事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 酸化マグネシウム
販売名 酸化マグネシウム錠330mg「ヨシダ」
剤型
規格単位(含有量、濃度) 330mg
製造販売業者名 吉田製薬株式会社
事例の具体的な内容 朝食前、配薬カップの中に1包化された薬とPTPシートを切り離した酸化マグネシウム1錠を準備し、食後に内服していただくよう患者に説明した。患者が咽頭に痛みを感じ、「薬のシートを飲み込んでしまったかもしれない。」とナースコールがあった。看護師がベッド周囲、ごみ箱を捜索したが、酸化マグネシウム1錠のPTPシートを発見出来ず、当直医師へ報告し、X-P、CT撮影を実施した。CT画像で咽頭に異物があることが判明、患者・家族へ説明し緊急内視鏡を実施した。内視鏡下では梨状窩に酸化マグネシウムのPTPシートを確認できたが摘出困難なため、胃内へ落とし込み自然排出を待つことになった。2日間PTPシートの排出なし。3日後、患者・家族へ説明し再度内視鏡実施、胃内にある酸化マグネシウム入りPTPシートを摘出した。4日後、咽頭痛も軽減し腹部症状なく食事開始となる。
事例が発生した背景・要因 1.転棟元病棟では視力障害があり、与薬を看護師が薬剤を口に入れるまで介助を行っていたとの情報が得られていなかった。患者プロファイルにも視力障害についての情報の記載がなかった。2.PTP誤飲歴があることが把握できていなかった。3.転入直後で患者情報の把握が不十分な時期に、内服管理方法を自己管理準備段階と判断し、各食事前に看護師がベッドサイドで配薬カップに薬包・シートのまま配薬してしまった。4.プライマリー看護師を中心としたカンファレンスを実施し、内服管理方法を判断することになっていたが、その手順が守られていなかった。内服自己管理の運用基準が周知徹底されていなかった。5.PTPシートを1錠ずつ切り離して患者へ配薬してしまった。
実施した、若しくは考えられる改善策 1.患者の情報を確実に聴取、観察し患者プロファイル、看護記録への入力を実施し、転棟元、転棟先病棟での共有をしていく。2.薬剤師による介入。患者の薬に関する情報を収集し、医師、看護師との情報共有をしていく。3.転入後は患者情報をしっかり把握した上で、内服管理をどの様に行っていくか病棟薬剤師と協働し決定していく。4.患者に配薬する際は、シートから取り出して渡し、PTPシートは1錠ずつ切り離したものは渡さない。患者の状況に合わせて内服薬を1包化にする。

事例検討結果
事例検討結果 平成22年9月15日付医政総発0915第2号・薬食総発0915第5号・薬食安発0915第1号連名通知「PTP包装シート誤飲防止対策について(医療機関及び薬局への注意喚起及び周知徹底依頼)」により、医療機関等に注意喚起等しているところである。また、平成22年9月15日付薬食安発0915第3号「PTP包装シート誤飲防止対策について」により、製造販売業者に対しても、PTP包装シートの改良、改善の研究開発の継続を依頼している。加えて、令和元年9月11日付事務連絡「内服薬等の包装の誤飲の発生について(情報提供)」が発出されており、継続的な注意喚起がなされているところである。