事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 トレミフェンクエン酸塩/ジドロゲステロン
販売名 フェアストン錠40
剤型
規格単位(含有量、濃度) 40mg
製造販売業者名 日本化薬株式会社
《医薬品の取り違え事例の場合、本来投与すべき薬剤》
販売名 デュファストン錠5mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 5mg
製造販売業者名 アボット
事例の具体的な内容 不妊症治療のために産科・婦人科医師がデュファストン錠5mgを処方のところ、薬剤部が間違えてフェアストン錠40を調剤してしまった。患者が1回1錠 朝・昼と2回の計2錠を服用した。交付2日後に、患者本人が違う薬であることに気付き薬剤部に連絡が入った。
事例が発生した背景・要因 ・処方は、デュファストン錠(5mg)3錠 分3朝・昼・夕 14日分であったが、フェアストン錠(40mg)を全42錠取り揃え調剤してしまった。 ・ハイリスク薬であっても通常は前回処方の毎回確認はしていない。・処方されたデュファストンは普通薬であったため、薬品名は黒文字であった。一方、フェアストンは劇薬であったため、薬品名は赤文字で書かれ、ハイリスク薬であることを示す「H」の文字は付いていた。しかし、抗がん剤であることを示す表示はなかった。 ・薬剤は使用頻度別に並んでおり、当該事例のデュファストンやフェアストンは使用頻度の少ない棚に他薬剤(ルナベル配合錠LD、ジュリナ錠0.5mg)を挟んで配置されていた。「デュファストン」「フェアストン」と名前が類似した薬剤が同一棚の同一列に配置されていた。 ・薬剤棚と調剤の作業棚が離れているため、薬剤師は処方箋を見ながらピッキングを行っていなかった。また、調剤スペースが狭くなってから、ピッキングしたその場で薬袋に入れることがあった。 ・本来であれば、処方箋監査、調剤、調剤鑑査はそれぞれ別の薬剤師が行うことになっているが、急いでいたため、処方箋監査と調剤を同一人物が行い、最終鑑査のみ別の薬剤師が行ったので2名で担当していた。 ・調剤鑑査を行った薬剤師は、処方箋の薬品名を確認したが、薬袋に入っていた薬剤の錠数(42錠)のみ確認しただけで薬品名を確認しないまま、鑑査を終了した。 ・交付する際、薬剤師は患者とともに薬剤を確認せず(患者に薬剤を見せず)、そのまま渡し、説明や指導はしなかった。
実施した、若しくは考えられる改善策 1.調剤の手順を遵守する。また、調剤時の指差し声出し確認を周知徹底させ調剤室のリーダーが1日2回10時・14時に見廻り確認する。実行できていない場合は、その場で注意する。 一時期、医療安全管理者も一緒に見回った。 2.名前が類似した薬剤の同一列を禁止し、同じ棚におく場合は棚段を2つ以上離すことで取り間違いをしないように薬品配置の見直す。使用頻度に関わらず、類似した名称の薬剤は離れた場所に配置することにした。 3.抗がん剤については棚の薬剤名に紫色のラインを引き、他の薬剤と区別がつくよう、フェアストンは抗がん剤の入っている引き出しに移動した。さらに、抗がん剤の薬剤のラベルは、薬品名に紫色のラインを入れ、他の薬剤と区別できるようにした。また、他のハイアラート薬についても同様の対応をするために準備をしている。 4.交付窓口での患者との薬剤確認は、ハイアラート薬のうち特に誤薬が重大な事故に繋がる薬が処方されている患者を対象に行なう。現時点では人員・施設の問題もあり全処方の確認をすることが出来ないため、まずは当事象が発生した産科婦人科より開始する。患者のプライバシーを考慮したカウンターレイアウトの変更及び患者動線の変更を行い、段階的に拡大させ全科全処方に対応出来るよう年内を目途に進めてゆく。

事例検討結果
事例検討結果 フェアストン錠とデュファストン錠の販売名類似については、薬剤取違え事例が複数報告されていることから、情報提供文書などの医療安全対策を施す必要性があると考える。 なお、平成27年7月下旬より情報提供開始予定である。