【記述項目】 |
《関連した薬剤》 |
一般名 |
ドパミン塩酸塩
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販売名 |
イノバン注シリンジ0.1%/イノバン注シリンジ0.3%/イノバン注シリンジ0.6%
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剤型 |
注
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規格単位(含有量、濃度) |
0.1%/0.3%/0.6%
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製造販売業者名 |
協和発酵キリン
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事例の具体的な内容 |
入院時から右内頚からトリプルの透析カテーテルを挿入し、輸液ルートからNADを投与し、循環管理中であった。メインの輸液ルートからは生食500mLを100mL/h投与し、その側管からNAD7mL/hとDex3mL/hを投与していた。
翌日12時35分頃、血圧は80台と低値が続いていたため、医師からイノバン開始の指示があり、A看護師は、イノバンシリンジの押子組み立てを行う。イノバンシリンジ(50mL)にはエアが混入していたので内筒を引き、エア抜きを行い、その後メインの輸液ルートの側管(NAD・Dexと同じルート)から、シリンジにロック付きサーフィード延長チューブを接続しエアがないことを確認し、シリンジポンプにセットし1mL/hで開始した。開始直後には、シリンジポンプの作動ランプが点滅していることを確認した。
12時45分頃モニターアラームが鳴り、血圧が170/70台と急激に上昇していた。医師が輸液ルートを確認したところ、イノバンシリンジ筒内の上部にエアが多量に混入しているのを発見し、看護師がすぐにイノバンを中止した。そして押子の位置のずれがないことを確認し、イノバンシリンジと延長チューブを外してエア抜きを行ったところ、イノバンシリンジ内の薬液残量は約40mL位になっており、約10分間に約10mL位の過剰投与が発覚した。また、夕方に夜勤者とともに再度シリンジを観察すると、内筒と外筒の隙間から少量の薬液漏れを確認した。
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事例が発生した背景・要因 |
イノバンシリンジの押子組み立て時による不具合によりシリンジ内にエアが混入した。
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実施した、若しくは考えられる改善策 |
・イノバンシリンジの押子組み立て時は、押子をまっすぐに挿入し時計回りに回し、カチッと音がするまでしっかりと接続すること。押子の接続が適切でない場合、サイフォニング(自然落下による急速注入)や逆流が起こる可能性がある。
・シリンジポンプにセットする前に、十分注意して外筒内のエアーを拭き取った後、シリンジ先端を、注入ラインの接合部をしっかりと装着・ロックすること。不十分な場合は、接合部位のはずれ、接合部位からの液漏れや注入ライン内へのエアー混入が起こることがある。上記の方法について、薬品会社による出前研修を実施。
・院内のSafety newsで注意喚起を行う。
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