事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 フルニトラゼパム
販売名 サイレース静注2mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 2mg
製造販売業者名 エーザイ
《医薬品の取り違え事例の場合、本来投与すべき薬剤》
販売名 セレネース注5mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 5mg
製造販売業者名 大日本住友
事例の具体的な内容 夜間巡回時、患者は不穏状態であり、体動は激しく介助者を叩いたり、足で蹴ったりと攻撃性が見られたため、当直医にコール。不穏の指示にて「セレネース1A」の指示はあるが、静脈ラインを確保できる状況でないことを医師に説明し、筋注指示となった。看護師Aは「セレネース注」の投与について医師に復唱にて確認した。その後、鎮静薬は金庫で管理していると思い、金庫内を確認。「サイレース注」があり、「セレネース注」と同様の薬剤かを看護師Bに口頭で確認した。その際、医薬品情報を確認しないまま、両看護師でダブルチェックを行い、「サイレース注」を準備。患者に「サイレース注」を投与。加えて体重換算で2倍超の過量の投与を行った。0時30分、看護師Aが「サイレース注」と「セレネース注」は異なる薬剤とわかり、血圧測定を実施し、また1時間おきにバイタルサインを観察し著変ないことを確認。更にインシデント発覚後、直ちに医師へ報告せず、朝、医師に報告を行った。バイタルサインの変動はないものの、鎮静が効きすぎ、日中、声掛けや体の揺さぶりに対して反応が鈍い状態。その後徐々に覚醒状態は良好となった。
事例が発生した背景・要因 ・類似名称薬剤の取り違え事例であり、指示出し(一般指示による「セレネース注」の指示出し、投与量の指示が1Aのみで規格指示がされていない)、指示受け(6Rが不十分な口頭指示、反復復唱やチェックバックの不徹底)、準備(6Rに沿った準備)、調剤(6Rに沿った調剤、有効なダブルチャックになっていない)、2つの薬剤の異同に関して疑問を持ったにも関わらず医薬品情報等の確認を行わなかった等、医療安全管理上、多くの問題があった。・また、指示とは異なった注射薬を投与した誤薬投与であり、加えて体重の2倍超の過量投与であることから、インシデント発覚後は直ちに医師へ報告し、指示を仰ぐ必要があった。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・上記事故の背景要因の概要を踏まえた指示や確認行為を徹底する。・類似名の医薬品への対策として、どちらかの薬剤の名称の異なる他薬剤への変更(フル二トラゼパム注射液はサイレースのみであるが、ハロペリドール注射液はセレネース以外にもハロペリドール注などの商品があり、セレネース注を変更)を薬事委員会へ提案することとした。・院内に向けて「インシデント事例」等で周知を行う。

事例検討結果
事例検討結果 サイレースとセレネースの販売名類似については、薬剤取違え事例等が複数報告されていることから、製造販売業者は医療機関へ注意喚起を実施しているところである。