事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 メトトレキサート
販売名 メトトレキサートカプセル2mg「サワイ」
剤型 カプセル
規格単位(含有量、濃度) 2mg
製造販売業者名 沢井製薬株式会社
事例の具体的な内容 患者は関節リウマチ・難治性胃潰瘍・認知症で通院していた。関節リウマチのため、12年前からリウマトレックス(メトトレキサート)を週1回内服していた。今回、いつものように整形外科医からメトトレキサート2mg週1錠8週間分が処方された。薬剤師は薬袋に赤色で「日曜朝」と記載が決まっていたがその日は記入せずに渡してしまった。帰宅後夫が薬袋を確認したところ曜日の指定はなかったため毎日服用するものと思い込み、10日間服用させた。その後調子が良かったが3,4日した頃から歯肉出血・全身倦怠感で起きれなくなり、救急外来受診、入院となる。入院後夫からメトトレキサートを毎日服用していたことが判明した。さらに残薬があったため継続して内服させていた。患者は重度の骨髄抑制となり、濃厚な治療を行ったが翌日出血性ショックのため亡くなった。
事例が発生した背景・要因 医師はカルテに「毎週日曜日朝食後内服」とコメントを記載した。処方せんには医師のコメントが記載されているため、薬袋にコメントが反映されると思っていたが反映されていなかった。薬剤師はいつもなら薬袋の表に手書きで赤色で「日曜朝」と記入するが記入を忘れてしまった。鑑査役も異動したばかりだったため前の病院のシステムが頭にあり、鑑査をすり抜けてしまった。業務手順書には薬剤師が薬袋に専用のシールを貼ることになっていたが、内服のパターンが増えたため中止となりその後は手書きとなり、ルールが明文化されておらず個人任せとなってしまっていた。
実施した、若しくは考えられる改善策 1システムの改善−電子カルテのオーダーの医師のコメントが薬袋に赤字で印刷されるようにした。 2医薬品情報(お薬の説明書)の使用上の注意を内服の頻度と危険性について分かりやすく改定した。 3メトトレキサート及びTS1・ゼローダなどの危険薬については個別に面談し、服薬指導及び残薬チェックを行う。 4調剤のルールを見直した。電子カルテの薬品コメントが薬袋に印字されることになり専用シールを用いないこと、他の薬剤や複数の薬品を一包化した場合不要な印字がされてしまう場合があるが、それについては手書き削除することとし、内容を改定した上で科内に周知徹底した。 5管内の調剤薬局に注意喚起の情報を提供する。

事例検討結果
事例検討結果 平成20年8月29日付薬食安発第0829001号通知「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)に関する 医療事故防止対策について」、PMDA医療安全情報 No.6「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)について」より、医療機関等に注意喚起等しているところである。