【記述項目】 |
《関連した薬剤》 |
一般名 |
インスリン ヒト(遺伝子組換え)
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販売名 |
ヒューマリンR注100単位/mL
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剤型 |
注
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規格単位(含有量、濃度) |
100単位/mL
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製造販売業者名 |
日本イーライリリー株式会社
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事例の具体的な内容 |
シリンジポンプによるインスリン静脈内持続投与が開始され、4時間ごとの血糖測定と増減指示により3.2mL/hで投与されていた。夜勤帯になり残量が少なくなったため、看護師がダブルチェックで調製して交換した。交換3時間半後の血糖測定のタイミングでJCS300となっていることを発見した。血糖値を測定すると24。受け持ち看護師はダブルチェックしたリーダー看護師に応援要請した際、リーダー看護師が過剰投与となるよう調製したこと(ヒューマリンR50単位+生食50mLのところ、ヒューマリンRをシリンジで5mL吸った)に気付き、当直医に報告した。ブドウ糖を投与しながらHCUに転棟し、集中管理が行われた。
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事例が発生した背景・要因 |
・病棟で不慣れなシリンジポンプによるインスリン静脈内持続投与の処方、調製に関する知識と経験不足、ダブルチェックが機能していない。
・看護師は、調製の際、50mLシリンジに18G針を付けてヒューマリンRのバイアルより5mL吸った。その後、生理食塩液50mLを吸い合計55mLとなった。
・ダブルチェックのため注射箋を読み上げる看護師(リーダー看護師)が隣りで見ていたが、誤りに気付けなかった。
・調製した際、ロードーズは準備されていなかった。
・ロードーズは、処置室の注射調製台の引き出しの中に配置されていた。
・病棟冷所で保管しているヒューマリンR注バイアルの存在。保管ケースには、「インスリン 必ずロードーズを使用 1目盛=インスリン1単位」の記載とともに、専用シリンジのロードーズの写真が載せられているが、ケースごと取り出さなかった。
・50mLシリンジにはメモリが60mLまであり、実際には55mL吸えてしまい、またシリンジポンプも作動した。一般病棟であったため血糖測定のタイミングまで患者の異常が発見されず意識障害をきたした。
・病棟冷所ではヘパリンナトリウムバイアル製剤も保管しており、バイアルに18G針を刺しているのを見ても違和感が持てなかった。
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実施した、若しくは考えられる改善策 |
・直ちに行ったことは、注射オーダでヒューマリンRが処方されると、自動的に注射箋に「必ずロードーズを使用してください」のコメントが入る、ヒューマリンRの保管ケースにロードーズも一緒に保管する。
・シリンジポンプによるインスリン静脈内持続投与の調製は薬剤師が行うこととした。
・医療安全管理室では事故分析後、薬剤師による調製のほか、この治療の患者管理はHCUで行うこととした。
・シリンジポンプによるインスリン静脈内持続投与マニュアルと調製基準書を策定し院内で調製方法を統一した。さらに混同されたヘパリンナトリウムはアンプル製剤に切り替え、病棟の冷所で保管することを廃止する予定である。
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