事例報告内容
【記述項目】
《関連した薬剤》
一般名 クエン酸タモキシフェン
販売名 ノルバデックス錠10mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 10mg
製造販売業者名 アストラゼネカ株式会社
《医薬品の取り違え事例の場合、本来投与すべき薬剤》
販売名 ノルバスク錠5mg
剤型
規格単位(含有量、濃度) 5mg
製造販売業者名 ファイザー株式会社
事例の具体的な内容 医師は、高血圧(BP190mmHg台)で緊急室に受診した患者に、降圧剤のノルバスク5mgを1日分処方するところ、乳癌治療薬であるノルバデックス錠10mgを処方し、患者が2回内服した。薬剤師は、なぜ男性患者に乳癌治療薬を処方するのかと疑問に思い、「ノルバデックスは乳癌の薬ですがいいですか。」と処方医に電話で疑義照会をした。処方医は緊急対応で忙しく、「乳癌の薬」が「ディオバンの薬」と聞き違え、「それでいいです。」と答えた。薬剤師は「乳癌の薬を処方」との確認が取れたため1日分の払い出しを行なった。翌日近医に受診し、薬を飲んだが血圧が下がらないことを伝えたため、間違ってノルバデックスを内服していたことがわかった。患者は血圧が下がらず、ふらつきなどが出現した。
事例が発生した背景・要因 後発医薬品への切り替えを推奨している中で、10日前にノルバスクがアムロジピンに切り替えされた。オーダリング画面上で「ノルバ」と3文字検索をすると、「アムロジピン錠5mg」と「ノルバデックス錠10mg」が表示され、ノルバデックスをノルバスクと勘違いした医師は、ノルバデックスを選択し確定した。薬剤師は、なぜ男性患者に乳癌治療薬を処方するのかと疑問に思い、「ノルバデックスは乳癌の薬ですがいいですか。」と処方医に電話で疑義照会をした。処方医は緊急対応で忙しい中、「乳癌の薬」が「ディオバンの薬」と聞き違いをし、降下剤であるならよいと思い「それでいいです。」と答えた。薬剤師は「乳癌の薬を処方」との確認が取れたため1日分払い出した。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・薬剤オーダー画面で、ノルバデックスの薬剤表示の前に≪癌≫の表示を追加し、注意喚起する。 ・後発品採用時は、誤処方の可能性がある薬剤については、チェックし、表示の工夫など予防対策を検討する。 ・口頭確認時は、必ず復唱し、疑問点を残さないようにする。

事例検討結果
事例検討結果 ノルバスクとノルバデックスの名称類似性については、平成15年11月27日付医政発第1127004号・薬食発第1127001号連名通知「医療機関における医療事故防止対策の強化について」及び平成20年12月4日付医政発第1204001号・薬食発第1204001号連名通知「医薬品の販売名の類似性等による医療事故防止対策の強化・徹底について(注意喚起)」等により医療機関に注意喚起しており、製造販売業者においても誤用防止のために製品に対する情報提供を実施しているところである。 しかしながら、繰り返し同様事例が報告されていること。また、平成14年8月29日付医薬発第0829006号通知「医療安全推進総合対策への取り組みの推進について」において、企業は患者の安全を最優先に考えた医療安全を確保するための積極的な取り組みが求められており、今般、再発防止の観点から名称の変更が必要であると考える。