事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 メシル酸ガベキサート
販売名 注射用エフオーワイ500/注射用エフオーワイ100
剤型 注用
規格単位(含有量、濃度) 500mg1瓶/100mg1瓶
製造販売業者名 小野薬品工業株式会社
事例の具体的な内容 患者は、急性膵炎の治療目的として末梢からFOY(生理食塩水5 0mL + F O Y1 5 0 0mg) を投与した。この期間中、両側手背で1回ずつ点滴漏れがあったが、手背の腫脹は軽度であり、痛み・発赤がなかったため経過観察し、その後退院した。2日後、右手背の腫脹・疼痛の訴えにより再入院となり、この時点では細菌感染による蜂窩織炎を疑い、約9日間治療を行った。その後も右手背の腫脹の程度は変動し、左手背も腫脹したことから、皮膚科受診をしたところ、FOYによる血管、軟部組織障害と診断された。患者には、中心静脈は確保されていたが、低栄養状態の改善目的で中心静脈栄養を投与していたため、配合禁忌薬の多いFOYは末梢ラインからの単独投与を行っていた。また、注射用FOYの安全性情報によると末梢から点滴を行う場合、0. 2%以下の濃度で使用することとなっているが、今回は結果的には約3%の濃度で投与行った。
事例が発生した背景・要因 初回入院時、HUS後に急性膵炎を発症しており、腎不全がまだ完全によくなっていないことから、膵炎に対して大量輸液療法を行うことができず、FOY投与を中心とした治療となった。中心静脈は確保されていたが、低栄養状態の改善目的で中心静脈栄養を単ルートのカテーテルで使用していたため、配合禁忌薬の多いFOYは末梢ラインからの単独投与とせざるを得なかった。注射用FOYの安全性情報によると末梢から点滴を行う場合、0. 2% 以下の濃度で使用することとされているが、今回は結果的には約3% の濃度で投与されており、このための副作用であること、また両側手背で1回ずつ点滴漏れがあったが、このような場合には投与を中止するか投与部位を変更し、適切な治療・観察を行うべきところ適切に処置されていなかったことが血管障害(FOY遅発性炎症)につながった原因と考えられる。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・FOY投与時(特に末梢ラインから行う場合)における濃度は0. 2% 以下となるよう徹底を図る。 ・今回のように点滴漏れにより血管外に漏出した場合の観察強化、投与部位の変更など適切に治療を行うことを徹底する。 ・FOYは中心静脈カテーテルを複ルートで使用し、投与する。

事例検討結果
事例検討結果 ガベキサートメシル酸塩製剤の製造販売業者は、高濃度での投与により注射部位等に静脈炎や硬結、潰瘍・壊死を起こすことがあるため、濃度を0.2%以下とすることについての注意喚起を行っているところ。