事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 カルバマゼピン錠
販売名 テグレトール錠200mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 200mg1錠
製造販売業者名 サンファーマ株式会社
《医薬品の取り違え事例の場合、本来投与すべき薬剤》
販売名 テオドール錠100mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 100mg
製造販売業者名 田辺三菱製薬株式会社
事例の具体的な内容 救急外来の循環器内科の医師は、患者にテオドール錠100mg 2錠1日2回8日分とダイアート錠を処方した。その後、薬剤師は誤ってテグレトール錠200mgを調剤し、患者に交付した。患者は4日間内服した。内服開始2日後にめまいとふらつきがあり、4日目には少量嘔吐後に倒れ込み、救急搬送された。徐脈が認められたため一時ペーシングを留置し、入院加療となった。入院後、持参薬を確認した薬剤師は、誤ってテグレトール錠が渡されていることに気付かなかった。看護師は、ワークシートにテオドール錠100mg朝1錠と記載があるが持参薬になく、テオドール錠の薬袋の中にテグレトール錠200mgが入っていることに気付いた。その後、調剤が誤っていたことが分かった。
事例が発生した背景・要因 ・ テオドール錠100mgとテグレトール錠200mgは隣同士で配置されており、名称、位置ともに間違えやすい状況であった。 ・ テオドール錠は100mgと200mgの2規格が採用されていた。 ・ 通常、複数の規格が採用されている薬剤は、規格違いに気付きやすくするため、並べて配置するルールとなっているが、テオドール錠は100mgが普通薬、200mgが劇薬のため、薬剤棚を離して配置していた。 ・ 調剤時、薬剤師は規格に丸をつけ意識付けするルールがあったが、ルールを守っていなかった。 ・ 調剤者は新人であり、テオドール錠の規格が2種類採用されていることを知らなかった。 ・ 鑑査者は、数や用法・用量の確認に注意がいき、見た目も似ているため実物の薬剤名の確認がおろそかになった。 ・ 鑑査者は、普段から薬剤名と現物を確認することより、用法・用量に注目して確認していた。 ・ 調剤や鑑査のマニュアルを作成していたが運用されておらず、鑑査手順は口頭で指導を行っていた。 ・ 救急外来からの処方であったため焦りがあった。 ・ 持参薬を登録した薬剤師は、お薬手帳、オーダービュアーを参考に入力していたが、他の薬剤の入力に注意がそれてしまい、持参薬の現物が間違っていないと思い込み、薬袋の中身がテオドール錠であるかの確認が不十分となった。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・ 調剤者は、自身の認識上、間違いやすい薬剤が処方された場合、個別にチェックを入れる。 ・ 院内採用薬を把握することに努め、調剤後、鑑査にまわす前に再度処方箋と現物が一致しているかを確認する。 ・ 鑑査者は、PTPシートの場合は処方箋の薬剤名に線を引き、まず処方箋とPTPシートが合っているか確認してから、錠数や用法用量を確認する。 ・ 新人の薬剤師が調剤している場合は、間違っている可能性があると思って特に注意をして鑑査する。 ・ 持参薬の登録時は処方内容だけでなく、現物の確認も徹底する。 ・ 薬剤部の対策として、テオドール錠100mgの配置場所に「薬剤名注意」の札を設置した。「規格注意」の表示は既にあったが見えない状態になっていたため、新しいものに変更した。 ・ 棚の表示や札などは定期的に確認する。 ・ 後発医薬品に変更する案は、出荷調整がかかる可能性があるため見合わせる。 ・ テオドール錠100mgとテグレトール錠の配置は隣同士のままとし、配置場所の変更は考えていない。

事例検討結果
事例検討結果 テオドールとテグレトールの販売名類似については、薬剤取違え事例等が複数報告されていることから、製造販売業者は医療機関へ注意喚起を実施しているところである。