事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 ビタミンB1・糖・電解質・アミノ酸液
販売名 ビーフリード輸液
剤型 点滴
規格単位(含有量、濃度) 500mL
製造販売業者名 大塚製薬工場
事例の具体的な内容 患者の維持輸液が午前4時に終了する予定に対し看護師Aは午前4時から10時に投与する輸液の準備をナースステーションで開始した。看護師Aはビーフリード輸液を外袋から取り出して点滴ラベルを貼付し上室と下室を開通させる作業を行おうとしたが、その際に受け持ち患者の離床センサーが鳴動した。看護師Aはビーフリード輸液の準備作業を中断してセンサーの鳴動に対応し、その後、ナースステーションに戻りビーフリード輸液を患者の病室に持参して点滴を更新した。日勤帯に看護師Bからビーフリード輸液が未開通のまま投与されていることを指摘され、医師に報告し経過観察となった。
事例が発生した背景・要因 ・ビーフリード輸液を準備する作業中に緊急の対応を要する業務が発生した。・ビーフリード輸液を準備する作業を中断して他業務にあたり戻った時にはビーフリード輸液の準備作業を中断したことを失念した。・看護師Aは点滴を更新する際に上室と下室を開通する作業で取り外すはずのタグが付いていることに気付いたが、適切な開通作業を行った際に外れたタグが残っているものと思い込んだ。・看護師Aはタグが付いていることには気づいたが上室と下室の開通状況は確認せずに点滴を更新した。・夜勤の時間帯に発生した事象であり寝不足などの理由で当事者の注意力が低下していた可能性はある。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・医療安全の委員会で共有し、前作業を中断して別作業に就いた場合は、前作業の初めの工程に戻り作業を再開する必要があることを再周知した。・臨床現場では経験年数に拠らず一定の頻度で繰り返し発症するインシデントであり、ビーフリード輸液は適切に上室と下室を開通させれば自然にタグが外れる仕組みにはなっているが遺残する場合もあり、開通状況を目視で確認できる手段の再検討も必要と考える。

事例検討結果
事例検討結果 平成16年6月2日付薬食発第0602009号通知「医薬品関連医療事故防止対策の強化・徹底について」により、隔壁の未開通防止のための開通確認シールを吊り穴部に貼る等の工夫が製造販売業者により行われているところである。また、PMDA医療安全情報「二槽バッグ製剤(バッグ型キット製剤)の隔壁未開通事例について」により、医療機関等に注意喚起等しているところである。