アブストラル舌下錠100μg/アブストラル舌下錠200μg/アブストラル舌下錠400μg


作成又は改訂年月

**2020年3月改訂(下線部分)〈第6版〉

*2019年7月改訂(製造販売元社名変更、他)

日本標準商品分類番号

878219

日本標準商品分類番号等

再審査結果公表年月(最新)
2018年12月

国際誕生年月
2008年2月

薬効分類名

癌疼痛治療剤

承認等

販売名
アブストラル舌下錠100μg

販売名コード

8219001F1020

承認・許可番号

承認番号
22500AMX01804
欧文商標名
Abstral Sublingual Tablets

薬価基準収載年月

2013年11月

販売開始年月

2013年12月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存(開封後湿気を避けること。「取扱い上の注意」の項参照。)

使用期限

包装に表示の期限内に使用すること。(使用期限内であってもアルミニウム袋開封後はなるべく速やかに使用すること。)

規制区分

劇薬、麻薬、処方箋医薬品

注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

有効成分

1錠中日局フェンタニルクエン酸塩157.1μg(フェンタニルとして100μg)

添加物

D-マンニトール、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム

性状

直径(mm)

6

厚さ(mm)

2

重量(g)

0.07

外形

色調剤皮

白色、素錠

識別記号

KH11(錠剤本体、SPシートに表示)

販売名
アブストラル舌下錠200μg

販売名コード

8219001F2026

承認・許可番号

承認番号
22500AMX01805
欧文商標名
Abstral Sublingual Tablets

薬価基準収載年月

2013年11月

販売開始年月

2013年12月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存(開封後湿気を避けること。「取扱い上の注意」の項参照。)

使用期限

包装に表示の期限内に使用すること。(使用期限内であってもアルミニウム袋開封後はなるべく速やかに使用すること。)

規制区分

劇薬、麻薬、処方箋医薬品

注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

有効成分

1錠中日局フェンタニルクエン酸塩314.2μg(フェンタニルとして200μg)

添加物

D-マンニトール、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、黄色三二酸化鉄

性状

直径(mm)

6

厚さ(mm)

2

重量(g)

0.07

外形

色調剤皮

まだらをもつごくうすい黄色、素錠

識別記号

KH12(錠剤本体、SPシートに表示)

販売名
アブストラル舌下錠400μg

販売名コード

8219001F3022

承認・許可番号

承認番号
22500AMX01806
欧文商標名
Abstral Sublingual Tablets

薬価基準収載年月

2013年11月

販売開始年月

2013年12月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存(開封後湿気を避けること。「取扱い上の注意」の項参照。)

使用期限

包装に表示の期限内に使用すること。(使用期限内であってもアルミニウム袋開封後はなるべく速やかに使用すること。)

規制区分

劇薬、麻薬、処方箋医薬品

注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

有効成分

1錠中日局フェンタニルクエン酸塩628.4μg(フェンタニルとして400μg)

添加物

D-マンニトール、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、三二酸化鉄

性状

直径(mm)

6

厚さ(mm)

2

重量(g)

0.07

外形

色調剤皮

まだらをもつうすい帯黄赤色、素錠

識別記号

KH13(錠剤本体、SPシートに表示)

一般的名称

フェンタニルクエン酸塩舌下錠

警告

小児が誤って口に入れた場合、過量投与となり死に至るおそれがあることを患者等に説明し、必ず本剤を小児の手の届かないところに保管するよう指導すること。

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

1.
本剤の成分に対し過敏症のある患者

**2.
ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者[「相互作用」の項参照]

効能又は効果

強オピオイド鎮痛剤を定時投与中の癌患者における突出痛の鎮痛

効能又は効果に関連する使用上の注意

1.
本剤は、他のオピオイド鎮痛剤が一定期間投与され、忍容性が確認された患者で、かつ強オピオイド鎮痛剤の定時投与により持続性疼痛が適切に管理されている癌患者における突出痛(一時的にあらわれる強い痛み)に対してのみ使用すること。

2.
定時投与されている強オピオイド鎮痛剤が低用量の患者(モルヒネ経口剤60mg/日未満、オキシコドン経口剤40mg/日未満、フェンタニル経皮吸収型製剤0.6mg/日注)未満、又は同等の鎮痛効果を示す用量の他のオピオイド鎮痛剤を定時投与中の患者)における本剤の使用経験は限られているため、本剤の必要性を慎重に検討した上で、副作用の発現に十分注意すること。
注)定常状態におけるフェンタニルの推定平均吸収量

用法及び用量

通常、成人には1回の突出痛に対して、フェンタニルとして100μgを開始用量として舌下投与する。
用量調節期に、症状に応じて、フェンタニルとして1回100、200、300、400、600、800μgの順に一段階ずつ適宜調節し、至適用量を決定する。なお、用量調節期に1回の突出痛に対してフェンタニルとして1回100〜600μgのいずれかの用量で十分な鎮痛効果が得られない場合には、投与から30分後以降に同一用量までの本剤を1回のみ追加投与できる。
至適用量決定後の維持期には、1回の突出痛に対して至適用量を1回投与することとし、1回用量の上限はフェンタニルとして800μgとする。
ただし、用量調節期の追加投与を除き、前回の投与から2時間以上の投与間隔をあけ、1日あたり4回以下の突出痛に対する投与にとどめること。

用法及び用量に関連する使用上の注意

1. 処方時

(1)
突出痛の回数や受診可能な頻度等を考慮して、必要最小限の錠数を処方すること

(2)
誤用防止のため、含量の異なる本剤を同時に処方しないこと

2. 投与方法
本剤は舌下の口腔粘膜から吸収させる製剤であるため、なめたり、噛み砕いたりせずに使用すること。[口腔粘膜からの吸収が低下し、バイオアベイラビリティが低下する可能性がある。]

3. 開始用量
他のフェンタニル速放性製剤から本剤に変更する場合でも、必ずフェンタニルとして1回100μgから投与を開始すること。[フェンタニルの含量が同じであっても本剤と吸収が異なるため。]

4. 用量調節と維持

(1)
1回の突出痛に対して1回の本剤投与で十分な鎮痛効果が得られるよう、一段階ずつ漸増して、患者毎に用量調節を行うこと。

(2)
1回の突出痛に対して本剤の追加投与を必要とする状態が複数回続く場合には、本剤の1回用量の増量を検討すること。

(3)
1回あたりの投与錠数は4錠までとすること。

(4)
定時投与中のオピオイド鎮痛剤を増量する場合や種類を変更する場合には、副作用に十分注意し、必要に応じて本剤の減量を考慮すること。

(5)
1回の突出痛に対してフェンタニルとして800μgで十分な鎮痛効果が得られない場合には、他の治療法への変更を考慮すること。

(6)
1日に4回を超える突出痛の発現が続く場合には、癌に伴う持続性疼痛に使用されているオピオイド鎮痛剤の増量を検討すること。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
慢性肺疾患等の呼吸機能障害のある患者[呼吸抑制を増強するおそれがある。]

2.
喘息患者[気管支収縮を起こすおそれがある。]

3.
徐脈性不整脈のある患者[徐脈を助長させるおそれがある。]

4.
肝・腎機能障害のある患者[代謝・排泄が遅延し、副作用があらわれやすくなるおそれがある。]

5.
頭蓋内圧の亢進、意識障害・昏睡、脳腫瘍等の脳に器質的障害のある患者[呼吸抑制を起こすおそれがある。]

6.
口内炎、口腔内出血、口腔粘膜に欠損のある患者[血中濃度が上昇し、副作用があらわれるおそれがある。](「適用上の注意」の項参照)

7.
薬物依存の既往歴のある患者[依存性を生じやすい。]

8.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

重要な基本的注意

1.
本剤を癌における突出痛の鎮痛以外の管理に使用しないこと

2.
本剤の使用開始にあたっては、主な副作用、具体的な服用方法、服用時の注意点、保管方法等を患者等に対して十分に説明し、理解を得た上で使用を開始すること。特に呼吸抑制、意識障害等の症状がみられた場合には速やかに主治医に連絡するよう指導すること。

3.
本剤を増量する場合には、副作用に十分注意すること。

4.
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。また、乱用や誤用により過量投与や死亡に至る可能性があるので、これらを防止するため観察を十分行うこと。

5.
CYP3A4阻害作用を有する薬剤を併用している患者では、血中濃度が高くなる可能性があるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。(「相互作用」の項参照)

6.
眠気、めまいが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

7.
本剤を投与する場合には、便秘に対する対策として緩下剤、悪心・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、また、鎮痛効果が得られている患者で通常とは異なる強い眠気がある場合には、過量投与の可能性を念頭において本剤の減量を考慮するなど、本剤投与時の副作用に十分注意すること。

8.
本剤の医療目的外使用を防止するため、適切な処方を行い、保管に留意するとともに、患者等に対して適切な指導を行うこと。(「適用上の注意」の項参照)

相互作用

本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。

併用禁忌

(併用しないこと)

薬剤名等
**ナルメフェン塩酸塩水和物(セリンクロ)

臨床症状・措置方法
ナルメフェン塩酸塩水和物はオピオイド受容体作動薬の鎮痛作用を減弱させるため、効果を得るために必要な本剤の用量が通常用量より多くなるおそれがある。

機序・危険因子
μオピオイド受容体拮抗作用により、μオピオイド受容体作動薬に対して競合的に阻害する。

併用注意

(併用に注意すること)

1. 薬剤名等
中枢神経抑制剤(フェノチアジン系薬剤、ベンゾジアゼピン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等)、吸入麻酔剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、三環系抗うつ剤、骨格筋弛緩剤、鎮静性抗ヒスタミン剤、アルコール、オピオイド系薬剤

臨床症状・措置方法
呼吸抑制、低血圧、めまい、口渇及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。

機序・危険因子
相加的に中枢神経抑制作用が増強する。

2. 薬剤名等
セロトニン作用薬、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、モノアミン酸化酵素阻害剤等

臨床症状・措置方法
セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある。

機序・危険因子
相加的にセロトニン作用が増強するおそれがある。

3. 薬剤名等
CYP3A4を阻害する薬剤(リトナビル、イトラコナゾール、アミオダロン、クラリスロマイシン、ジルチアゼム塩酸塩、フルボキサミンマレイン酸塩等)

臨床症状・措置方法
フェンタニルのAUCの増加、血中半減期の延長が認められたとの報告がある。呼吸抑制等の副作用が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。

機序・危険因子
肝CYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。

4. 薬剤名等
グレープフルーツジュース

臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度を上昇させるおそれがある。

機序・危険因子
CYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。

5. 薬剤名等
CYP3A4を誘導する薬剤(リファンピシン、フェニトイン等)

臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度を低下させるおそれがある。また、CYP3A4誘導剤を中止又は減量する場合は、本剤の効果が増強する可能性があるため、本剤の用量を適宜調節すること。

機序・危険因子
肝CYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される。

6. 薬剤名等
キニジン

臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度を上昇させるおそれがある。

機序・危険因子
P糖蛋白及びCYP3A4に対する阻害作用により、本剤の吸収が増加し代謝が阻害される。

副作用

国内臨床試験において、112例中43例(38.4%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、傾眠15例(13.4%)、便秘13例(11.6%)、悪心13例(11.6%)及び嘔吐11例(9.8%)等であった。[承認時]

重大な副作用

1. 呼吸抑制(0.9%):
呼吸抑制があらわれることがあるので、無呼吸、呼吸困難、呼吸異常、呼吸緩慢、不規則な呼吸、換気低下等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン塩酸塩、レバロルファン酒石酸塩等)が有効である。

2. 依存性(頻度不明注1)):
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。連用中に投与量の急激な減量ないし中止により退薬症候があらわれることがある。
また、乱用や誤用により過量投与や死亡に至る可能性があるので、これらを防止するため観察を十分行うこと。

3. 意識障害(頻度不明注1)):
意識レベルの低下、意識消失等の意識障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

4. ショック、アナフィラキシー(頻度不明注1)):
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

5. 痙攣(頻度不明注1)):
痙攣があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

注1)同一有効成分又は類薬で報告されており、国内でも発生が予想される副作用。

その他の副作用

1. 消化器
5%以上 
便秘、悪心、嘔吐

2. 消化器
0.1〜5%未満 
口内炎、口渇、食欲減退、腹痛

3. 精神神経系
5%以上 
傾眠

4. 精神神経系
0.1〜5%未満 
めまい、頭痛、幻覚

5. 精神神経系
頻度不明注2) 
錯乱、せん妄

6. 循環器
0.1〜5%未満 
動悸、心室性期外収縮、ほてり

7. 泌尿器
0.1〜5%未満 
排尿困難

8. 皮膚
0.1〜5%未満 
そう痒

9. その他
0.1〜5%未満 
異常感、けん怠感

10. その他
頻度不明注2) 
発汗

注2)国外で本剤又は類薬で報告されており、国内でも発生が予想される副作用。

高齢者への投与

高齢者には副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。
[高齢者ではフェンタニルのクリアランスが低下し、血中濃度消失半減期の延長が認められている。]

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない。フェンタニルクエン酸塩注射液において、分娩時の投与により新生児に呼吸抑制、分娩時を含む妊娠中の投与により胎児に徐脈があらわれたとの報告がある。また、動物実験(ラット)で胚・胎児死亡率の高値傾向が認められている。]

2.
授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。[ヒトで母乳中へ移行することが報告されている。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

過量投与

1. 症状
フェンタニルの過量投与時の症状として、薬理作用の増強により重篤な換気低下を示す。

2. 処置
過量投与時には以下の治療を行うことが望ましい。

(1)
本剤服用中の場合は直ちに本剤を口腔内から取り出す。

(2)
換気低下が起きたら、患者をゆり動かしたり、話しかけたりして目をさまさせておく。

(3)
麻薬拮抗剤(ナロキソン塩酸塩、レバロルファン酒石酸塩等)の投与を行う。患者に退薬症候又は麻薬拮抗剤の副作用が発現しないよう慎重に投与する。なお、麻薬拮抗剤の作用持続時間は本剤の作用時間より短いので、患者のモニタリングを行うか又は患者の反応に応じて、初回投与後は注入速度を調節しながら持続静注する。

(4)
臨床的に処置可能な状況であれば、患者の気道を確保し、酸素吸入し、呼吸を補助又は管理する。必要があれば咽頭エアウェイ又は気管内チューブを使用する。これらにより、適切な呼吸管理を行う。

(5)
適切な体温の維持と水分摂取を行う。

(6)
重度かつ持続的な低血圧が続けば、循環血液量減少の可能性があるため、適切な輸液療法を行う。

適用上の注意

1. 交付時

(1)
強オピオイド鎮痛剤を定時投与中の患者で、かつオピオイド鎮痛剤に忍容性のある患者であることを確認した上で本剤を交付すること。

(2)
誤用防止のため、含量の異なる本剤を同時に交付しないこと

(3)
誤用防止のため、本剤の使用を中止した場合、用量調節後に使用しなくなった含量の薬剤がある場合、又は本剤開始により使用しなくなった他のフェンタニル速放性製剤がある場合には、未使用製剤を病院又は薬局に返却するよう患者等に指導すること。

(4)
本剤の使用開始にあたっては、患者等に対して具体的な服用方法、服用時の注意点、保管方法等を患者向けの説明書を用いるなどの方法によって十分に説明すること。

(5)
患者等に対して、本剤には小児に致死的となりうる量の成分が含有されていることを知らせること。

(6)
患者等に対して、本剤を指示された目的以外に使用してはならないことを指導すること。

(7)
患者等に対して、本剤を他人へ譲渡してはならないことを指導すること。

(8)
口内炎、口腔内出血、口腔粘膜欠損等の症状がみられた場合には、本剤の血中濃度が高くなり、副作用があらわれやすくなるおそれがあるので、速やかに医師又は薬剤師に相談するように患者等に指導すること。

2. 服用時
以下の点について、患者等に指導すること。

(1)
本剤は吸湿により硬度が低下するため、服用直前にSPシートから取り出すこと。

(2)
舌下の奥の方に入れて自然に溶解させ、舌下の口腔粘膜から吸収させること。

(3)
本剤は舌下の口腔粘膜より吸収されて効果を発現するため、そのまま飲み込んだり、なめたり、噛み砕いたりしないこと。

(4)
誤って飲み込んだ場合も1回の投与とし、再投与は避けること。[再投与により、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。]

(5)
水なしで服用すること。ただし、口腔内乾燥がある患者では、本剤服用前に口腔内を水で湿らせてもよい。

3. 服用後
途中で口腔内から出してしまった場合、残った薬剤は決して放置せず、多量の流水で溶かすなどにより、安全に処分するように患者等に指導すること。

4. 保管方法

(1)
本剤を小児の手の届かない所に保管するよう患者等に指導すること。

(2)
湿気を避けて保管するよう患者等に指導すること。

薬物動態

1. 吸収

(1) 健康成人における血漿中濃度1)
健康成人に本剤100〜800μg(フェンタニルとして)を単回舌下投与した場合、フェンタニルは投与後速やかに吸収され、tmax(中央値)は0.50〜1.00時間であった。血漿中フェンタニル濃度の推移、薬物動態パラメータは下記のとおりである。(薬物動態の表参照)

(2) バイオアベイラビリティ(外国人)2)
本剤のバイオアベイラビリティは約50%であった。

(3) 肝障害患者における薬物動態(外国人)3)
肝硬変患者(8例)と肝腎機能の正常な患者(13例)にフェンタニル5μg/kgを静脈内投与したときの薬物動態は両者でほとんど差がなかった。

(4) 腎障害患者における薬物動態(外国人)4)
血液尿素窒素(BUN)が高値(35〜111mg/dL)を示した腎不全末期患者(8例)にフェンタニル25μg/kgを静脈内投与したとき、クリアランスとBUNに負の相関が認められた。

2. 分布

(1) 体組織への分布(参考:ラット)5)
雄ラットに3H-フェンタニルクエン酸塩を舌下投与したとき、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、肺、心臓及び精巣等多くの組織に放射能が認められた。

(2) 胎児移行性(参考:ラット)6)
妊娠ラットに3H-フェンタニルを皮下投与したとき、胎児内放射能濃度は母動物の血液中放射能濃度の約1.5〜2倍であったことが報告されている。

(3) 乳汁移行性(外国人)7)
分娩時にフェンタニルクエン酸塩を静脈内投与したとき、フェンタニルの乳汁移行が確認されたことが報告されている。

(4) 血漿蛋白結合率8)
89.1〜90.0%(in vitro、超遠心分離法、5〜20ng/mL)

3. 代謝(参考:ラット9)、イヌ10)in vitro 11)
フェンタニルは主に肝臓で代謝され、主たる代謝物はピペリジン環の酸化的N-脱アルキル化により生じるノルフェンタニルである。ヒト肝ミクロソームを用いた検討により、ノルフェンタニルへの代謝には主にCYP3A4が関与していることが報告されている。

4. 排泄1)
健康成人に本剤100〜800μg(フェンタニルとして)を単回舌下投与後72時間までのフェンタニルの尿中排泄率は、投与量の0.89〜1.39%であった。一方、主代謝物であるノルフェンタニルの尿中排泄率(未変化体換算)は、投与量の27.5〜36.3%であった。

表 薬物動態パラメータ

投与量 tmax*
(h) 
Cmax
(ng/mL) 
AUC0〜∞
(ng・h/mL) 
t1/2
(h) 
100μg 0.50
(0.31-2.00) 
0.187±0.061 0.974±0.332 5.02±2.58 
200μg 0.87
(0.27-4.00) 
0.302±0.092 1.92±0.53 6.67±2.01 
400μg 1.00
(0.50-1.99) 
0.765±0.288 5.49±1.93 13.5±5.0 
800μg 0.50
(0.25-1.00) 
1.42±0.47 8.95±2.97 10.1±3.4 

(n=12)
平均値±標準偏差
*中央値(最小値−最大値)


臨床成績

検証試験12)
定時投与オピオイド鎮痛剤(モルヒネ経口剤20mg/日以上、オキシコドン経口剤10mg/日以上、フェンタニル経皮吸収型製剤12.5μg/hr相当以上)が使用されており、1日1〜4回のオピオイド鎮痛剤によりコントロールされている突出痛を有する日本人がん性疼痛患者を対象に、開始用量を100μgとし、800μgを上限として下表に従って漸増し、被験者毎に決定した本剤の至適用量を突出痛にレスキュー・ドーズした。(臨床成績の表1参照)
至適用量が決定した37名を対象に、二重盲検比較期では、9回の突出痛に対して至適用量の本剤を6回、プラセボを3回舌下投与し、PID30(投与直前のVAS(Visual Analogue Scale)の値から投与30分後の値を引いた値)を指標に本剤の有効性を検証した。その結果、本剤のプラセボに対する優越性が確認された。(臨床成績の表2参照)

表1

段階 用量注) 追加投与量注) 
100μg 100μg 
200μg 100μg 
300μg 100μg 
400μg 200μg 
600μg 200μg 
800μg ─ 

注)フェンタニルとしての用量


表2 検証試験

 本剤 プラセボ 
PID30*(mm) 41.11±23.03 33.85±25.39 
PID30**(mm) 41.20
[37.40, 45.00] 
34.01
[29.41, 38.61] 
本剤とプラセボとの差**(mm) 7.19
[2.59, 11.79] 
7.19
[2.59, 11.79] 
本剤とプラセボとの差**(mm) p=0.002 p=0.002 

(VASは0〜100mmの範囲(0mmが無痛、100mmが最大痛)で疼痛強度を表す指標であり、その投与前と投与30分後の差であるPID30の値が大きいほど鎮痛効果が高いことをあらわす。)
*平均値±標準偏差
**共分散分析による最小二乗平均値[95%信頼区間]


薬効薬理

1. 作用機序13)
モルモット全脳組織を用いた、フェンタニルのオピオイド受容体サブタイプ(μ、δ、κ)に対するアゴニスト活性の検討において、μ受容体に対して選択的で高い親和性が示されたことが報告されている。したがって、フェンタニルはμオピオイド受容体のアゴニストとして作用し、強力な鎮痛作用を示すと考えられる。

2. 鎮痛作用14)15)

(1)
熱刺激法の一つであるマウスのホットプレート法において、フェンタニルクエン酸塩(静脈内投与)は鎮痛作用を示し、そのED50は0.016mg/kgであり、モルヒネ硫酸塩(静脈内投与)のED50は7.3mg/kgであったことが報告されている。

(2)
Haffner変法によるマウス侵害刺激反応試験において、フェンタニルクエン酸塩は皮下投与10〜15分後に最大作用を示し、そのED50は0.08mg/kgであったこと、フェンタニルクエン酸塩における鎮痛活性はモルヒネ硫酸塩(皮下投与、ED50:15mg/kg)に比べて約190倍強い効力を示したことが報告されている。

(3)
電気的侵害刺激法のウサギ歯髄疼痛モデルを用いた鎮痛試験において、フェンタニルクエン酸塩(静脈内投与)は鎮痛作用を示し、そのED50は0.0074mg/kgであり、モルヒネ硫酸塩(静脈内投与)のED50は1.1mg/kgであったことが報告されている。

有効成分に関する理化学的知見

一般名
フェンタニルクエン酸塩(Fentanyl Citrate)

化学名
N-(1-Phenethylpiperidin-4-yl)-N-phenylpropanamide monocitrate

分子式
C22H28N2O・C6H8O7

分子量
528.59

化学構造式

性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である。

溶解性
メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、水又はエタノール(95)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルに極めて溶けにくい。

取扱い上の注意

1.
200μg錠及び400μg錠は錠剤表面にまだらが認められ、多少の色調幅があるが、使用色素によるものであり、品質に影響はない。

2.
本剤は吸湿により硬度が低下するため、アルミニウム袋開封後は、開封口を閉じて保存すること。

3.
本剤は通常の錠剤に比べて硬度が低いため、衝撃による欠けや割れが生じることがあるので、取り扱いに注意すること。

包装

アブストラル舌下錠100μg:[SP]40錠(5錠×4×2袋)
アブストラル舌下錠200μg:[SP]40錠(5錠×4×2袋)
アブストラル舌下錠400μg:[SP]40錠(5錠×4×2袋)

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
社内資料:日本人健康成人を対象とした第I相臨床試験

2)
社内資料:健康成人におけるバイオアベイラビリティ

3)
Haberer J. P., et al.:Br. J. Anaesth., 54, 1267(1982)

4)
Koehntop D. E., et al.:Pharmacotherapy, 17, 746(1997)

5)
社内資料:3H-クエン酸フェンタニルをラットに舌下投与後の全身オートラジオグラフィー

6)
大塚宏之, 他:薬理と治療, 29, 865(2001)

7)
Nitsun M., et al.:Clin. Pharmacol. Ther., 79, 549(2006)

8)
社内資料:ラットにおける薬物動態試験

9)
社内資料:3H-クエン酸フェンタニルをラットに舌下投与後の血漿、尿および糞中代謝

10)
社内資料:3H-クエン酸フェンタニルをイヌに舌下投与後の吸収、代謝および排泄

11)
Feierman D. E., et al.:Drug Metab. Dispos., 24, 932(1996)

12)
社内資料:癌患者の突出痛レスキューにおける二重盲検比較試験

13)
Maguire P., et al.:Eur. J. Pharmacol., 213, 219(1992)

14)
Rudo F. G., et al.:Anesth. Analg., 69, 450(1989)

15)
Gardocki J. F., et al.:Toxicol. Appl. Pharmacol., 6, 48(1964)

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