事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 L-アスパラギン酸カリウム
販売名 アスパラカリウム注10mEq
剤型
規格単位(含有量、濃度) 10mL
製造販売業者名 田辺三菱製薬株式会社
事例の具体的な内容 看護師は勤務前の情報収集時に、夜間緊急入院した患者Aの担当を告げられ情報収集を開始した。注射指示のアスパラカリウム混注を見逃した。薬剤をダブルチェックする。普段使用頻度の少ないアスパラカリウムについて調べる。指示の「DIV」は確認したが投与方法はあいまいのまま準備する。ダブルチェックを行った看護師は、患者名・薬品名・時間が合っているか確認した。投与方法は確認しなかった。看護師は他患者のケアで忙しかった。その後、カリウム製剤を準備をする際、注射プラボトルの「要希釈」を「禁希釈」と見間違える。予定が大幅に遅れ早く点滴をしなければと焦る。電子カルテの電源が入らず、指示未確認のまま本人と名前を確認しアスパラカリウム10mEq2Aを側管よりIVした。
事例が発生した背景・要因 カリウム製剤について、静脈注射を行ってはいけない薬剤であることの知識がなかった。「DIV」と「IV」の違いは知っていたが、準備する時に疑問に感じていない。ダブルチェックのシステムはあるが、目的に添った必要な確認行動が行えていない。確認時に何の項目を確認しなければいけないか、知識と行動実践が結びついていない。電子カルテの指示確認の方法が正しく理解されていない。ワークシートの活用など決められた運用ルールのもとで行動できていない。電子カルテの指示の出し方のシステム上の問題がある(導入して間もない)。緊急入院時、循環器科病棟が満床であり救命病棟対象ではなく、他の一般病棟へ入院した。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・薬剤に関する基礎的知識および教育を強化する。 ・確認方法の再教育(6R)を行う。 ・電子カルテを使用しての情報収集の方法、運用再確認と周知を行う。 ・指示確認の方法、コメント確認方法について周知する。 ・電子カルテシステムの改善をする。 ・循環器科急性期患者が当該病棟へ入院できる病床管理体制を作る。

事例検討結果
事例検討結果 カリウム製剤については、平成19年3月30日付医政総発第0330001号・医薬総発第0330001号連名通知「医薬品の安全使用のための業務手順書マニュアルについて」及び平成20年12月4日付医政発第1204001号・薬食安発第1204001号連名通知「医薬品の販売名の類似性による医療事故防止対策の強化・徹底について(注意喚起)」の巻末資料により、特に安全管理が必要な医薬品(心停止等に注意が必要な医薬品)として医療機関に注意喚起しているところであり、製造販売業者においても誤使用防止のため情報提供を実施しているところ。 また、医薬品・医療用具等安全性情報No.202においてもカリウム製剤は、新規配属者を含め関係者への注意喚起の徹底が必要な医薬品として紹介されている。 更に、繰り返し発生している事例であることから、医薬品・医療機器等安全性情報No.322で再周知を行っているところである。