事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 メトトレキサート
販売名 リウマトレックスカプセル2mg
剤型 カプセル
規格単位(含有量、濃度) 2mg
製造販売業者名 ファイザー株式会社
事例の具体的な内容 他院より紹介され本院の膠原病リウマチアレルギー内科に初診となった。主訴は、両手足のしびれ、疼痛、腫脹である。本院では、PSL、AZP、SASPを処方し経過観察。その後、AZPは中止。症状が改善しないため、院外処方として、MTX6mgを処方。患者には初めて飲む薬であり、口頭で副作用や飲み方(週1回服用)について説明した。処方薬剤登録の際、コメントに「週1回○曜日内服」の記載を忘れた。その後、院外薬局では、薬剤師が手渡す時に「初めて出た薬です。飲み方わかりますか?」と言い、服用方法を説明しようとすると患者が「担当のドクターから聞いているから大丈夫」と言ったため、処方箋に記載されている服用量を説明し渡した。また、薬のシートに服用日、服用量を記載するようになっているが記載はしなかった。患者は、週1回と思わず7日間毎日服用し、半月後、口腔内びらんによる経口摂取不良で予約外受診し、事態が発覚。緊急入院とした。軽度肝障害、軽度血球減少があったが、ロイコボリンレスキュー、補液等を行い、症状が改善し10日目に退院した。
事例が発生した背景・要因 ・患者に処方されていた薬剤 1)アザルフィジンEN錠500mg  1回1錠(1日2錠)・・・1日2回朝夕食後  2錠   50日分 2)アルファロールカプセル0.5mcg1回1C(1日1C)・・・1日1回朝食後   1C   50日分 3)ルプラック錠4mg        1回0.5錠(1日0.5錠)1日1回朝食後  0.5錠 50日分 4)プレドニン錠5mg        1回1錠(1日2錠)・・・1日2回朝夕後   2錠   50日分 5)リウマトレックスCap2mg   朝2C、夕1C(1日3C)1日2回朝夕食後  3C   7日分   0-2-0-1-0-0で投与 6)カロナール錠200        1回2錠(1日6錠)・・・1日3回朝昼夕食後 6錠   20日分 ・処方入力時のコメント入力がフリーコメントとなっており、繁忙な外来では忘れる。 ・院外薬剤師のMTXに対する知識不足、コミュニケーション不足。 ・院外薬剤師は、リウマトレックスを調剤して手渡すとき、初めて出た薬であることを理解していたと思われるが、リウマトレックスに休薬期間があることを理解していたかは不明である。 ・院外薬剤師が服用方法を説明しようとした際、患者は「担当のドクターから聞いているから大丈夫」と言ったが、薬剤師が「週1回と言われましたか」と患者に尋ねた形跡はなかった。 ・院外薬剤師は、患者に渡したリウマトレックスの新包装シートに「月日」を記載していないことから、リウマトレックスに休薬期間があることを十分理解せず、患者に注意喚起していなかった可能性が高いと思われる。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・コメント入力を忘れずに記載する。入力の際、薬によって「処方の際注意」と出てくるが、何を注意するのかが出てこないのでホップアップで注意事項を出す。用法を選ぶと週1回○曜日と自動で出るように改善する。 ・院外薬剤師教育は限界があるが、今回は、リウマトレックスのシートに服用する月日、曜日は必ず記載するように依頼した。

事例検討結果
事例検討結果 平成20年8月29日付薬食安発第0829001号通知「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)に関する 医療事故防止対策について」、PMDA医療安全情報 No.49「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)について(その2)」より、医療機関等に注意喚起等しているところである。 しかし、その後も繰り返し発生している事例があることから、医薬品・医療機器等安全性情報No.333、No.340で再周知を行っているところである。