事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 メトトレキサート錠
販売名 メトトレキサート錠2mg「タナベ」
剤型
規格単位(含有量、濃度) 2mg1錠
製造販売業者名 田辺三菱製薬
事例の具体的な内容 金曜日の夕方16:30頃薬剤師が持参薬を確認し、薬剤検索報告書を作成した。薬剤師はお薬手帳と持参薬が手元にあったが、主にお薬手帳を確認しながら報告書を作成したが、メトトレキサートについては何曜日に服用するか情報がなかったため、用法を1回1錠1日2回朝夕食後の情報だけ記載した。17:34主治医が報告書を確認し、「オーグメンチンのみ中止・全て継続」という指示を出した。18時頃病棟にて看護師が配薬カートにセットを行ったが、メトトレキサートについては報告書通り、朝夕食後で連日セットした。その結果、金曜日の夕方から月曜日の夕方まで看護師は気付かずに合計7錠配薬した。月曜の夕方病棟薬剤師が配薬カートをチェックした際に連日投与が発覚した。患者は骨髄抑制が起きたため、血小板輸血、G-CSF製剤、抗菌薬、レボホリナート等の投与により回復した。
事例が発生した背景・要因 ・お薬手帳に貼付された調剤薬局の情報に服用曜日が記載されていなかった。持参薬はビニール薬袋だったが、用法のところに何曜日かの記載はなく、左下に「水曜日」と記載された紙片が入っていたが、薬に重なって見えにくく、薬剤師も看護師も気付けなかった。・メトトレキサートの服用日がわからなかったときに、薬剤検索報告書にどのように記載するか明確なルールやマニュアルがなかったため、薬剤師は1週間に限られた日にしか服用しないことを記載しなかった。・当院の持参薬指示システムが、薬剤検索報告書をそのまま包括的に指示を出す仕組みであったため、医師は1週間に1日服用する薬であることは知っていたが、薬剤の用法までには気付かなかった。・メトトレキサート2mg錠「タナベ」のヒートには赤文字で注意書きが記載してあるが、リウマトレックス等と比べると小さい文字であるため配薬セットした看護師は気付かなかった。・メトトレキサートの用法について、教育を受けていない、受けていても長期間触れる機会がないと忘れてしまい、看護師が服用方法にきづかず検索報告書通りに配薬してしまう。
実施した、若しくは考えられる改善策 (当院での実施対策)・薬剤検索報告書にメトトレキサートが検索された場合、自動的に用法に「1週間に決められた日に服用」などコメントを記載されるようにする(Excel上のプログラムで対応)。・メトトレキサートの医療安全情報を対象職種に一斉メールで再周知した。・メトトレキサートについて医薬品安全研修会で教育を行う。(以下、外部機関でできればよい対策)・調剤薬局においては、お薬手帳にメトトレキサートの用法の曜日を必ず記載。ビニール薬袋では表紙の下部に記載されていると薬に隠れて見落としやすいので、わかりやすく上部の用法の位置に曜日を記載する。・メーカーにおいては、メトトレキサートについては、リウマトレックスや、「トーワ」「サワイ」といったメーカーのサイズのヒートで表示があると注意書きが目につきやすくなるのではないか。

事例検討結果
事例検討結果 平成20年8月29日付薬食安発第0829001号通知「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)に関する 医療事故防止対策について」、PMDA医療安全情報 No.49「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)について(その2)」により、医療機関等に注意喚起等しているところである。