事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 エタネルセプト(遺伝子組換え)
販売名 エンブレル皮下注50mgペン1.0mL ENBREL 50mg PEN 1.0mL for S.C. Injection
製造販売業者名 ファイザー製薬
購入年
事例の具体的な内容 1.16時、リウマチ科医師の診察終了し、エンブレル皮下注射のため外来処置室に来室された。 2.16時25分、看護師Aがエンブレル50ペン1.0ml/キットの皮下注射を左上腕に実施する。 3.薬液を注射後、針を抜こうとしたが皮膚から針が抜けず、ペンがぶら下がったような状態になる。 4.他の外来看護師2人も試みるが、抜針できなかった。 5.16時30分頃、主治医に説明し診察を受ける。主治医は、針が刺さったままの状況を確認し、ペンの外筒を押し上げて、ゆっくりペンを引くも抜針できなかった。 6.主治医と看護師Aは針を切除したほうが良いという判断をした。皮膚を押さえて外筒との間に隙間を作り、主治医がペンと皮膚の間に隙間を作り、クーパーを差し込んで針を切断した。針の残存針を鑷子で摘み除去しようとしたところ、残存した針先が見つからなくなった。その後、呼吸器外科の医師3名で切開処置にて3mm大の切断された注射針を3時間かけて切除した。患者は感染防止の抗生剤投与ため7日後まで入院となった。
事例が発生した背景・要因 ・皮下注射の部位の選択(皮下注射は上腕にすることと決めつけていた、皮下組織の状態により皮下注射の場所を選択をしなかった) ・針が抜けない場合の針の切断したことが主たる要因。 1.皮下注射の部位の判断。 2.看護師が皮下注射する場合の位置の選択。 3.針が抜けない時の対応。 4.自己注射用のペンタイプを上腕に皮下注射すること。
実施した、若しくは考えられる改善策 1.患者の皮下組織の状況と針の長さを考えて皮下注射を行う。 2.皮下組織が少ない場合は皮下注射の部位を変更する。 3.ペンタイプは患者自身が自己注射するものなので、医療者が注射をする場合はシリンジタイプのものにする。 4.通常ではないことが発生した場合には(ここでは、注射針が抜けなくなったことを示す)、速やかに専門分野の医師と看護師長に報告をし、チームとしてどのように対応すべきかを判断する。 5.本人の希望があり、自己注射を外来の看護師が実施している事例が他にもあり、薬剤科と相談しシリンジタイプに切り替えることとした。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、薬機法に基づく不具合報告が提出されており、調査の結果、患者が細身で皮下組織が乏しい部位に注射した結果、針が骨膜に達し注射針の湾曲を招いたとのこと。 なお、企業の調査により、本製品販売開始後(2013年-)から同様事象が18件認められており、当該事例を受け、患者向け資材である「自己注射ガイドブック」において望ましい投与部位についてよりわかりやすい内容に改訂を行い、情報提供を開始している。