線科の指示でイノバンを頸部CVより3cc/Hで静注していた。
実施した、若しくは考えられる改善策 シリンジポンプはその後ヘパリンの持続投与に使用しており、閉塞アラームが生じることなく投与された。イノバンシリンジの内筒のしぶりを若干感じる印象にあり、注入に抵抗が生じた可能性も否定できないため病棟薬剤師へ報告し、メーカーへ問い合わせを行っている。

事例検討結果
事例検討結果 イノバンシリンジの高摺動抵抗については、企業から薬機法に基づく報告が複数提出されている。原因としては、シリンジ外筒原料の製造プラント変更に伴い、シリンジの摺動抵抗が規格の範囲内ではあったが、規格の範囲内で高い傾向にあるためである。摺動抵抗を改善することを目的に、ガスケット原料の配合比を見直した製品が開発され、2020年8月から順次市場に投入されている。