事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 インスリン ヒト(遺伝子組換え)
販売名 ヒューマリンR注100単位/mL
剤型
規格単位(含有量、濃度) 100単位/mL
製造販売業者名 日本イーライリリー株式会社
事例の具体的な内容 ハイカリック輸液500mLにヒューマリンR12単位を混合する際、通常の注射器を用いてインスリンバイアル1本を輸液に混合した。ヒューマリンRを使用する事を他の看護師とダブルチェックしていたが、混合は当事者一人で実施された。当該ハイカリック輸液にはヒューマリンRだけでなくマルタミン等を1バイアル全量を混合する指示があった。投与開始5分後、定時の血糖値測定が行われスライディングスケールに従い追加でインスリンを投与しようとした際、インスリンバイアルが残っておらず1本全量が使用されたことが明らかになり、直ちに点滴投与が停止され健康被害には至らなかった。
事例が発生した背景・要因 ・当事者は2年ほどの手術室勤務の後、産休を取得、約2か月前に復職、手術室勤務時ヒューマリンRのバイアルを取り扱ったことがない。専用シリンジを用いて単位数を計る必要があるということは復職時研修を受けている。当該看護師は5年目であり手術室勤務の経験もあるため、他の看護師はヒューマリンRの取り扱い経験が乏しいとは考えていなかった。・点滴ボトルに混合する他の薬剤は1本全部混合するものでそれらと同様に通常のシリンジを用いてヒューマリンRも1本混合したと考えられる。指示書には12単位と記載されていた。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・入職時のみでなく産休等の復職時インスリンについて研修を実施している。・ポケットマニュアルにも専用シリンジを使用することが記載されており、病棟にも常備されている。・ダブルチェックを行い薬剤の確認と実際の混合を一連のながれで実施するよう業務を改善する。

事例検討結果
事例検討結果 インスリンバイアル製剤については、汎用注射器を用いて調製することで、誤った量を調製し、投与する事例が繰り返し報告されていること、また、平成30年12月28日付事務連絡「医薬品の安全使用のための業務手順書作成マニュアルの改訂について(別添)」により、「インスリンについては、単位とmL の誤認により重大な有害事象に繋がる危険性が高いため、専用シリンジの管理、使用についても併せて周知されたい。」ことが求められており、再発防止の観点から、インスリンバイアル製剤を調製する際には、汎用注射器では無く、インスリン専用注射器を用いる注意喚起が必要であることから、令和2年5月19日付薬生安発0519第1号「「使用上の注意」の改訂について」により添付文書改訂を指示したところ。また、PMDA医療安全情報No.23(令和2年11月改訂)「インスリンバイアル製剤の取扱い時の注意について(インスリン注射器の使用徹底)」により、医療機関等に注意喚起等しているところである。