【記述項目】 |
《関連した薬剤》 |
一般名 |
フルニトラゼパム
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販売名 |
サイレース静注2mg
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剤型 |
注
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規格単位(含有量、濃度) |
2mg
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製造販売業者名 |
エーザイ
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《医薬品の取り違え事例の場合、本来投与すべき薬剤》 |
販売名 |
セレネース注5mg
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剤型 |
注
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規格単位(含有量、濃度) |
5mg
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製造販売業者名 |
大日本住友
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事例の具体的な内容 |
19:00頃から患者は起き上がり動作や点滴ルートを触るなど落ち着かず、不穏状態であった。看護師Aは不穏時の指示を確認し薬品庫に行った。通りかかった看護師Bに「セレネース」はどこにあるか聞いたところ、看護師Bはサイレースと認識し、鍵のかかった薬品庫を指し「ここにあります」と答えた。看護師Aの頭の中では、セレネースからサイレースに置き換わっており、薬品庫を開錠し、サイレースを1A取り出し、別の棚から生食100mlを取り出した。看護師Aは指示簿を読み上げ、看護師Bと指示簿を見て、サイレース1Aと生食100mlを確認した。看護師Aはすぐに使用せず、様子を見てもう少し後に使用しようとトレイに入れて点滴台においた。20:00、薬剤を準備する。生食ボトルに患者名、不穏時生食100ml+サイレース1Aとマジックで記載し、アンプルにある薬品名のシールを貼って患者へ投与した。20:50、SPO2低下(80-90%台)のアラームで訪室。末梢冷感、チアノーゼ、顔面蒼白、口唇チアノーゼあり、セレネース(実際はサイレース)を止めた。21:00、気道を確保し酸素15L投与開始。当直医に報告する。21:15、チアノーゼ改善。SPO2:91-95%酸素減量する。21:30、当直医が鼻腔エアウェイ挿入し、止まっている点滴ボトルにサイレース1Aと記載されていることに気づく。21:35、アネキセートを投与する。21:45、SPO2:96%、酸素3Lマスクで経過観察となる。意識レベル回復せず。翌日、CO2ナルコーシスを併発しNPPV装着となる。アミノレバン開始。徐々に意識レベル改善する。
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事例が発生した背景・要因 |
1.ダブルチェックは、指示と薬剤を2人で相互に指差し声出し確認する。本事例は、一人が指示を読み上げ、一人が薬剤を確認しただけで、相互に行っておらず、ダブルチェックが適切に実施されていなかった。2.看護師Aは、準備する際に再度不穏時指示を確認しなければならなかったが、確認しなかった。3.セレネースとサイレースの薬剤の違いが理解されていなかった。薬剤に対する知識がなかった。4.病棟にあるハイリスク薬について提示がされていなかった。種類や保管場所などについてスタッフに伝わっていなかった。5.ロヒプノールからサイレースに変更になっていたが、表示がロヒプノールのままになっていた。6.セレネースは、薬品棚の引き出しにブスコパンと並んで保管されていた。7.使用頻度の少ない薬剤(サイレース等)は整理するなど対策が取られていなかった(薬剤の種類の増加)。8.何のために使用するのか、患者の状態を他のスタッフと相談しアセスメントできていなかった。
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実施した、若しくは考えられる改善策 |
1.ダブルチェックの方法を統一し確認行動を徹底する。2.ハイリスク薬や類似する薬剤をスタッフへ提示し注意喚起するとともに、薬剤に対する知識の教育を行う。3.使用頻度の少ない薬剤を定数薬から除くなど医師と相談し、薬剤師と連携して薬剤の配置の見直しを行う。サイレースを使用していない病棟は医師と相談し、定数配置から除く。4.サイレースを薬剤部から払い出しする際は、アンプルへッドに「名称注意」のシールを貼付し注意喚起を図る。5.インシデントカンファレンスを行い、スタッフへの注意喚起と確認の大切さを意識付け、事例を共有し再発防止に向け、対策を実施する。
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