事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 プレドニゾロン
販売名 プレドニゾロン散1%
剤型
規格単位(含有量、濃度) 1%
製造販売業者名 武田薬品工業株式会社
事例の具体的な内容 医師は電子カルテのオーダリングシステムを用いて、レシピ1としてプレドニゾロン散1% 9mg分3 3日間(○/1−○/3)、レシピ2としてプレドニゾロン散1% 4.5g分3 3日間(○/4−○/6)という処方を行った。レシピ2において、本来であればプレドニゾロン散1% 4.5mg分3 3日のところ処方単位を間違い、製剤量として4.5g分3で処方した。薬剤師も気付かず調剤し、成分量として10倍投与の45mg分3が患者の元にわたった。患者家族の管理であり、5回分を服用した。 付き添いの家族が1包落としたため、医師が薬剤を再度請求した際、1回分のみを処方するため、コピー&ペーストをすることなく「プレドニゾロン1%散(10mg/g) 1.5g 1回分」と入力した。至急調剤を依頼するため、薬剤部に電話連絡したところ、電話対応した薬剤師が、処方内容確認のため「プレドニゾロン散1.5gの処方ですね。」とオーダー内容の確認を行った。そこで、医師が自分自身の処方間違いに気付いた。 患者に体調の変化は認めなかった。
事例が発生した背景・要因 当院の処方は、高規格単位を製剤量、低規格単位を成分量とする申し合わせになっているが、オーダリングシステム上は、成分量と製剤量が明示されず、いずれも医師が選択でき、かつデフォルト設定は、製剤量の「g」であった。 医師はレシピ1では単位表示を切替えて正確に入力したが、レシピ2では単位の切替えをし忘れた。 調剤者である薬剤師A(入局1年目)と一人目の鑑査者である薬剤師B(入局2年目)は、プレドニンが漸減を要する薬剤であることや処方内容が小児のプロトコールであるという知識が不足していた。 二人目の鑑査者である薬剤師C(2年目)は、それらの知識はあったが、プレドニゾロンを10%散と思い込んでしまった。 通常、処方せん監査において電子カルテよりステロイド剤の薬歴を都度確認することはなく、今回の症例はALLのプロトコールに基づき、水溶性プレドニン注18mg/日、内服9mg/日、4.5mg/日へ漸減している途中であった。 経験豊富な薬剤師であれば気付く内容であったが、今回関わった入局1、2年目の薬剤師も疑問に思い、指示簿等の確認を行ったものの記載内容を見誤り、結果的に自分達のみで自己解決し払い出してしまった。 相談できる先輩薬剤師が身近にいれば良かったが、病棟薬剤業務など新たな業務も多く、全体的に人員不足な状況で実務を行っていることも要因である。 医師は電子カルテ上の指示簿にステロイドの漸減を記載していたが、指示を受けた看護師は処方内容と指示内容が異なることに気付かなかった。
実施した、若しくは考えられる改善策 1)電子カルテのオーダリングシステム上の単位設定について検討予定。(成分量と製剤量) 現在、院内で検討中であるが、薬剤部では製剤量に統一する方向で考えている。 成分量、製剤量の違いが理解できている医師もいるが、中には成分量の方が理解しやすい医師もいるため、製剤量として単位を固定することで生じるリスクが予想される。 オーダリングシステムの有効な利用や単位の統一について十分な周知、教育が必要であると考える。 2)薬剤師の知識不足に対する勉強会の実施と鑑査体制の見直し。・若手薬剤師が関与していたため、若手薬剤師に対してステロイド剤の使用方法、ALLのプロトコール、小児に対する散薬調剤について教育を行った。その後、部内で行っていた勉強会内容を若手薬剤師の教育を主眼に置いた形に見直した。 ・事例発生後の振り返りを行うなかで、若手薬剤師が疑問を相談できる体制への配慮が欠けていたため、鑑査者に若手薬剤師以外の薬剤師を配置するよう努めた。また、若手薬剤師が相談し易いよう他の薬剤師への協力を依頼した。 ・部内全体で若手薬剤師を育てていくという意識を持つと同時に、お互いのコミュニケーションを良くし、聞きやすい雰囲気のチーム作りを目指している。

事例検討結果
事例検討結果 平成22年1月29日付医政発0129第3号・薬食発0129第5号連名通知「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について(周知依頼)」等が公表されており、その中で、処方箋への散剤の記載方法については「薬名を製剤名で記載し、分量は製剤量を記載することを基本とする。例外的に、分量を原薬量で記載した場合には、必ず【原薬量】と明示する。」と示されている。