事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 アビラテロン酢酸エステル
販売名 ザイティガ錠250mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 250mg
製造販売業者名 ヤンセンファーマ株式会社
《医薬品の取り違え事例の場合、本来投与すべき薬剤》
販売名 ザルティア錠2.5mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 2.5mg
製造販売業者名 日本新薬株式会社
事例の具体的な内容 前立腺肥大でフォロー中の患者。前立腺がんの疑いもあり3ヶ月前に生検にて確認。がんは否定された。前立腺肥大の治療薬として、タムスロシン塩酸塩OD錠0.2mg 1錠(分1;朝)を開始。効果不十分で、アボルブカプセル0.5mg 1cap(分1;朝)が追加された後であった。さらに効果不十分との判断で、医師はザルティアを開始することとした。しかし電子カルテに入力の際、誤ってザイティガを選択してオーダーした。院外処方箋で処方され、病院近くの薬局に持ち込まれた。これまでも同じ薬局で調剤してもらっていたようであったが、薬局では特に患者への質問等もなく、疑義照会もないまま、オーダー通りに調剤され、患者に渡された。患者は今回追加となった薬剤であったため、薬剤の違いに気付くことなく約2週間服用を続けていた。病院内でのレセプトチェックの際、医療事務の職員が「前立腺肥大」の病名で「(腫)ザイティガ」が処方されていることに気付き、カルテを確認したところ、3ヶ月前の生検でも悪性が否定されていることからオーダー間違いの可能性があるとのことで報告があがった。
事例が発生した背景・要因 当院の処方システムでは、3文字以上の入力で検索となっており、当時の詳細な検索方法は不明であるが両剤が同時に表示される状況は起こり得ない。 ザイティガとザルティアは文字列は違うものの、見た目や発音上の類似点が多い。さらには同じ泌尿器科領域で、本患者のように、良性か悪性かで薬剤が異なる同じ前立腺に対する薬剤となっている。同じ医師が、前立腺疾患の患者の診察を継続的に行っている中で、どちらの薬剤も使用されることになるため、非常にリスクが高いと考える。 誤ってザイティガ錠を処方したが、ステロイドの処方はなかった。患者には、他にタムスロシン塩酸塩OD(0.2)1T/分1(朝)、アボルブ(0.5)1C/分1(朝)の2剤が処方されていた。
実施した、若しくは考えられる改善策 電子カルテ上では、本件発生以前から対策が立てられており、電子カルテでの表示は「(腫)ザイティガ錠(250mg)」と表示されるようになっていた。現状、これ以上の対策は難しいと考えている。

事例検討結果
事例検討結果 ザイティガ錠とザルティア錠の販売名類似については、誤処方事例等が複数報告されていることから、製造販売業者は医療機関へ注意喚起を実施しているところである。