事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 カルバマゼピン
販売名 テグレトール錠200mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 200mg
製造販売業者名 サンファーマ株式会社
《医薬品の取り違え事例の場合、本来投与すべき薬剤》
販売名 テオドール錠100mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 100mg
製造販売業者名 田辺三菱製薬株式会社
事例の具体的な内容 3ヶ月位前からめまいがあり、メリスロン内服で改善していた患者。○/18、入浴後ふらつきあり、かかりつけ医受診して心電図にて房室ブロックが疑われ○/19に紹介で当院救急外来受診。初回心電図で完全房室ブロック波形であったが時間の経過とともにP波の出現あり、薬物治療となりテオドールとダイアートが処方され帰宅となった。救急循環器内科よりテオドール錠100mgが2錠8日分で処方。しかし、調剤時に誤ってテグレトール錠200mgを調剤し払い出された。○/23まで服用された。この間に○/21にはめまい、ふらつきあり、倒れ込み、少量嘔吐にて、救急搬送があった。○/23にも救急搬送され、徐脈が認められたため一時ペーシングを留置し入院加療となった。入院後薬剤部に持参薬の登録依頼があったが、その時点で持参薬を確認した薬剤師もテグレトールの間違いに気づかなかった。病棟でのダブルチェック時、ワークシートにテオドール錠100mg朝1錠と記載があるが持参なく、テオドールの薬袋の中にテグレトール200mgが入っていたことに気付き、誤調剤が判明した。
事例が発生した背景・要因 ・テオドールは100mg、200mgの2規格が採用されていた。通常、規格が複数採用されている薬剤は規格違いに気づきやすくするために並べて配置するルールとなっているが、テオドール錠は100mgが普通薬、200mgが劇薬のため離して配置していた。・調剤時は規格に丸をつけ意識付けするルールがあったが、調剤者は新人であったためテオドールの規格が2種類採用されていることを知らずルールが守られていなかった。・テオドールとテグレトールは隣同士で配置されており、名称、位置ともに間違えやすい状況であった。・鑑査者は数や用法用量の確認に注意がいき、見た目も似ているため実物の薬剤名の確認がおろそかになった。・薬剤名と現物を確認することより、用法用量を注意して確認していた。当該監査人の習慣になっていた。・救急外来からのオーダーだったので焦りがあった。・持参薬登録者はお薬手帳、オーダービュアーを参考に入力していたが、他の薬剤の入力に注意がそれてしまい、持参薬の現物が間違っていないという思い込みがありテオドールであるかの確認が不十分となってしまった。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・個人的な対策として、調剤者は自身の認識上、間違いやすい薬剤には個別にチェックを入れる。院内採用薬を把握することに努める。調剤後、鑑査にまわす前に再度処方せんと現物が一致しているかを確認する。・鑑査者は、ヒート鑑査時は処方せんの薬剤名に線を引き、まず処方せんと出されている物が合っているか確認してから、出されている錠数や用法用量を確認する。新人が調剤している場合は、間違っていると思って特に注意をして鑑査をする。持参薬登録時は処方内容だけでなく、現物の確認も徹底する。・部署の対策として、テオドール100mgの配置場所に薬品名注意の札を設置した。規格注意の表示は既にあったが見えない状態になっていたので表示や札などは定期的に確認することにした。配置に関してジェネリックに変更する案は出荷調整がかかるので見合わせる。・監査や調剤のマニュアルなど明文化した物は作成していたが運用されていない。監査手順は口頭で指導を行っている。・テオドール100mgとテグレトールの配置は隣同士であるが配置場所の変更は考えていない。・指差し呼称を徹底する。

事例検討結果
事例検討結果 テオドールとテグレトールの販売名類似については、薬剤取違え事例等が複数報告されていることから、製造販売業者は医療機関へ注意喚起を実施しているところである。