【記述項目】 |
《関連した薬剤》 |
一般名 |
タクロリムス
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販売名 |
タクロリムスカプセル1mg「ファイザー」、同0.5mg
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剤型 |
カプセル
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規格単位(含有量、濃度) |
0.5mg、1mg
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製造販売業者名 |
ファイザー株式会社
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《医薬品の取り違え事例の場合、本来投与すべき薬剤》 |
販売名 |
グラセプター カプセル
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剤型 |
カプセル
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規格単位(含有量、濃度) |
0.5mg、1mg
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製造販売業者名 |
アステラス製薬株式会社
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事例の具体的な内容 |
前月に生体間腎移植を施行。セルセプト、グラセプターの投与開始。経過良好で今月上旬に退院。退院後、初回の外来は、院内処方で対応。その後、今月下旬より、院外処方とし、自宅近郊の院外薬局で調剤(計4回)される。2ヶ月後、術後3ヶ月の検査目的で入院。入院時の持参薬の確認にて、院外薬局で調剤された8月下旬より、グラセプターのところに徐放性製剤ではないプログラフの後発品であるタクロリムス「ファイザー」が調剤されていたことを発見し、直ちに主治医へ報告。報告された主治医が、確認のため当該薬局へ電話で確認。成分が同じ薬剤であり、グラセプターのところにタクロリムスを調剤したと報告あり。しかし、直ちに問題だと認識されず、主治医から徐放性の剤形でないため、本来の目的と異なる旨を説明し間違いを理解された。翌日から、本来のグラセプターが処方され服用を再開された。本来、今回の1泊2日の入院で腎生検と免疫抑制剤のAUC測定を予定していたが、グラセプターが服用されていなかったことから、今回の入院ではグラセプターのAUC測定が実施できなかったため、後日、再入院をして、実施することとなった。<当院での処方内容(処方画面)>グラセプターカプセル1mg 2C/1回×24時間毎 後発品無しグラセプターカプセル0.5mg 1C/1回×24時間毎 後発品無しセルセプトカプセル250mg 6C/2回×12時間毎 8時 20時<保険薬局での調剤内容>タクロリムスカプセル1mg「ファイザー」 2C/1×24時間毎タクロリムスカプセル0.5mg「ファイザー」 1C/1×24時間毎(1日1回の服用として調剤)
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事例が発生した背景・要因 |
・院外処方箋における疑義照会に関する取り決めはない。薬局で疑義が生じた場合、外来に直接電話をして処方医に確認することとしている。(当該薬局からの報告より)・グラセプターを普段扱わないため、グラセプターに後発品がないことの認識がなかった。そのため、レセプトシステムで後発品がありませんとの表示がでたが、剤形変更をして再検索してしまい、該当するタクロリムス「ファイザー」を調剤してしまった。・グラセプターカプセルの在庫が近隣薬局を含めて無かったため、レセプトPCで後発品を検索したが無く、別剤型で検索し直してタクロリムスカプセルを選択した。・また、関わった薬剤師4名全員がグラセプターについての知識がなく、気づくことができなかった。・患者には「名前は違うが同じ効き目のお薬です」と説明して変更し渡した。
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実施した、若しくは考えられる改善策 |
・以前から、グラセプターカプセルの写真付きで医師から患者へ説明書を渡しており、継続する。・近隣薬局との薬剤師同士の勉強会などで今後情報を共有する。(当該薬局より)1)薬剤師の知識不足を補う教育と資材の作成・医師の処方意図を考え不明点を明らかにした上で処方監査、最終監査、交付を行うように指導。・後発品変更時の注意点をエリア責任者が指導(先発品製剤特性の異なる後発医薬品について一覧リストを作成し暗記させる。リストは監査台にも設置。)。・PMDAホームぺージの「製薬企業からの医薬品の安全使用(取り違え等)に関するお知らせ」に記載のある過去46件の事例を注意喚起し共有。・医薬品情報サイトSAFE-DI:疾患ガイドシリーズにて各疾患について学習。・自社内の学習ツールである自己研磨を目的としたワークブックを活用し自己学習状況を薬局長が毎月確認。2)システムの変更・後発品の存在しない薬剤について、別剤形を選択できないように早期にレセプトシステムの仕様を変更する。
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