事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 タクロリムス水和物徐放カプセル
販売名 グラセプターカプセル1mg グラセプターカプセル0.5mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 1mg1カプセル/0.5mg1カプセル
製造販売業者名 アステラス製薬 アステラス製薬
《医薬品の取り違え事例の場合、本来投与すべき薬剤》
販売名 プログラフカプセル1mg/プログラフカプセル0.5mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 1mg1カプセル/0.5mg1カプセル
製造販売業者名 アステラス/アステラス
事例の具体的な内容 緊急入院した患者。他院より関節リウマチに対してタクロリムス錠を1日量1.5mg処方され内服中であった。入院日の夜勤帯に院内処方でグラセプターカプセル1日量1.5mgが処方された。夜勤薬剤師Aは処方監査の際、部門システムにて処方箋コメントに「移植患者か確認」とあり、患者の病名(関節リウマチ)を確認し、処方せんに記入した。処方されたグラセプターカプセルを調剤し、病棟へ交付した。入院当日、グラセプターカプセルを内服した。入院翌日の朝に、日勤薬剤師Bが夜勤帯の処方箋を確認した際、関節リウマチの患者にグラセプターカプセルが処方されていることに気付き、処方医へ問い合わせた。日勤薬剤師Bはグラセプターカプセルの適応を分かっていたため、タクロリムスは関節リウマチに対して服用中であることを確認し、入院翌日分からプログラフカプセル1日量1.5mgへ処方修正を行った。
事例が発生した背景・要因 ・医師が院内処方で徐放性製剤のグラセプターカプセルを処方した。院内処方の際、患者が服用していたタクロリムス錠ではなく、グラセプターカプセルを選択した背景として、プログラフカプセル1mgを院内採用していて、タクロリムス錠1mgは院内採用していない点がある。医師は、処方を意図した薬剤を検索するために「たくろ」と入力し、薬剤選択(薬剤名)に「0.1%プロトピック軟膏5g/本、グラセプターカプセル0.5mg、グラセプターカプセル1mg、プログラフカプセル1mg、プログラフカプセル【0.5mg】、プログラフ顆粒 1mg/包【包】、プログラフ顆粒0.2mg/包【包】、緊】0.03%プロトピック軟膏小児用5g/本、緊】タリムス点眼液0.1% 5mL/本」の順で表示された。医師が処方時に薬剤名検索した際、薬剤名検索で検索ワードに一致する薬剤一覧が表示された中から、上位に表示されたグラセプターカプセル1mgを選択した。・グラセプターカプセルは臓器・骨髄移植患者にしか適応がないが、夜勤薬剤師Aは関節リウマチの患者に処方され、関節リウマチに適応があると思い込み、グラセプターカプセルは関節リウマチの適応があると思いこんでいるため、DI情報の添付文書でグラセプターカプセルの適応を確認せず、調剤し交付した。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・グラセプターカプセルについて、部門システムの処方箋コメントは「適応移植患者のみ」へ変更した。・グラセプターカプセルには臓器・骨髄移植患者にしか適応がないこと、DI情報を確認し処方監査するよう指導した。

事例検討結果
事例検討結果 グラセプターとプログラフは一般名が同一であることによる薬剤取違え事例等が複数報告されていることから、製造販売業者は製剤的特徴が異なること等について医療機関へ注意喚起を実施しているところである。