事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 オセルタミビルリン酸塩
販売名 タミフルドライシロップ3%
剤型 散剤
規格単位(含有量、濃度) 3%
製造販売業者名 中外製薬株式会社
事例の具体的な内容 担当医はタミフルを成分量として2.6mg/日(2回に分けて投与)で投与する予定であった.まず,緊急処方でタミフル2.6mg 分2 2日分を診療端末から入力した.元々5日投与の予定であったため続けて臨時処方をオーダーしたが,その際に誤って2.6g (製剤量) 分2 3日分と入力した.担当医が薬剤部へ処方を急いで欲しいと連絡したため,臨時処方でオーダーされた2.6g 分2の薬剤が病棟へ届いた.担当看護師が12時に届いたタミフルを経鼻胃管から投与.続いて病棟に届いた緊急処方薬剤を見て,既に投与した臨時処方薬の量に比べて緊急処方薬の量が少ないことに気がついて,過量投与が判明した.担当看護師は担当医に連絡,担当医は上級医へ連絡し,胃洗浄を施行(投与約30分後と推定).急性期,慢性期ともタミフル過量投与に伴う健康被害は認めなかった.しかし,患者は早産児出生の合併症として嚢胞性脳室周囲軟化症,及び原因不明の中枢性低換気を合併している.
事例が発生した背景・要因 NICU:使用頻度の高い薬剤については標準的な薬用量を看護師が把握しているため,看護師は薬が届いた時点で医師の処方量が正しいか判定している.しかし,使用頻度の低い薬剤については正しい処方量になっているかを看護師が医師に確認するルーチンにはなっていなかった. 薬剤部:処方の仕方として,製剤量(単位:g)と成分量(mgなど)が併用されていることから,混乱を招きやすい.また,臨時処方と緊急処方が併用されており,催促があると臨時処方が緊急処方より先に届くことがある.
実施した、若しくは考えられる改善策 NICU:使用頻度の高い薬剤をリストアップし,標準使用量をNICU内に明示しておく.看護師は処方が届いた時点で処方量が正しいか確認する.リストにない使用頻度の低い薬剤については,薬剤が届き次第正しい処方量になっているか看護師が医師に確認することをルーチンとする. 薬剤部:電子処方の仕方として,デフォルトで製剤量(単位:g)となっている表記を廃止して成分量(mgなど)のみを使用する.緊急処方を廃止する.

事例検討結果
事例検討結果 平成22年1月29日付医政発0129第3号・薬食発0129第5号連名通知「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について(周知依頼)」等が公表されており、その中で、処方箋への散剤の記載方法については「薬名を製剤名で記載し、分量は製剤量を記載することを基本とする。例外的に、分量を原薬量で記載した場合には、必ず【原薬量】と明示する。」と示されている。