事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 セマグルチド(遺伝子組換え)錠
販売名 リベルサス錠3mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 3mg1錠
製造販売業者名 ノボ ノルディスク ファーマ
事例の具体的な内容 リベルサス錠3mg開始3日目、翌日分を分包している際にミシン目以外の部分で切られているリベルサス錠を発見した。前日の分包者は分包時はミシン目以外は切らず、2錠分包し、1錠内服し残薬を薬袋に戻すように付箋をつけていたことを確認した。内服時または残薬を薬袋に戻す際にミシン目以外の部分を切ってしまい、薬袋に戻した可能性が高い。与薬なし。
事例が発生した背景・要因 リベルサス錠はミシン目以外で切らないと処方カレンダー上にコメントがあり、掲示板でも注意を促す記載はあった。しかし、普段は空の部分をつけたまま薬袋に戻すことがないため、意識せず空の部分を切ってしまった可能性がある。
実施した、若しくは考えられる改善策 なぜリベルサス錠のミシン目以外は切ってはいけないのか薬剤の特徴を踏まえて周知する。各病棟に配布されているリベルサス錠の説明用紙をスタッフに再度読んでもらう。担当MRへインシデントとして報告し、ミシン目以外で切ることができるPTPシートへの変更や添付文書記載内容についての対応を要望するため担当MRと面談を行った。回答の概要としては、厚生労働省発出通知「PTP包装シート誤飲防止対策について」において、誤飲防止のためPTP包装シートを1つずつに切り離さないよう留意と記載されていること、ミシン目以外で切断した場合の水分含量変化について、12週間は承認規格に適合したデータはあるが、ミシン目以外で切ることは推奨していないこと、有効成分の安定性については検討がなされておらず、データ抽出には年単位で時間がかかってしまうとのことであった。製薬会社としては、前向きな改善ができるよう取り組んでいるようだが、添付文書記載内容については厚生労働省の記載要項にあるため変更は難しい現状があるとのことであった(現在、患者向けリーフレットは「ミシン目以外の場所で切り離さないこと」は削除し、服用方法に重点をおいている)。当院としては、ミシン目以外で切断した場合の有効成分の安定性データの共有、ミシン目以外で切ることができるPTP包装シートへの変更、添付文書記載内容を患者への影響にあわせて変更するなどを要望した。

事例検討結果
事例検討結果 リベルサス錠については、その吸湿性の高さからPTPシートのミシン目以外での切り離しをしないよう注意喚起されていたが、2024年2月に添付文書が改訂され、やむを得ず切り離す場合の注意喚起が追記されたところである。